【速報2022】圧倒的人気の最高峰の首都大学!その医学部の実態を徹底解剖!

医学部入試情報

東京は、4月後半くらいから雨の日が多いです。いわゆる「五月晴れ」のように気持ちよくカラッと晴れる日が少なく、雨の日そのものも多いですし、曇っていて少し雨が降るといったスッキリしない天気の日も多いです。皆さんが住んでらっしゃる地域は、いかがでしょうか。気象庁は正式には発表していませんが、私の周りでは、「東京では、実質2か月、梅雨が続く年があり、今年もそうなんじゃないか」と囁いている人もいます。

さて、前回の記事で、首都圏の人気医学部である、千葉大学医学部と東京医科歯科大学医学部を詳しく分析・解析しました。

大都市圏の関東とはいえ、国公立大医学部は、その人口に比して数が少なく、関東北部の群馬大学医学部と筑波大学医学群を除けば、東京医科歯科大学医学部、千葉大学医学部、東京大学医学部、そして公立の横浜市立大学医学部の4つだけなのでしたね。(防衛医科大学校医学教育部と、一般的に「首都圏内」の山梨大学医学部を除く)

この事情を鑑みれば、毎年、東京や神奈川の優秀な医学部受験生が、地方の国公立医学部に飛び立っていく現状がうなずけるというものです。でも、そうなると、東京に残って医学部に進学する人の受け皿の最高峰である、東京大学の医学部が、どのような実態なのか気になります。本日は、関東南部の医学部のうち、前回解説しなかった東京大学医学部を、詳しく分析します。

東京大学医学部の最新情報

進学振り分けって何?

まず、ご存じの方も多いと思いますが、基本的なことから解説します。東京大学医学部を目指す人は、基本的に東京大学の「理科3類」と呼ばれる部類を受験します(俗にいう「理Ⅲ」です)。東京大学には「進学振り分け」と言われる制度がありまして、1・2年次の教養課程の成績によって、3年次に進学できる学部が決まります。そのため、大学入学時は、まだ「文学部」「経済学部」「理学部」「医学部」などに分類されておらず、どこの学部に進学するか決まっていません。なお、かつては、東京大学は「進学振り分け」の制度を採っていなかった時期もあり、学内で多様な議論や論争もあります。

医学部を志願する人がなぜ「理科3類」を受験するかというと、「理科3類」の学生は、3年次から医学部に進学するためのハードルが低いからです。つまり、「教養課程の成績が多少悪くても医学部に進学させてあげるよ」、という保険があるのです。逆に言えば、理科2類の東大生でも、1・2年次の成績が非常に良ければ医学部に進学できる可能性は残されています。

この「進学振り分け」の詳細については、学外には発表されない形で微細な変更がなされるときもありますが、医学部志願者が「理科3類」を受験するもう1つの理由として、東京大学医学部医学科へは、理科3類から最も多くの学生が進学するから、というものがあります。私の後輩の最新の情報によれば、医学部医学科へは、理科3類から約100名、理科2類から約10名、その他の科類(部類)から約3名が進学しています。

 

公式データに基づく最新入試情報

では、日本屈指の最難関と謳われる理科3類の最新入試情報を分析します。

2022年の入試において、東京大学は全ての学類において前期日程のみの入試で、理科3類は、97名の定員に対し、志願者数は421名、倍率は4.3倍です。昨年の理科3類の倍率が4.0倍ですから、やや難化したことになります。なお、理科3類に次いで医学部医学科に進学できる理科2類の倍率は4.2倍で、昨年の理科2類の倍率は3.7倍ですから、理科2類はかなり難化しました。

なお、理科3類と理科2類以外の学類の倍率は、今年も昨年も、ちょうど3倍前後になっており、これらの数字からも、昨今の不安定な社会情勢・雇用現状を反映した、医学部人気の再燃を分析することができます。

理科3類の倍率も、理科2類の倍率も、他の旧帝国大学の医学部医学科の倍率と比較すると、押しなべて1.0倍程度高くなっており、圧倒的なネームバリューを誇る、旧帝大の頂点である東京大学の医学部に進学したいという優秀な受験生の多さを分析できます。

国家試験合格率などの医学部情報

東京大学医学部の特徴としては、東京大学の他の学部と同様ですが、国内最優秀の教授陣から、最先端の研究内容・知見を講義してもらえるという点にあります。医学部に進学して間もない3年生のうちから、知的好奇心を刺激する最前線の学問をわかりやすく教えてもらえるため、大学院に進学して、もしくは海外に留学して、将来は何らかの形で医学的研究に携わりたいという人が多いです。

しかし、そういった華々しさの一方で、最先端の研究に没頭することのデメリットもあるようです。それは、国家試験合格率が、あまり振るわないことです。最新情報をもとに分析します。

2022年の医師国家試験において、東京大学医学部は、出願者数が117名、受験者数が115名、合格者数が101名であり、合格率は87.8パーセントです。千葉大学医学部の今年の合格率が96パーセント、東京医科歯科大学医学部の今年の合格率が97.3パーセントであることと比較すると、東大の合格率は10パーセントほど低く、「最難関の理科3類」のイメージに合わず、「意外な結果」になっています。

 

多彩で自由意思に基づく学問研究を重視する東大の気風を反映

この原因としては、自分の興味のある最先端の研究を追いかけてしまう傾向が挙げられ、次いで留学のために語学などの勉強に走ってしまうことなど、本気を出せば受かるのに、医師国家試験の勉強に専念しない学風によるものです。大学院重視、研究・語学重視、国際性重視などの東京大学そのものの気風を反映しています。

東京大学は、医学部以外の学部や大学院でも、自分の論文テーマとは関係ない勉強にハマってしまったり、マニアックな語学の勉強に注力してしまったり、といったことが、慣習として往々にして多いのです。東京大学全体が、そういった自由意志の発露たる勉学を妨げない、自由な学風です。たとえば、森鷗外は、1881年に東京大学医学部を卒業し、数年後に医学と衛生学を学ぶためにドイツに留学しますが、現地では画家や芸術家とも交流し、歴史や文学の講義も熱心に聴講しつつ、ハルトマンの美学に傾倒し、帰国後は人文学や芸術の分野においても文筆・翻訳活動で成果を上げました。このように、まさに19世紀ドイツの大学に吹いていたような、連綿と続く「大学の自由な風」が東京大学のキャンパスには今でも吹いています。

なお、東京大学医学系研究科・医学部の公式ホームページは以下よりご覧ください。一般の方向けに大学院入試説明会の情報が掲載されているほか、「広報・プレスリリース」の欄には、医学に関する様々な研究結果やニュースが掲載されています。「子供の数と学歴・収入の関係」や「高齢日本の20年後、介護費増」といった、医学と社会学を交差させたような、東大らしい学際的研究の成果も報告されており、非常に興味深い内容です。東大医学部を志す人は、面接・小論文のための勉強としても、要チェックの内容です。

その他、公式ホームページには、「PhD.MDコース」や「健康と医学の科学館」のリンクが右側に並んでいます。医学に関係する理系分野や、その分野の研究に興味のある人は、一読しておくと良いです。「PhD.MDコース」とは、一部の国立大学に敷かれている医学部の大学院制度で、医学部4年次を修了した後で博士課程に入り、医学に関する研究で博士号を取得し、それから再び医学部5年次に復帰して医学部卒業という流れです。早いうちに医学部生に本格的な研究に従事させるというもので、東大が重視する「早期の能力開発」にも軌道を合わせています。

なお、今回の記事で引用した、官公庁発表の公式データについては以下のページをご参照ください。上が、厚生労働省による「医師国家試験 大学別合格者状況」です。下が、文科省による「令和4年度 入学者選抜確定志願状況」です。

 

 

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