医学部の部活ってどうなの?メリット、デメリットとおすすめの部活

現役医大生の実情

ラグビーの福岡選手が順天堂大学医学部に合格したことはニュースになりましたね。

さて、医学部ではほとんどの人が部活に所属します。

ここでは部活に入ることのメリットとデメリット、さらにおすすめの部活をご紹介します。

部活に入るメリット

まずは部活に入ることのメリットからご紹介します。

縦のつながりができる

医学部で部活に入ることの最大のメリットが先輩(後輩)とのつながりができることです。ただ大学に通って講義を受けているだけでは違う学年の知り合いを作るのはなかなか難しいため、部活に所属するのが一番手っ取り早い方法です。

よく医学部は情報戦と言われます。実際に試験や課題を乗り越えて進級してきた先輩たちから聞く話はどの資料よりもエビデンスレベルが高いです。大学の授業はどれを取ればいいか、どの科目を重点的に勉強すればいいか、教科書は何を買えばよいか、試験対策は何をすればいいかなど先輩から聞くべき話は山ほどあります。試験の内容や進級の大変さは大学によって全く異なるため、違う大学の人の話はほぼ参考になりません。同じ大学の先輩の話を参考にしましょう。先生からは「先輩の話は鵜吞みにするな」と散々言われましたが、実際は先輩の言ったことを信じるのが進級への一番の近道でした(笑)。また先輩と仲良くなると、使わなくなった教科書を譲ってもらえたり美味しいものを奢ってもらえたりとお得なこともあります。特に医学書は高額ですので先輩からもらえるとかなりの節約になります。

さらに大学によっては死活問題となるのが過去問です。昔ある学会に参加した時の『留年を語るフォーラム』のようなコーナーで聞いた話ですが、ある国立大学では所属人数がやたらと多い部活があります。理由を聞くと、その部活は資料の数が最多だから人気だというのです。その大学は部活内で過去問や資料の囲い込みがあり、部活外に流出させることが禁止されているとのこと。一番メジャーな部活に入ることこそが進級への一番近道であるため、みんなこぞってその部活に入部を希望するそうです。最近では改善傾向にあるそうですが、いかに情報(特に過去問)が大事かがよく分かります(一応大学名は伏せておきます)。

また、医学生の就活であるマッチングの時も先輩に知り合いが多いと有利です。病院の面接や試験の情報を教えてもらえるほか、病院見学の時にお世話になることもあります。実際私が行った見学先の病院で偶然先輩に会い、見学担当ではなかったにもかかわらず病院の中を案内してもらえたことがあります。知り合いだからこそ気軽に色々質問できて大変有意義な見学にすることができました。病院見学では採点されることがあるため、知り合いの先輩がいると上の先生に良く報告してもらえたりと有利に働くこともあります。

もちろん先輩だけでなく同学年や後輩も医師になるわけですから、知り合いが多いことで将来なにかしらの助けになってくれる可能性は大いにあります。医師の世界はコネが大事な場面もありますので知り合いは多いに越したことはありません。

他大の知り合いができる

大会や合同演奏会などで他大の学生と交流する機会があります。違う大学の人の話を聞くのは新鮮で結構楽しいです。さらに部活によっては大会後に打ち上げで交流を深められることもあります。私の勝手なイメージですが、水泳部など水系の部活では特に大学を越えた飲み会が盛んな気がします。実際水泳部では他大の彼女を作る人が多かったです。また先ほども述べましたが、知り合いは多ければ多いほど良いです。私は残念ながら普段連絡を取るほど仲の良い友達はできませんでしたが、交流戦でのグループLINEにはまだ入っていますので何かの折にまた繋がれたらいいなと思っています。

新しいことを始めるチャンス

大学に入ったら何か新しいことを始めたい!という方も多いと思います。そんな時は今まで経験したことのない部活に入るのがおすすめです。医学部内で完結する部活がほとんどですのでほぼすべての部活が初心者歓迎です。本当に強い人はほぼいませんし、そういう人は全学の部活に入りますので、ついていけないか不安だと思う方でもなんとかなります。私も大学に入って新しい競技に挑戦し、とてもいい経験ができました。段位まで取れて大変満足しています(笑)。

楽しい・気分転換になる

医学部の部活は無駄に厳しい面もありますが、基本的には楽しいです。毎日勉強ばかりではせっかくの大学生活がもったいありません。好きなスポーツや楽器の演奏に打ち込むのも、部員と談笑するのも楽しいひとときです。メリハリのついた毎日にするためにも、部活というスパイスはなかなかいいものですよ!

東医体・西医体に参加できる

正式名称は東(西)日本医科学生総合体育大会といい、運動部に所属する医学生にとって最大の目標がこの大会です。医学科の学生だけが参加できる由緒ある大会です。なんと、日本国内では国体に次ぐ参加者を誇ります。東(西)医体で上位に入ることはかなりのステータスであり、就活の自己PRでも大いに強調できます。部活によっては部内の順位にかかわらず全員がレギュラー選手として出場できることもあり、誰もが大会に出場した経験と思い出を得ることができます。私は大会に選手として出場できるかを基準に部活を選びました。東(西)医体で上位に入った選手は全医体という真の医学生日本一を決める大会に出場できます。東医体のパンフレットには各大学の個性あふれる紹介文が掲載されるなどなかなか面白い仕様になっているのでぜひ見てみてください(笑)。また開催地が毎年変わる競技もあり、観光気分で大会に参加できるのも醍醐味です。秋田で開催されたときは地酒の飲み比べをしたり郷土料理を食べたりと、とてもいい思い出に残っています。

参加競技は以下の通りです。スキーとアイスホッケーは冬季、その他は夏季に行われます。

陸上競技・硬式野球・準硬式・テニス・ソフトテニス・卓球・バレーボール・バドミントン・サッカー・バスケットボール・柔道・剣道・弓道・空手道・水泳・ヨット競技・ボート競技・馬術・ハンドボール・ゴルフ・スキー・ラグビー・アイスホッケー

東医体・西医体の運営に関われることも!

東(西)医体の運営は学生主体で行われるため、主管校となれば運営に携わることができます。非常に規模の大きい大会ですので運営は大変で苦労の連続ですが、大会を成功させた達成感はひとしおです。さらに就活の面接ではかなりのアピールポイントになります。私は幹部もやりましたので履歴書と面接でゴリゴリに押しました(笑)。責任感と人柄などアピールできたと信じています…。主管校は4~5校がセットで毎年持ち回りですが、部員が少なく運営ができない場合などは考慮されます。主管校になる可能性があるかどうかは部活選びで地味に重要なので必ず確認しましょう。

なお、新型コロナウイルスでここ2年は開催されていません。皆さんの時には開催されるといいですね。

部活に入るデメリット

当然ながら、部活に入ることはデメリットもあります。

ここからはどんなデメリットがあるのかご紹介します。

お金がかかる

部活動に入るとかなりのお金がかかります。具体的にどのようなことにお金がかかるのか挙げてみます。

・道具代:ユニフォームやラケットなど貸し出しがある場合もありますが、自前で用意する場合もあります。

・練習場所のレンタル費:大学以外の施設を使用する場合は使用料がかかります。部費として徴収されることもあります。

・大会の遠征費:交通費や宿泊費、現地での食費などがかかります。私の大学では交通費と宿泊費は大学から半額出してもらえました。

・合宿費:運動部は合宿があることが多いですので合宿費がかかります。

・新歓代:新歓を派手にやる部活(特に私立)は新歓代が凄まじいです(数万~)。OBからの援助で潤っている部活は0円のこともあります。

・飲み代:他大との交流はメリットも多いですが、もちろんお金がかかります。

・後輩の食費:先輩が後輩に奢るしきたりがある部活は食費がかさみます。低学年のうちに元を取っておきましょう(笑)。

・OB新歓、追いコン、プレゼント代:入部祝いや卒業祝いもお金がかかります。私の部活ではOB新歓と追いコンは今半のコースでしたので毎回1万5000円徴収されました。学生なのに分不相応な贅沢ですが、義務なので仕方なく参加しました(新入生と卒業生は奢られます)。

部活でかかるお金については聞きにくいですが、一番大事なことですので新歓の時に必ず確認しましょう。

時間・体力が削られる

先ほども少し触れましたが、医学部の部活は無駄に厳しいことが多いです。練習・大会・合宿が強制参加なのはもちろん、新歓・追いコン・大会後の飲み会まで強制参加のこともあります。またゴールデンウイークなど祝日は1日中練習のこともあります。私の部活は練習が週3回(土曜日も)で大会は日曜日にあることが多かったので、授業をサボれない低学年の頃は2か月間1日も休みがないこともありました。今はとても耐えられる自信がありません(笑)。部活の練習が行われる時間帯も注意が必要です。アイスホッケー部など深夜練を行う部活もありますので、練習に耐えられるか、帰宅はどうするかなどよく考えてから入部しましょう。

人間関係が面倒なことも

ただでさえ狭い医学部で、さらに狭い部活というコミュニティーでは人間関係がこじれると大変面倒です。特に部内恋愛で別れた後などは場合によっては退部に追い込まれることもあります。また退部した後に先輩と気まずくなることもあります。病院実習で会った時などに困ることがあるようです。普通に過ごしていれば問題ありませんが、人間関係は慎重に構築しましょう。

東(西)医体に出場できないことも

大学によっては部活はあっても東(西)医体に出場しない場合があります。もし東(西)医体に出場することを目標にするのであれば、受験前に確認しておくことをおすすめします。また部活によっては部内成績によって出場できないこともあります。

おすすめの部活

基本的には自分のやりたい部活に入るのがベストです。ここでは迷っている方のために、おすすめの部活をいくつかご紹介します!

体力に自信がない方

体力に自信がない方はアーチェリーや弓道などの弓系の部活がおすすめです。どちらも高齢になってからでも始められる競技ですし、大学でも再受験生(30代も!)が多く所属する部活でもあります。ゴルフや馬術もいいですね。

楽器をやりたい方

楽器をやりたい方は軽音楽、吹奏楽、オーケストラなどの部活がおすすめです。大学によっては初心者と経験者が分かれている場合もありますのでよく確認してから入部しましょう。

新しいことを始めたい方

基本的にはどの部活も初心者歓迎ですのでやりたい部活に入りましょう。弓道、アーチェリー、ヨット、ボート、馬術、スキーなど高校にあまりなさそうな部活を選ぶと初心者の割合が多くて馴染みやすいのでおすすめです。

マネージャー

運動部のマネージャーという選択肢もありです。マネージャーも部員ととても仲が良く、部活の一員として活躍しています。頑張っている部員を支えたいという方、競技はやりたくないけど部活には入りたいという方はマネージャーになるのもおすすめです。

その他

運動は苦手だし、楽器もできないし、厳しいのは嫌だなぁ…という方はサークルや委員会に入るという選択肢もあります。私は救急救命の委員会と兼部をしてかなり充実した経験ができました!また部活に入らずにバイトに精を出すのも、自分の時間を大切にするのもよいです。

せっかくの大学生活を楽しもう!

医学部で部活に入ることのメリット・デメリットやおすすめの部活をご紹介しました。部活は大学生活の大きな醍醐味の1つです。医学部合格のモチベーションとしても、志望校で盛んな部活について調べてみるのもいいですね!

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