医学部の編入学試験とは?実施大学29校・実施時期一覧も
みなさんは「編入」という言葉はご存知でしょうか。
一度他大を卒業したけれど医者になりたい!という場合は、再受験の他に編入試験という方法も選択肢に入ります。
今回の記事では、「医学部編入試験とは」「どんな試験内容が出るか」を解説します。
編入試験と一般試験を比較して、自分にあった方法で医学部に入りましょう!
Contents
医学部編入試験は大卒向け
医学部編入試験とは、様々な人材を確保することを目的として医学部以外の大学を卒業した学士、もしくは学士取得見込み者を対象に行われる試験(筑波大学・群馬大学・大分大学は卒業していなくてもOK、東海大学は高専や短大卒でもOKと学校によって多少差はあります)。
合格すると、ほとんどの場合医学部の2年前期に入れます。
一般入試に比べて短い年数・安い学費で医学部を卒業できますが、その分入試で求められる学力のハードルが高く募集人員も少ないこと、過去問があまり出回らず対策が難しいのが特徴です。
文系学部出身者や、有名大学卒でなくとも合格者がいるのがこの制度の特徴です。しかし、旧帝大卒の人や海外大学卒業者が合格者に多いのが私の印象です。たとえ有名大学卒、大手金融会社で働いていた人でも何年も挑戦をして結局一般入試で私立医学部に合格した知り合いもいます。
試験科目は、英語力・生命科学の2科目
医学部の編入試験では、学力試験として英語と生命科学(学校によって+物理・化学・数学)が課されます。
レベルは大体英語と生命科学が大学教養(2年次)レベル、物理・化学・数学が高校レベル。
大学受験とは違い、英語は下線部の和訳と内容についての説明問題がほとんどになります。
そのため、試験では文法事項より単語力と背景知識が重要となるでしょう。
英語の個別試験を課す代わりとしてTOEFL(もしくはTOEIC)を導入していたり、出願要件にしている大学も多くあるので、場合によってはTOEFLの対策も必要です。
また、もちろんこれ以外に面接・小論文などもあります。
大学によってこちらもバラエティーがあり、基本的な面接の他にグループ面接、その場で出される文章についてのスピーチを行う、口述試験などの場合も。
一般入試以上に編入試験で聞かれる内容やレベル、形式は様々です。
漠然と「医学部に編入したい」と考えるのではなく、自分の志望動機やなりたい医師像から「〇〇大学の医学部に編入したい!」と最初に決め、情報収集や対策を行っていきましょう。
一般入試よりも狭き門
編入試験の合格者は、概ね受験者の5%程度です。
医学部の編入試験での合格者は大体5人ですが、その枠を争って100人程度が受験します。
医学部の一般入試での合格率が約10%なので、それに比べても高い数値と言えるでしょう。
「英語+生命科学」タイプの受験科目が少ない学校のほうが倍率が高く、「英語+生命科学+物理・化学」など受験科目が多い学校のほうが倍率がやや低くなる傾向にあります。
試験対策科目が少ないほうが試験のハードルは低いですが、その分多くの人が受験しやすくなります。
科目数が少ないと、1科目あたりの難易度も高めになりがち。
「もともと文系だから2科目で受験できる学校にしよう」と安易に考えるのではなく、自分の適性などから慎重に受験する学校を選択するといいかもしれませんね。
試験時期は大学によって様々
編入試験は、一般入試のように決まった時期に行われるわけではありません。
多くは夏、7月〜9月頃に試験が行われますが、琉球大学は4月に願書が締め切られますし、弘前大学では12月まで試験を実施しています。
一般入試に比べて変更されることも多いので、気になる大学がある場合は正確な試験時期を必ずチェックしておきましょう。
独学で合格するのは茨の道
今現在社会人だったりすると、専門の予備校に通う時間やお金を捻出することが難しい人も多いでしょう。
しかし、独学での医学部編入は、一般入試と同様険しい道のりです。
単に学力試験の対策をするだけなら、「Essential細胞生物学」などおすすめと言われる参考書を使ったり、TOEFLの勉強をしたりすることである程度はカバーできるでしょう。
しかし、面接対策をしたり、小論文を添削してもらったり……となると、自分一人では難しくなってきます。
スピーチやグループ討論などが課されると、更に難易度は上昇。
「自分一人ではそこまでは難しいかも……」と思うのであれば、専門の予備校を検討したほうがいいかもしれません。
情報収集が楽になり、モチベーション維持などの効果も期待できます。
編入試験を実施する大学一覧
2022年に編入試験を実施する大学は、国立が26校、私立が3校です。
それぞれの大学の定員と課される科目、TOEFLの有無や時期(一次試験日)を一覧にしました。
国立大学
大学 | 定員 | 科目 | TOEFL/TOEIC利用 |
一次試験日(2022年度)
|
北海道大学 | 5 | 生命科学・課題論文・面接 | ◯ | 8/22 |
旭川医科大学 | 10 (国際医療人枠5・地域枠5) |
生命科学・英語・面接 | ✕ | 8/21 |
秋田大学 | 5 | 書類選考・小論文・生命科学・面接 | ✕ | 10/18 |
弘前大学 | 20 | 基礎自然科学・数学・個人面接 | ◯ | 11/28 |
群馬大学 | 15 | 小論文×2(英語及び自然科学の能力を問うことがある)・面接 | ✕ | 8/29 |
筑波大学 | 5 | 英語・数学・化学・生物学・面接・小論文 | ◯(任意) | 7/10 |
東京医科歯科大学 | 5 | 自然科学総合問題(英語により出題する場合がある)・面接 | ◯ | 6/9 |
浜松医科大学 | 5 | 生命科学・英語・小論文・面接 | ✕ | 9/1 |
金沢大学 | 5 | 生命科学・口述試験(グループあり) | ◯ | 9/24 |
富山大学 | 5 | 課題作文・総合試験・口頭発表・面接 | ✕ | 5/16 |
福井大学 | 5 | 自然科学総合・面接 | ✕ | 9/11 |
名古屋大学 | 4 | 英語・生命科学を中心とする自然科学・小論文・面接 | ✕ | 7/29 |
滋賀医科大学 | 15 | 総合問題・英語・小論文Ⅰ・小論文Ⅱ・個人面接 | ✕ | 9/25 |
大阪大学 | 10 | 物理学・化学・生命科学・小論文・面接 | ◯ | 7/3 |
神戸大学 | 5 | 生命科学と英語の総合問題・口述試験 | ✕ | 8/5 |
岡山大学 | 5 | 書類審査・生物学・科学英語・面接 | ◯ | 7/3 |
鳥取大学 | 5 | 基礎科学・英語・面接 | ✕ | 7/3 |
島根大学 | 10 (2年次編入5・3年次編入5) |
英語・自然科学総合問題・面接 | ◯ | 8/28 |
山口大学 | 10 (うち地域枠3) |
自然科学・小論文(外国語あり) | ✕ | 10/3 |
香川大学 | 5 | 自然科学総合問題・面接 | ◯ | 6/5 |
愛媛大学 | 5 | 英語・自然科学総合(生命科学・物理学・化学・分子細胞生物学)・個人面接 | ✕ | 7/24 |
高知大学 | 5 | 英語・数学・物理学・化学・生物学・面接・グループワーク | ✕ | 7/31 |
長崎大学 | 5 | 生命科学系科目・英語・小論文・面接 | ✕ | 8/27 |
大分大学 | 10 | 生命科学・英語・個人面接・発表及びグループディスカッション | ✕ | 6/22 |
鹿児島大学 | 10 | 英語・生命科学を中心とした理科・個人面接 | ✕ | 6/5 |
琉球大学 | 5 | 小論文×2・自然科学総合×2・個人面接 | ✕ | 5/13 |
私立大学
編入試験を実施している私立大学は3校ですが、岩手医科大学は歯科医・歯学部卒者向けの編入試験となっています。
東海大学・北里大学はどちらも1年後期の編入となり、募集人員も少ないので注意が必要です。
大学 | 定員 | 科目 | TOEFL利用 | 一次試験日 |
岩手医科大学 (歯学部卒向け・3年次編入) |
4 | 生命科学全般・小論文・面接 | ✕ | 2/15 |
東海大学 (1年次後期編入) |
15 | 書類審査・英語・適性試験・個人面接 | ✕ | 7/3 |
北里大学 (1年次後期編入) |
若干名 | 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(一般選抜試験問題の一部・「データの分析」「確率分布と統計的な推測」を除く)・化学基礎・化学・生物基礎・生物・英語(一般選抜試験問題と同じ)・論文・面接 | ✕ | 2022/1/30 |
再受験には私立がオススメ
なぜ私立医学部がオススメなのか。ズバリ、難易度が低めだからです。
ここから具体的に解説していきます。
医学部再受験を目指す方は、すでに他の大学を卒業された方や働かれていた方が多いですよね。もちろん学費が安い国公立に合格できればな…という思いをもつでしょう。
しかし、国公立大学の医学部に合格するためには一般受験であれば共通テストにおいて5教科7科目で少なくとも80%以上、できれば85%以上の得点率が欲しいというのが現状です。
ご自身の中でタイムリミットが1年間なのであれば、それまでの間に共通テストで得点を取り、二次試験でもある程度の点数を取ることは可能でしょうか?もし可能であればぜひ挑戦していただきたいです。
しかし医学部の二次試験で使わない科目まで勉強することに時間を使うのはかなりのハードワークですし、そもそも本番で満遍なく得点できるかもわかりません。実際に私の知り合いで国公立医学部を再受験していた人は何年も勉強に取り組み、その後連絡が取れなくなりました…
また、英語や生命科学といった科目が入試科目となる大学が大半ですが、コネが効くのもこの入試の特徴だなと感じております。
合格までの基準が見えづらい入試制度ですので、一般入試と並行しながら挑戦するのが妥当でしょう。
それに比べて私立医学部は3教科4科目で良く、最低限の勉強内容で合格できます。また、合格までに必要なレベルが明確であり、1年でいろんな大学を受験できることで合格できる可能性も広がります。
国公立医学部を目指したい方は、私立医学部に合格できる力を身につけた後に考えることが必要かと思います。
合格のためのポイント3選
では具体的に再受験で合格するためのポイントはなんでしょうか?
1、勉強時間の確保
まず1つ目は、勉強時間の確保です。働きながら、または大学院などに通いながら受験する人も沢山います。その場合、生活と勉強の両立が大切になってきます。効率よく、しかも量も担保しながら勉強することが医学部合格に求められますので、勉強プランを計画しましょう。プランの立て方は、以前私が書いたこちらの記事を参考にしてください↓
2、編入する明確な理由
2つ目は、医学部再受験の確固たる理由です。これは二次試験の面接でかなり重要です。
正直、私立医学部からしたら現役生をなるべく入れたいと思っています。長く医師として働いてもらえますし、病院という組織にも馴染みやすいためです。そんな中でも再受験生を取りたいと思ってもらえるかは、みなさんの説得力にかかっています。
辻褄の合ってない理由やあまり好印象を抱かれないような理由を言うのはかなり危険です。幸い、医学部不正入試問題が明るみになってきてから、入試における公平性が比較的担保されているように思えます。今のうちに合格を決めましょう。
3、学費の工面
3つ目は学費の問題です。私立医学部であれば面接の際に再受験生は「学費はどのように工面するか?」といった質問をされることがあります。奨学金にもいろんな種類があり、選んで活用することが重要です。私が以前書いたこちらの記事も参考にしてください↓
また貯金を貯めてそれを学費に充てたり、働きながら学校に通うという手もあります。どのようにすれば自分が通えるか、シミュレーションしておきましょう。
いかに最短で医学部に合格するかを考える
医学部に合格するためにはいろんな側面を考えなくてはいけません。
私立or国公立、入試科目、学費、立地…etc.
どうしても行きたい大学が限られている、などの特別な理由を除き、医学部に合格できればどこでもいいという人も多いかと思います。
どうすれば合格できるのか、一度自分自身と向き合って考えてみると良いでしょう。
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