【大調査】自らの出身大学でないと医学部教授になれないのか?
出身大学ではないと医学部教授になれない。
どこそこの大学ではどこ出身の人しか教授になれない。
医療系の教授にはさまざまな噂があります。
今回は、実態を大調査、医学部の教授の出身ランキングを紹介します。
1.国公立大学の教授出身ランキング
北海道大学と名古屋市立大学の医学部の教授の出身を調べました。
①北海道大学
北海道大学の医学部の教授の出身を調べました。準教授、助教などは含めていません。公表されている場合は、卒業した大学名を数えました。卒業した大学がわかなかった場合は、さかのぼれる中で最も古い学士、修士、もしくは博士を取得した大学名を数えています。また、「北海道大学研究者総覧」から医学研究院に所属している教授のみを数えています。
北海道大学 | 20 |
慶応義塾大学 | 2 |
旭川医科大学 | 1 |
山口大学 | 1 |
金沢大学 | 1 |
千葉大学 | 1 |
不明 | 2 |
東京医科歯科大学 | 1 |
九州大学 | 2 |
東京大学 | 1 |
名古屋大学 | 1 |
東北大学 | 2 |
佐賀大学 | 1 |
(「北海道大学研究者総覧」より作成。2024年2月9日現在。)
やはり北海道大学出身の教授が多いようですね。一方で、40%前後は他大学出身の教授もいるようです。
②名古屋市立大学
名古屋市立大学の教授の出身も調べてみました。先ほどと、数え方の基準は変わりません。所属が医学研究科の教授のみ数えています。
名古屋市立大学 | 27 |
不明 | 9 |
京都大学 | 4 |
大阪大学 | 3 |
九州大学 | 3 |
名古屋大学 | 3 |
東京大学 | 2 |
東京医科歯科大学 | 2 |
岐阜大学 | 1 |
広島大学 | 1 |
愛媛大学 | 1 |
東北大学 | 1 |
北海道大学 | 1 |
熊本大学 | 1 |
岐阜薬科大学 | 1 |
佐賀医科大学 | 1 |
筑波大学 | 1 |
東京医科大 | 1 |
神戸大学 | 1 |
金沢大学 | 1 |
鳥取大学 | 1 |
(「名古屋市立大学研究者データベース」より筆者作成。2024年2月9日時点。)
先ほどより名古屋市立大学出身の教授の割合は少ないようですね。一方で、経歴を調べてみても出身大学がよくわからなかった教授も多くいました。また、多大出身の教授も一つの大学に固まることが無く、色々な大学から教授が集まっていることがわかります。
2.慶応義塾大学の教授出身ランキング
慶応義塾大学の医学部の教授の出身大学を調べてみました。慶応義塾大学医学部医学研究科に所属する教授の出身大学を数えました。また、医学分野だけではなく文学や倫理学などが専門の教授も数人所属していました。
*準教授、助教などは含めていません。公表されている場合は、卒業した大学名を数えました。卒業した大学がわかなかった場合は、さかのぼれる中で最も古い学士、修士、もしくは博士を取得した大学名を数えています。
慶應義塾大学 | 45 |
東京大学 | 4 |
不明 | 3 |
大阪大学 | 2 |
自治医科大学 | 1 |
岐阜大学 | 1 |
筑波大学 | 1 |
京都大学 | 1 |
神戸大学 | 1 |
東京歯科大学 | 1 |
旭川医科大学 | 1 |
新潟大学 | 1 |
弘前大学 | 1 |
The university of Cambridge | 1 |
日本女子大学 | 1 |
東京工業大学 | 1 |
信州大学 | 1 |
北海道大学 | 1 |
九州大学 | 1 |
一橋大学 | 1 |
(「教員・研究者」より筆者作成。2024年2月9日時点。)
先ほどの2つの大学と比べると、慶応義塾大学出身の教授が圧倒的に多いですね。ほとんどが慶応義塾大学出身の教授でした。また、調べているなかで気づいたこととして、慶応義塾大学付属中学・高校から進学していた教授もちらほら存在していました。
3.医大の教授はその大学の出身者が多い。
今回は、3つの大学しか調べられませんでした。一方で、3つの大学ともその大学出身の教授は40%以上なことがわかりました。2004年の調査によると、医療系の学問分野は自校出身者が多いことがわかります。
計 | 人文科学 | 社会科学 | 理学 | 工学 | 農学 | 保健 | 商船 | 家政 | 教育 | 芸術 | その他 | ||
大学全体
|
計 | 33.5 | 16.3 | 16.1 | 24.9 | 34.7 | 41.7 | 54.8 | 40.6 | 28.7 | 17.6 | 23.1 | 20.7 |
国立 | 42.6 | 25.4 | 24.5 | 31.9 | 44.1 | 46.7 | 62 | 40.9 | 15.4 | 21.2 | 25.3 | 41.8 | |
公立 | 25.1 | 10.3 | 9.8 | 11.4 | 17.9 | 15.6 | 41.9 | - | 22.5 | 7.4 | 24.9 | 5 | |
私立 | 28.2 | 13.7 | 14.1 | 16.3 | 24.6 | 33.7 | 52.3 | 50 | 32.3 | 15 | 22.2 | 13.3 |
(「設置者別 専門分野別 本務教員のうち自校出身者が占める割合(平成16年度)」より)
ここでの保健分野とは、医学、歯学、薬学、看護学などのことを指します。文系の学問分野では自校出身者が30%を超えることがないのに対し、保健分野では50%を超えています。特に、保健分野の国立大学では自校出身者が62.0%も占めており、高い比率となっています。
大学教授における自校出身者が占める割合について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。
まとめ
今回は、医学部の教授とその出身大学について調べました。分かったこととしては、1)自校出身者は全体の40%前後、2)そもそも医療分野は自校出身者が教員になる割合が高い、ということが挙げられます。将来、医学部の教授になりたい場合は、どの大学に進学するかが重要なのかもしれません。
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