当直と夜勤の違いは?医師は実際どのくらいの時間働いているのか

医者のキャリア

みなさんこんにちは。暑かったり寒かったりと体温調節に忙しい時期ですが、体調は崩していませんか?

今日は、医師の当直についてお話ししたいと思います。

夜勤と当直の違い

そもそも、夜勤と当直の違いってみなさんご存知ですか?

夜勤形態での勤務は看護師に多いですね。これは、日勤・夜勤というようにシフトを作っています。そのため

日勤:8〜16時
夜勤:16時〜翌朝8時
または
日勤:8〜16時
準夜勤:16〜深夜0時
夜勤:0時〜8時

というように、勤務時間が決まっており、それぞれの時間で業務に当たっています。つまり、夜勤は名前の通り「夜に勤務する」ということです。

では当直とはどんなものなのでしょうか?

労働基準法第41条には「ほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない軽度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。」とあります。

つまり、何かあれば対応するものの、その時間全てフルで仕事をするわけではなく、空いた時間は休憩するなり寝ていてもいい、ということです。

当直の時間は病院によっても変わりますが、おおむね17時から翌朝の8,9時までということが多いようです。

当直って何するの?

で、何をするのでしょうか?上に載せた法律では検温などと書いてありますが、検温なんて看護師さんがしてくれますよね(笑)

当直は主に、「何かあった時の対応係」という役目です。

例えば

「病棟の患者さんが発熱しているので、診てもらえないでしょうか?」
「患者さんの血圧が下がりました。どうすればいいでしょうか?」

こういったヘルプが夜勤をしている看護師さんから出されたら、当直をしている医師の出番です。

呼ばれた病棟に行き、まず患者さんの状態を確認します。もしも知らない患者さんであれば、カルテを見てどういった疾患を持っているのかや飲んでいる薬などを調べて把握します。そして、薬を出すのか・検査をするのか・朝まで様子を見るのか、などその場に応じた対応や看護師への指示を出します。この一連の流れが当直している医師に求められることです。

また、これは各科の病棟の当直にあたる場合のケースです。研修医は救急外来の当直というものを担当することが非常に多いです。

救急外来は、緊急の状態だと自分で判断した人、または救急車で運ばれてきた人への対応をします。

症状・身体診察・検査・検査から考えられる疾患を考える・治療…などなど、臨機応変に対応していきます。

病棟の当直と違って、カルテにその日までの記録がない場合がほとんどです。そのため、今起きている症状の原因がわからない、アレルギーや飲んでいる薬もわからない、ということもザラです。

自分が研修医になって救急外来をやるようになるのか…と想像すると、ちょっと不安になりますよね。ですが、病院には研修医よりもベテランの医師がおり、判断に迷った時や困った時には相談できる体制が整っています。

当直は日中に比べて医師の人数も限られているため一人当たりの仕事量が必然と増えますが、その分医師として最低限必要なスキルが確実に身につく大切な勤務です。

当直あるある

ここで、いろんな先輩ドクターから聞いた当直あるあるを紹介していきたいと思います!

①呼ばれて行ったら患者さんがベッドの上で仁王立ち

怖いですね〜(笑)

これはせん妄と呼ばれ、術後などの特別な環境下でよく起きる状態です。高齢者に多く、自分が置かれた状況がわからず、暴れたりしてしまいます。

今まで何人かの人からこのエピソードを聞いてきたので、多いのでしょうね。

②夜中の2~3時に呼ばれるのが一番疲れる

これもいろんな先生から伺いました。当直開始後すぐは普段から起きている時間ですので、呼ばれてもなんともありません。しかし、ちょうど眠りが深くなってきた深夜の時間帯に起こされると、翌日に起きた時の疲労度が凄まじいとのことです。

③ずーっと眠れる当直のことを寝当直という

一番最初に書いた労働基準法に基づいて考えると、「え?寝れない当直あるの?」と思われるかもしれませんが、実は全然寝れない当直も存在します。患者がひっきりなしに運ばれてくる病院では全く寝れずに朝を迎えるということもあります。

しかし逆に一回も起こされずにずっと寝続けられる当直は寝当直といい、

「〇〇科の当直は寝当直だからいいよね〜」といった会話に使われます。

④当直後もそのまま勤務のことがある

当直をしたらそのまま帰れるかというと、そうとも限りません。患者さんの血圧などが落ち着かず、処置をしなければいけない場合はそのまま残って対応するということもよくあります。そもそも、当直明けもそのまま仕事するのがデフォルト、という病院もあります。

これについてはまたの機会に詳しく書きたいと思います。

⑤大変な当直明けは達成感で満ち溢れる

もちろん大変なことが多いですが、当直明けに他のドクターに患者さんをお願いして勤務が終わった後は、責任から解放されてほっと一息つけます。当直明けに温泉♪なんてのも素晴らしいですね!

当直は大変だけど重要な仕事

いかがでしたか?とても大変そうに聞こえてしまったでしょうか?

実際、当直勤務は大変なことも多く、研修医は当直勤務を不安に感じることも多くあります。

しかし患者さんがいる限り、必ず誰かがやらなければならない仕事であり、絶対に必要な仕事です。

また、当直によって大変なことを経験したからこそ、実力が伸びたということも多いです。事実、研修医は当直で救急外来の対応を学ぶことで、その後専門医のコースに進んだ時に余裕を持って対応することができます。

みなさんが医師となって働き始めたときに「当直頑張ろう!!」と思ってもらえたら幸いです。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

【2023年版】 現役医大生が選ぶ医学部予備校おすすめTOP5