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【令和4年度・2022年度入試】
医学部地域枠について徹底解説

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医学部特有の制度である「地域枠」。
「奨学金がある」と聞くと興味が出るものの、「ただしその地域で決められた病院で働かなくてはならない」など様々な話を聞くと、「面倒だから止めておこうかな」と思ってしまう人も多いでしょう。

 

しかし、地域枠=学費を減らせる上に確実に地域医療に貢献できるようになる、ということでもあるため、地域枠は人によってはとても便利な制度でもあります。

 

今回の記事では、地域枠についてどんなものか、メリットとデメリットを紹介します。
今年地域枠を設ける大学も一覧で紹介するので、地域枠受験を検討している人もそうでない人も、ぜひ参考にしてみてくださいね!

 

医学部地域枠の概要

 

医学部の地域枠は、平たく言ってしまえば
「その県内の指定の病院で働くのであれば、返済不要の奨学金を貸与する」
という制度。

 

地方や田舎では医師が少ないほか、総合的に患者を診られる医師や産科、小児科の医師は全国的に不足しています。

 

その不足を補うために、その県でも医療が手薄な場所や、医師不足の地域で卒業後働くことを条件に、奨学金を給付して学生を募集するのです。

 

地域枠の募集は、入試と同時に行われます。
地域枠募集のある大学の入試には「〇〇県地域枠」として何人かの枠が定められており、その枠に合格すれば同時に奨学金の貸与と「将来はその地域で医師として働く」ことが決定するのです。

 

基本的には、以下の内容が地域枠の条件になります。

・卒業後、指定された地域の病院で9年間働かなくてはならない
・毎月奨学金を支給する。ただし9年間の任期後、奨学金の返還義務はなくなる

 

地域によっては、これに加え
「地元出身者(その県に居住している、高校がその県だった、あるいは両親や祖父/祖母がその県に住んでいる、など)である」
「特定の診療科(救急・産科・小児科・総合診療科など)に進まなくてはならない」
といった条件が付く場合もあります。

地域枠に興味がある場合は、その県の地域枠のパンフレットを必ず参照しましょう。

 

ちなみに、県によっては地域枠入試以外にも地元出身者向けの医学部奨学金(こちらももちろん卒業後特定の病院などで働く必要があります)を設置していることもあります(例:千葉県)。
「絶対に奨学金が欲しい/地域に貢献する」という意志がある人は、そちらもチェックしてみるといいでしょう。

 

医学部地域枠と一般受験の違い

 

「地域枠入試」とは、「合格したら奨学金がもらえる+卒業後、定められた地域の病院で働かなくてはならない」入試の総称。
つまり、必ずしも一般受験とは限らず、県によっては学校推薦型選抜や総合型選抜の1つとされていることも。

 

その場合、学校長の推薦書が必要だったり、現役生しか受験できなかったり、あるいは評定平均が高くないと受験できなかったりするケースもあります。
まずは、利用したい県の地域枠のタイプを確認しておきましょう。

 

一般入試の場合、地域枠受験と一般受験で難易度の差はありません。
多くの場合、一般受験と試験日も同日で、同じ時間に同じ問題を受けることになります。
ただし、面接の際に「本当に地域医療に貢献する気持ちはあるのか、地域医療に対する問題感を持っているのか」などはより強くチェックされます。

 

以前は、「地域枠のほうが試験は楽」といわれることもありましたが、現在では基本的にそんな事はありません。
まず地域医療に貢献するという強い意志がないと面接で落ちてしまいますし、募集枠が少なく辞退者もいないため一般入試より遥かに高い倍率になることも珍しくありません。

 

「一般入試で受かりそうにないから」「奨学金が欲しいから」といった軽い気持ちで受けても合格は難しいでしょう。

 

ちなみに、入学後のカリキュラムについては、地域枠と一般受験とで基本的に差はありません。
ただし、僻地医療についての講義が必修となったり、実習時に特定の地域病院に行くことを指定されたりするケースも。
また、県によってはキャリア形成プログラムに従い、1年時からワークショップや研修を大学の授業とは別に受ける必要があります。

 

医学部地域枠のメリット

 

医学部地域枠のメリットとしては、以下のようなものがあります。

 

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・奨学金が出る
・地域医療に確実に貢献できる
・より多くの症例を経験できる可能性が高い

地域枠の最大のメリットは「奨学金」です。
大学や県によって額は異なりますが、月10万〜30万程度貸与されることが多くなります。
多い例では新潟県地域枠で杏林大学に合格できれば月50万も支給され、ほぼ奨学金だけで学費を賄えます。

 

「経済的理由で私学の医学部は難しい」という人にも嬉しい制度です。

 

また、地域枠に合格すると勤務先として医師不足の地域に行かなくてはならないため、確実に地域の医療に貢献できます。
離島や僻地医療に興味がある、その道に進みたいという人にとってはキャリアを積む大きなチャンスとなるはずです。

 

医師不足の地域では都会の病院と違い、1人の医師でより多くのことをこなさなくてはなりません。
そのため、自然と幅広い疾患を診られるようになるでしょうし、執刀経験なども医師の多い病院に比べて多くなることが期待できます。

 

医学部地域枠のデメリット

 

・辞退は基本不可
・自由にキャリアが選べない
・離脱時のペナルティが厳しい

地域枠のデメリットは「卒業後のキャリアの選択肢が狭く」かつ、「離脱することができない」点にあります。
地域枠に合格したあとの辞退は基本的にどの段階でも不可で、仮に途中で別の道に進みたくなったとしてもそれを諦めるしかありません。

 

また、仮に離脱するとなると以下のようなペナルティが課されます。

・奨学金の一括返済(10%ほどの利子あり)
・原則専門医になれない
・離脱者を採用した病院は補助金の減額や募集定員の減員、臨床研修病院の指定を取り消される(=マッチングで採ってくれる病院がなくなる)

 

「自分には別の道のほうが合っていた」と医学部に入ってからの勉強や研修中に気づいたり、状況が変わってしまうことはよくあります。
しかし、地域枠で合格してしまうと「その医学部を卒業し、卒業後9年間その県内で働く」以外の選択肢がなくなってしまうのです。

 

また、基本的に地域枠で指定される病院は人手不足の田舎の病院になりがちなので、仕事が忙しくなる可能性も高くなります。
また、「より多くのことを1人でこなさなくてはならない」という特性上、自分の専門性を突き詰めたいという人にも不向きになるでしょう。

 

医学部地域枠併設の大学一覧

 

2022年に地域枠を設置する大学は以下の通り。(66大学908人)

 

なお、同じ大学内に「県内枠」と「全国枠」など、募集要項が違う地域枠がある場合も合計して表示しています。
詳しくは各大学の募集要項などを参照してください。

 

《国立大学》

大学 人数
弘前大学 青森県 27
東北大学 宮城県 7
岩手県 2
秋田大学 秋田県 29
山形大学 山形県 8
筑波大学 茨城県 36
群馬大学 群馬県 18
千葉大学 千葉県 15
東京医科歯科大学 茨城県 2
長野県 2
新潟大学 新潟県 33
富山大学 富山県 10
金沢大学 石川県 10
富山県 2
福井大学 福井県 10
山梨大学 山梨県 20
信州大学 長野県 15
岐阜大学 岐阜県 25
浜松医科大学 静岡県 15
名古屋大学 愛知県 5
三重大学 三重県 20
滋賀医科大学 滋賀県 5
神戸大学 兵庫県 10
鳥取大学 鳥取県 11
島根県 5
兵庫県 2
岡山大学 岡山県 4
兵庫県 2
鳥取県 1
広島県 2
広島大学 広島県 13
山口大学 山口県 15
徳島大学 徳島県 12
香川大学 香川県 14
愛媛大学 愛媛県 15
高知大学 高知県 15
佐賀大学 佐賀県 4
長崎県 1
長崎大学 長崎県 15
佐賀県 2
宮崎県 2
熊本大学 熊本県 5
大分大学 大分県 10
鹿児島大学 鹿児島県 18
琉球大学 沖縄県 12

 

《公立大学》

大学 人数
札幌医科大学 北海道 8
福島県立医科大学 福島県 45
横浜市立大学 神奈川県 5
名古屋市立大学 愛知県 7
京都府立医科大学 京都府 5
大阪公立大学 大阪府 5
奈良県立医科大学 奈良県 13
和歌山県立医科大学 和歌山県 10

 

《私立大学》

大学 人数
岩手医科大学 岩手県 28
自治医科大学 栃木県 3
全国 20
獨協医科大学 栃木県 10
埼玉医科大学 埼玉県 19
杏林大学 東京都 10
新潟県 2
順天堂大学 東京都 10
新潟県 2
千葉県 5
埼玉県 7
静岡県 5
茨城県 2
昭和大学 茨城県 4
新潟県 7
静岡県 8
帝京大学 福島県 2
千葉県 2
静岡県 2
東京医科大学 茨城県 5
山梨県 2
新潟県 2
東邦大学 千葉県 5
新潟県 5
日本大学 埼玉県 5
日本医科大学 千葉県 7
埼玉県 2
静岡県 4
北里大学 神奈川県 5
茨城県 4
山梨県 2
聖マリアンナ医科大学 神奈川県 5
東海大学 神奈川県 5
静岡県 3
愛知医科大学 愛知県 10
藤田医科大学 愛知県 10
大阪医科薬科大学 大阪府 5
静岡県 8
新潟県 2
近畿大学 大阪府 3
奈良県 2
和歌山県 2
静岡県 10
兵庫医科大学 兵庫県 2
川崎医科大学 静岡県 10
長崎県 6
久留米大学 福岡県 5

 

自分のキャリアと相談して地域枠を選ぼう

9年間その県に拘束される代わりに、奨学金を給付する地域枠。
「地域に貢献したい」「金銭的に奨学金がないと医学部は難しい」という人には嬉しい制度ですが、その反面「キャリアが固定されてしまう」「辞退が許されない」と厳しい面もあります。

 

返済不要の奨学金、という点は大きいですが、自分のなりたい医師像とマッチしていないとただ辛いだけの返済期間になってしまうかもしれません。

 

地域枠を利用しようかな、と考えているのであれば、入試前の時点で自分の医師としてのキャリアや専門についてしっかり考えておく必要があるでしょう。

 

 

 

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二木原 恭子

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九州大学大学院修士課程修了(哲学専攻)、千葉県出身。大学は上智大学文学部哲学科。 勉強する時はリプトンの紅茶を常にお供にしていた。 受験時は特に世界史に苦労...

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