研究に興味がある人必見!医学生のうちから研究に参加できる仕組みとは?

医者のキャリア

医師の仕事と言えば・・・

「白衣を着て外来で診察する」というイメージがありますよね。

しかし、実際には医師たちは働きながら研究を行ったり論文を執筆したりすることが多いです。大学病院に所属する医師のほとんどは博士課程に進み、研究活動に従事しています。市中病院に勤務している場合でも、症例報告を発表したり治験に参加したりする機会があります。

最近は、iPS細胞を作成しノーベル医学章を受章した山中伸弥教授の影響で、研究医に憧れている人も多いのではないでしょうか。

「医師」と言えば、臨床(実際の治療)を行うイメージが強いですが、今回は医師のキャリアアップにも関わる「研究」について解説していきます。実験するのが好きな方、医学生のうちから研究に取り組みたい方、必見です。

 

医学部の研究室配属は6年間のうちで1か月~6か月ほど

研究の練習は医学生のうちから始まります。

一般的な理系大学生の場合、4年生の1年間研究室に所属し実験を行うようです。それに対し医学部の研究室配属を「基礎配属」といい、期間は学校によって異なります。ほとんどの学校では、3年生の内の1か月~6か月間、基礎医学の研究室に所属し実験を行います。

私が通っている金沢大学では、基礎配属は6週間でした。実験の手順に慣れたころに基礎配属が終わってしまいます。

ひとつの研究室に所属し、先生に実験の手順などを教えてもらいながら、自分のテーマについて研究を進めていきます。最後に研究成果を学年内に発表する機会があり、それに向けて結果を考察します。手順に慣れていないうちはたくさん失敗するので、期間内に成果をまとめあげるのが大変でした。なかなかいい結果がでなかったのですが、失敗を考察するという学びにつながりました。

研究室は興味で選ぼう

興味で選ぶ人もいれば、自習したい、もしくは遊びたいなどの理由で拘束時間の短い所を選ぶ人もいます。

私は大学入学時から神経に興味があり、2年生から基礎の神経系の研究室に所属していました。

研究室の選び方は人それぞれですが、断然興味で選んだ方が得策です。将来、その領域に進むかどうか考えるきっかけになるかもしれません。また、臨床実習でその科を回った時の話題にもなります。

1, 2年生でも研究室に所属できる制度がある

基礎配属の前に実験の基礎を学べる

短い基礎配属の期間だと、実験の手順を覚えるので精一杯です。

時間に余裕のある低学年の内から実験を練習しておくと、基礎配属で自分がやりたい実験をさせてもらえるかもしれません。

現在、研究医(臨床をせず、研究に専念する医師)を育てるために、ほとんどの医学部で早期の研究室所属が推奨されています。

2年生の解剖実習が終わると少し時間ができるので、私は2年生の後期から神経解剖の教室に所属しました。初めは留学生に物品の場所や光学顕微鏡の使用方法を教えてもらいましたが、覚えるのにかなり時間がかかりました。部活道とバイトのない日に研究室に通うという、ハードスケジュールでした。

2年生の内から実験の練習をしていたおかげで、3年生の基礎配属ではやりたかった実験を行うことができました。

高校入学時からてんかん発作のメカニズムに興味があり、薬剤を注射したマウスのてんかんモデルを作成し、実験を行いました。マウスの脳に穴を開け、薬物を注入し、一定期間生存させた後に解剖し、特殊な染色で脳組織中の細胞の活性や数を調べます。ふつうのマウスと遺伝子操作をしたマウスで同様の実験を行い、結果の違いからその遺伝子の働きを明らかにすることが目標でした。

最初はマウスの扱いに緊張し、うまく操作ができませんでしたが、あきらめずに続けているとだんだん実験の手技にも慣れてきました。

実は、私は昔から実験が苦手でした。将来、医師として働くうえで研究は切り離せないと考え、苦手を克服するために研究室に所属しました。

どんなに実験が苦手な人も、必ずそのうちできるようになります。将来の選択肢を増やすためにも時間のある時に研究室に通ってみるのをおすすめします。

 

発表まで持ち込むと就職に有利になることも

実験成果は学内発表や学外のイベント、もしくは学会などで発表する機会があります。論文まで書けていなくても、研究実績や発表実績があるとマッチング(初期研修先を探す就職活動)で有利になる場合があります。

特に将来海外で働きたいと考えている人は、これらの研究実績がアピールポイントになります。海外のレジデントプログラム(日本の後期研修のようなもの)は倍率がとても高く、秀でるものを何か持っていないと面接まで持ち込むことが厳しいです。研究でも何でもいいので、他の人が持っていない「武器」を持っておくといいでしょう。

論文の執筆・投稿した経験のある医師はなんと8割も

特に大学病院で盛ん

日本では、完全な研究医の割合は少なく、1割未満です。

ほとんどの医師は若い頃に、専門医を取得する研修のために大学の医局に入ります。「医局」とは、大学における教授をトップとした医師の組織です。特に地方では、ほぼ全員が医局に入ります。都会の医学生に聞いても、やはり入局する医師が過半数だそうです。

医局に所属する医師は、2~3年臨床で経験を積んだのち働きながら大学院に進学し、研究を行います。

大学院に入学したら日常業務を免除し、外勤(医師の高時給のパートタイム)を紹介してくれる医局もあれば、通常通り業務をこなし、夜や週末に実験に専念するところもあります。

大学病院の横に医学部が併設されていることが多いので、実験の環境は整っています。

 

海外での研究留学のチャンスも

海外留学には2種類あります。研究留学と臨床留学です。

臨床留学はその国の医師免許を取得し、さらに超高倍率のレジデント(専攻医)プログラムに応募する必要があり、ハードルがとても高いです。

一方、研究留学はライセンスを取得しなおす必要がないので、将来留学を考えている人におすすめです。研究留学を行いたければ、海外との「ツテ」が豊富な教授が率いる医局に入るといいです。

論文数は昇進や転職にも影響する

医師にとって論文は「ステータス」のようなもの。その人が書いた論文によって、医師としての信用度を評価されることがあります。

特に医局内での昇進に大きく関わり、医局内のポジションを上り詰めたいと考える人は特に熱心に研究に取り組む必要があります。またネット上には、転職の際に論文の実績が役に立ったという医師の声が見受けられました。

論文を執筆するのと同様に、「多読」することもスキルアップにつながります。日頃から論文を読み込んでいる医師は、診断や治療の際の知識量が違います。どれほど論文を読み込んでいて、いかに最新の治療にキャッチアップできているか。これこそが医師(とりわけ内科医)の腕の表れどころです。

いずれにせよ、医師としてのキャリアアップを目指すためには、論文を避けて通ることはできません。

学生の内から研究していると周りと差をつけることができる

学生の内から研究をしていると、就職活動の際に評価されたり、将来のビジョンが見えたりして有利になることが多いです。

一方、一度しかない学生生活で部活やバイト、恋愛などやりたいことはたくさんあると思います。全部に手を出してしまうと勉強する時間がなくなるので、本当にやりたいことを見極めて学生生活を充実させましょう。

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