多様な医師の働き方4選【勤務医・フリーランス・研究医など】

医者のキャリア

医学部に入学し医師免許を取得してからのキャリアは、人それぞれです。

現在は、働き方改革が医療現場にも浸透してきているので、医師としての働き方も多様化が進んでいます。

この記事では、医師になってからのキャリアについて紹介していこうと思います!

そもそも医師の仕事ってどんな感じ?

「医師は忙しい」は本当

みなさんは医師の仕事についてどんなイメージを持っていますか?忙しい、大変、激務、といったイメージを持っている方も少なくないと思います。実際に実習などで先生方のお話では、非常に忙しい医師としての毎日がうかがえます。また、PHSという病院内で医療スタッフが使う電話があるのですが、頻繁に電話がかかってくるのが現状です。

近年では働き方改革が進んでおり、研修医など若手医師の業務を中心に見直しがなされていますが、それでも医師の仕事は激務でしょう。

週の平均勤務時間は53.2時間!

実際、とある調査によれば勤務医の1週間あたりの平均勤務時間は53.2時間で、週に60時間以上働いている医師は全体の40%にも及ぶようです。週に80時間以上働く医師も10%います。

労働基準法では、週の労働時間の上限を40時間、時間外労働を月に45時間までと定めています。

現在、医師には労働基準法が適用されていませんが、医師の平均的な勤務時間で1ヶ月間働いた場合、余裕で労働基準法違反となってしまいます。

また、これ以上働くと過労死の危険があるとされる「過労死ライン」は月に80時間以上の時間外労働であるとされます。

医師の40%は週に60時間以上働いていることから、この過労死ラインを超えるような働き方をしているのです。

命を救い、健康を守る職業であるはずの医師が、実に不健康かつ危険な働き方をしているのです。

詳しいデータはこちらもご覧ください。

医師の仕事はやることがたくさんで基本は激務

では、なぜ医師の仕事は激務になってしまうのでしょうか。

まず挙げられるのは、病院が24時間体制で稼働していることでしょう。

病院には、昼夜を問わず多くの患者さんが訪れます。人間はいつ病気になったり怪我をしたりするのかわかりません。診療時間外の夜間や休日でも命の危険が差し迫ったような患者さんが救急車で運ばれてきます。すると、病院としては診療時間外だからといって医師を置いておかないわけにいかないのです。当直という形で、当番制で医師は夜間に勤務しています。

人員が豊富にいる病院では、当直が回ってくる回数が少なかったり当直中に複数人で診療にあたることができたりします。しかし、人員不足に悩む病院では、1人の医師が週に何回も当直したり、病院内の急変から救急車まで全て1人で対応しなければならなかったりします。当直の翌日も普通に日中の診療にあたることもあり、当直明けの先生は大体疲れ切っています。

また、当直でなくても急に病院から呼び出されることもあります。例えば緊急手術が必要になった場合や受け持ちの患者さんが急変した場合などです。手術には多くの人員が必要ですし、主治医はその患者さんに何かあればすぐ対応しなければなりません。

当直や呼び出しだけじゃなく、書類作成などの雑務も多い

さらに、日常の業務も大変です。

例えば、外来が大混雑してしまい、定時までに患者さんを捌ききれないことがあります。午前までの診察予定であるにも関わらず、午後まで診察しているなんてことは日常です。特に、大学病院などの大病院には患者さんが集まりやすい傾向があります。

医師の業務は多忙で、内容も多岐にわたっています。書類作成などの雑用が地味に時間がかかります。大学病院の医師となると、加えて学生や研修医の指導も仕事のうちなので、さらに大変かと思います。

今は働き方改革も進んでいる!2024年から勤務医にも時間の上限が適用される

近年進んでいる働き方改革は、ついに医師にも適用されることになりました。

命を預かる職業である医師が、長時間勤務で疲弊しきった状態で仕事をすると、重大なミスを犯して患者さんの命に危険が及ぶため医師に過度な勤務をさせないことは重要です。

一方、地方では人材不足に悩まされているケースもありますし、研修医など若手医師は長時間働くことで知識や技能を獲得できることから、長時間勤務を必ずしも否定できないというのも現状です。

そこで、医師の勤務時間の上限は、年間960時間の時間外労働と定められました。

地域医療に従事する医師や研修医など若手医師は1860時間までの時間外労働が許容されます。また、連続勤務を28時間以内とすることや勤務間のインターバルを9時間取ることなどが定められました。

しかし、それでも一般企業よりは緩い規則になっていますし、過労死ラインを超えるような水準であることに変わりはありません。医師の健康管理と人員確保の両立が今後の課題となりそうです。

気になる方は下のリンクもご参照ください。

時短勤務という働き方もある

医師の仕事が激務であると聞くと、不安に思われる方もいるでしょう。特に、将来的に結婚、出産、子育てを考えている人にとっては、そういったことと医師の仕事の両立ができるのか気になると思います。

実際には、すべての医師がフルタイムでの労働プラス時間外労働をしているというわけではありません。中には時短勤務と言って、午前中だけ週3回など限られた条件のもとで医師として働きながら子育てをしている人もいます。保育園に子供を預けてから出勤できる、当直が免除されるなど、子育てと仕事を両立させられる環境を整備している病院や診療科があります。

かつてはこの時短勤務を選択するのはほとんど女性だったようですが、最近では男性でも時短勤務に切り替える人も出てきているようです。病院や診療科を選ぶ際に、時短勤務など子育てをしやすい環境があるかというのも調べてみると良いかもしれません。

医師が働く場所は多種多様

医師が働く場所は結構たくさんあります。つまり、自分のライフスタイルに応じて、働く場所を選択できるということです。

また、臨床に専念したいのか、研究に専念したいのかによっても働く場所は変わってきます。

1、病院で働く

医師というと、病院で働くイメージが強いのではないでしょうか。

実際、多くの医師が病院に勤務していることが多いです。開業医や勤務医と呼ばれる医師です。

病院といっても、大学病院などの規模の大きな病院から近所のクリニックまで様々です。大病院では大きな手術や重症症例に対応可能なので、経験症例を増やすには適しています。

2、研究機関で働く

医師の免許を持ちながらも、研究機関で働き、医学研究に従事することも可能です。医学研究は、医学の発展のために非常に重要です。

医学研究はあまり親しみがないですが、今日当たり前に用いられている治療も研究なしでは成り立ちません。

ノーベル生理学賞を受賞した山中伸弥先生も、外科医から研究医に転身し偉業を成し遂げています。

山中先生ついて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

3、国の機関で働く

読者の皆さんは、医系技官というのをご存知でしょうか?

医系技官とは、厚生労働省に所属し国の医療のために働く医師のことです。現場の状況を把握し、それを政策に反映する役割があります。

海外拠点でも活躍できるので、日本の医療のみならず海外の医療も良くしたい!と思っている方には、非常に興味深い職場です。

厚生労働省のHPで詳しく説明されているので、ぜひそちらもご覧ください!

4、フリーランスで働く

どこの場所にも属さない、フリーランスという働き方もあります。

フリーランスとは、特定の企業や団体に所属せず、仕事に応じて自由に契約する人たちのことです。医師の場合は、特定の病院や大学医局に所属せず、かつ開業をしているわけでもなく、非常勤で医療行為をおこなっている医師のことを指します。

なかなか馴染みがないと思いますが、多様化が進んだ現代では注目するべき働き方であることは間違いありません!

大学や病院の都合に左右されず、自分の好きな時間帯や仕事内容を選ぶことができます。フリーランスが広がったことで、育児をしている女性医師にとっても働きやすい環境は広がっています。

以降では、フリーランス医師について、詳しくご紹介していこうと思います。

フリーランス医師の働き方

フリーランス医師の働き方は大きく分けて3種類です。①「定期非常勤」②「スポット」③「定期非常勤」と「スポット」の組み合わせです。詳しい話は転職エージェントのサイトを見てみてください。

「定期非常勤」の働き方

「定期非常勤」は、半年から数年の長期の契約期間で、週何回、1日あたり何時間などと曜日や時間を決めて働く勤務形態です。自分の都合に合わせて働き方を調整できる上に、長期間安定して仕事を得ることができます。さらに例えばA病院で月曜と水曜に6時間ずつ、B病院で木曜に5時間、といったように複数病院で「定期非常勤」として仕事をすることもできます。特に専門性の高い医師であれば、複数病院で外来を週1回ずつ担当するだけでも重宝されることでしょう。また、日中の勤務ではなく夜勤や当直専門の医師として非常勤で仕事をすることも可能です。病院側としても、高い専門性のある医師を常勤で雇わなくても週1回など定期的に非常勤で来てもらえることや、常勤の医師に代わって当直を担当してくれる代わりの医師がいることはありがたいことです。

「スポット」の働き方

「スポット」は、常勤医師が学会参加や病気などで診療ができないときに、代理として1日〜数日代わりに外来や当直に入る形態です。1回あたりいくらといった条件で契約し、「定期非常勤」よりも1回あたりの報酬が大きいようです。夏休みや年末年始などには需要が増しますし、給料も上がるためその期間を狙って仕事をするフリーランス医師も多いようです。最近では、ワクチン接種のスポットバイトも多いですし、健診など医師でないとできない仕事は多いので「スポット」で募集される仕事も多いです。一方で、安定して仕事が供給される保証はありません。

「定期非常勤」と「スポット」を組み合わせた働き方

「定期非常勤」で安定して仕事を確保しつつ、「スポット」で高時給の案件を単発でこなすといった働き方もできます。フリーランスは自分の好きなように働き方を決められるので、こうしたいいとこ取りの働き方ができるのです。組み合わせた働き方でも、常勤医師よりも短い勤務時間で高収入を得ることが可能です。

フリーランスのメリットとデメリット

フリーランスで働くメリットとデメリットをまとめます。以下のサイトなどを参考にしています。

自分の都合で働けるというメリット

・自分の好きなように働き方やライフプランを設計できる

→常勤医として働いていると、どうしても医局や病院の都合に振り回されることもありますし、残業や当直に追われることも多いようです。しかしフリーランスであれば、その辺りの縛りから逃れることができます。

・短時間で高収入を得られる

・研究活動や他の分野での業務と並行して医師としての業務ができる

・子育てや介護など常勤で働くことが難しくても柔軟に仕事ができる

・組織のしがらみや人間関係から解放される

安定を求める医師には向かないというデメリット

・雇用が安定していない

・学会参加が自己負担であるなど新しい知識や技術を習得する機会が少ない

・専門医を維持できないこともある

→常勤医として働いている場合、学会参加の機会をもらったり、参加費を医局が負担してくれたりするほか、各種勉強会が充実しているために最新の知識や技術を取り入れやすくなります。また、診療科によっては専門医維持に必要な条件が定められていることがあり、常勤の働き方でなければ専門医を維持できないこともあるようです。

・医療事故の発生時などトラブル時に後ろ盾がいない

医師のキャリアは十人十色

人の命に関わる職業であり、責任は非常に大きいです。

しかし、現場の先生方もおっしゃるように、患者さんが回復した時の喜びや人間の生命力の強さを目の当たりにすると、また頑張ろうと思えます。患者さんはもちろん、家族からの感謝も原動力になります。

近年は自分に合った働き方を選ぼうという風潮も高まっており、より働きやすくなってきている事は事実です。

医大生としても、ワークライフバランスを保ちながら医師として働き続けることができる環境が整うことを望んでいます。

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