医学部は留年率が高いって本当?
留年しないためにはどうしたらいい?

現役医大生の実情

入試の難易度が高いことで有名な医学部ですが、入学してからの「進級」も大変だとはよく聞きますよね。
「え、入るまでだけじゃなくて入ってからも勉強が大変なの?」とびっくりしてしまうかもしれませんが、良い医者になるためにはしっかり勉強することが欠かせません。

 

今回の記事では、医学部に入りたいけど留年が気になる、今まさに医学部だが留年が怖い、という人に向けて以下の内容を解説します。

・医学部の留年率
・医学部で留年しないためには

 

医学部の留年率が高いのは本当なのか、留年したらどうなるのかを知って、留年に対する不安を取り除きましょう!

医学部の留年率はどれくらい?

医学部の留年率については、各大学で毎年何人出ているのか、留年率はどれくらいなのか、などの詳しいデータはありません。

しかし、文部科学省の調査によって、各大学の「5年間ストレートで進級してきた人」と「医学部をストレートで卒業した人」の割合が出されています。(クリックで拡大できます)

 

 

これによると、平均して83.9%がストレートで卒業しており、5人に1人程度がどこかの学年で留年しているようです。
留年そのものは、そこまで珍しいものではないようですね。

 

ただし大学によって留年せず進級する人の割合は大きく異なっており、大分大学や東邦大学の100%から、川崎医科大学の65.8%、帝京大学の65.0%とかなりの差があります。

 

表内の「最低修業年限での6年次進級率」は5年生までに留年していない人の割合、「最低修業年限での卒業率」は卒業まで留年していない人の割合です。

つまり、この2つのパーセンテージに差がある大学は「卒業試験が厳しい大学」であり、国試合格率を上げるために卒業試験を難しくしていると考えられるでしょう。

 

他学部に比べたら留年率は高い?

 

医学部は他学部に比べて留年率が高いというのは、実は事実ではありません。
しかし、進級が厳しい、というのは本当です。

 

文部科学省の学校基本調査(R1)によると、4年制大学の場合ストレートで卒業した人の割合は「81.8%」となっています。
つまり、大体平均5人に1人は留年しているのです。

 

数字だけ見て考えるならば、学校にもよりますがむしろ医学部のほうが留年率は低い事がわかります。

 

しかし、ここで気をつけないといけないのが、医学部とそれ以外の学部では、「留年する理由」に違いがあるということです。

 

基本的に、単位が取れずに留年するのは以下の4パターンです。

・勉強をサボった・ついていけなかったなど勉強面の問題
・留学
・体調面の問題(うつ病など)

 

ちなみに、それ以外にも「複数教科の教員免許を取りたいが、それぞれの資格取得に必要な授業と卒業に必要な授業の開講時間がかぶっており、必要科目を全部取得するために留年を選択した」といった場合や、単純に「もっと勉強したいから」などの理由もあります。

 

また、上記の留年理由の中でも留学による留年は外国語系の学部で多く、外国語系学部では2〜3割程度が留年することも珍しくありません。
実際に何割程度が留学で留年しているのか正確なデータはありませんが、医学部では留年してまで留学する人は少ないですし、資格を取るために留年する必要もありません。

 

それなのに留年率が同じくらいということは、「試験の結果留年になる人」が多いと考えられます。
つまり、進級するのは他学部よりも大変ということになります。

 

医学部の進級はなぜ難しい?

 

医学部の進級が厳しいのは、ズバリ「1つ単位を落とす=留年」というシステムだからです。

 

大体の学部は「4年間で指定の単位数と科目を履修していなければ留年」「2年次までにこの科目を履修していなければ留年」などと進級要件がゆるく、1回試験に失敗して単位を落としてもカバーが効くことがあります。

 

しかし、医学部の場合は毎年のカリキュラムが決まっており、どの科目であっても、1つでも単位を落としてしまうと即留年になってしまうのです。

 

もちろん救済措置として再試などもありますが、その分他のテストの勉強時間が削られますし、教授によっては再試も1回のみのこともあります。
常にすべての試験に合格し続けないと、医学部医学科はストレートで卒業できないのです。

 

留年しないためにはどうしたらいい?

経済的負担もあり、誰もが避けたい留年。
医学部医学科で留年せずに卒業するために気をつけたいのは、「友人を作る」ことです。

 

医学部は6年間で全身の臓器や疾患を学び、さらに実習まで行うため、1つ1つのテストの範囲がとても広くなります。
ですから、友人や先輩から教授の過去問をもらったり、出題傾向を聞いたりといった対策が他学部以上に重要になってきます。

 

グループ授業で一緒になった人には積極的に話しかけて友人になる、部活に入って先輩と仲良くするなどで交友関係を広げましょう。

もちろん、しっかりと自分でも勉強しておくことも大切。

 

授業にほとんど出席していない、過去問があるからとその部分しか勉強しない……という不真面目な人は要注意。
教授や大学にもよりますが出席点がつく場合もありますし、教授がある時突然思い立って(もしくは学生の態度が腹に据えかねて)例年と全く違う試験をしてこないとも限りません。

 

現に2014年、広島大学では126人中120人を教授が不合格とし、大問題となった事例があります。
(ちなみにこれは結果的に救済措置が取られ、最終的に留年となったのは11人のみとなりました)
ここまで極端な例はそうありませんが、普段からしっかり勉強しておくことは重要なようです。

 

留年したらどうなる?

もし、不幸にして留年してしまったら、次の年に取れなかった単位を再履修して合格しなくてはなりません。

 

しかし、それ以外の授業を取る必要はありません。
前期の授業で単位を落としたのであれば後期を、後期の授業を落としてしまったのであれば前期を休学にすることで、少しでも経済的な負担を減らせます。

 

極論、次の年はその授業以外の時間はフリーということになります。
開いた時間で留学をしたり、研究室で研究をしたりする人もいるようです。

 

何年まで留年できる?

法律により、「通常の在学期間の2倍」までは留年できることになっています。
そのため、医学部医学科では最大で12年間留年可能です。

 

しかし、「なるほど、じゃあ再履修した授業をまた失敗しちゃっても、もう一度履修しなおせば平気なんだ!」というわけではありません。
大学によっては、「同じ学年で留年できるのは1回まで」と決められているところもあり、例えば3年生で2回留年してしまうと退学になってしまう場合があります。

 

常に真剣に授業に臨まないと、卒業すら危うい状況になってしまうかもしれません。

 

医学部は留年率が高いわけではないが、進級は大変!

一般的に進級が厳しいと言われている医学部医学科。
実際は大学によって進級率や卒業率には大きな差がありました。
しかし、どの医学部に行っても大部分のカリキュラムは同じであるため、勉強が大変なことに変わりはありません。

 

割合的には留年は珍しいことではありませんでしたが、経済的負担も大きくなってしまいますし、医師になるまでの道のりも遠くなってしまうために「絶対留年だけは避けたい!」という人も多いですよね。
そのためには、友人などから過去問などをもらい、しっかりと対策していくことが大切です。

ストレートで卒業して国試に受かれるよう、応援しています!

 

医学部の実情について知りたい、という人はこちらの記事もどうぞ!

 

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