【速報2025】公立大学を含めた東北地方医学部を最新公式情報をもとに分析・紹介

医学部入試情報

では本日は、東北地方の医学部である、山形大学医学部、福島県立医科大学医学部を、主として学校公式HPが発表した最新データに基づきながら、分析・紹介してまいります。なお、山形大学は国立大学、福島県立医科大学は公立大学であり、いずれも分類やカラーが異なります。これらを比較することで、医学部受験を志す皆さんに「国立大学、公立大学の違い」が少しでも伝わり、受験大学選びや併願戦略の参考にしていただければと思います。

山形大学医学部の最新情報

戦後の高度経済成長に伴って、山形県民の生活は豊かになったものの、高齢化や過疎化が浮き彫りになって、山形県内の医師不足は深刻化しました。そこで、1968年に、山形県が、山形大学に医学部を設置する準備を始めました。様々な著名人が尽力を積み重ね、1971年に山形大学に医学部が設置されることが正式決定。1973年に、ようやく山形大学医学部が設置されました。同じく国立大学である岩手大学に医学部がないけれど、山形大学には医学部があるのは、決して単なる偶然ではなく、複雑な経緯と背景があるのです。

公式データに基づく最新入試情報

では、入試情報から紹介・分析をします。山形大学医学部は、2024年入試において、前期日程と後期日程の双方で入試を実施しており、募集人員は前期の医学科一般枠が60名、医学科地域枠が8名、後期の医学科が15名、推薦Ⅱの一般枠が25名、地域枠が5名です。前期は、決して少ない定員ではありませんが、やはり後期入試は定員の絶対数が少ないです。

前期日程は、医学科一般枠は60名の募集に対し、志願者数は176名で、倍率は2.93倍、地域枠は8名の募集に対し、志願者数は18名で、倍率は2.25倍

推薦Ⅱは、医学科一般枠は25名の募集に対し、志願者数は39名で、倍率は1.56倍、地域枠は5名の募集に対し、志願者数は10名で、倍率は2倍

2023年の前期日程は募集人員65名と2024年度より5人多く、倍率は2.93倍でした。特に現役生を中心に、医学部受験生はこうした変化や波に翻弄されてしまうと思いますが、どんな時も慌てず、平常心で動くことが肝要です。また、様々な変化やハードルを予想して、受験戦略を立てましょう。

後期日程においては、後期日程は、医学科は15名の募集に対し、志願者数は197名で、倍率は13.13倍。2023年の後期日程の倍率は13.86倍ですからほとんど変化はありませんでした。前期、後期のいずれも旧帝大医学部よりも高い倍率になっており、ハードルが低めの地方の医学部を志願しつつも、国公立大に入りたい受験生が多いことが分析できます。

医師国家試験合格率などの医学部情報

次に、国家試験合格率の数字を分析します。2024年の医師国家試験において、山形大学医学部は、受験者数が129名、それに対する合格者数が124名で、合格率は96.1%となっています。95パーセントを超えていることから「高めの合格率」と言えます。なお、新卒者と既卒者で分けると、新卒者の合格率が98.3%、既卒者の合格率が76.9%でした。

山形大学医学部には、医学科と看護学科があり、「総合大学ならではの幅広い教育内容」「高度な医療現場で行われる長期の実習」が特徴であるほか、とりわけ医師を養成する医学科においては「人間性豊かな信頼のおける医療」を目指しており、地域に開かれた医療が目標に掲げられています。国立大学医学部として、人間性や人間力の養成を重視しているほかに、発足の由来である「地域に根差した、地域のための医療」も重視されていることが窺えます。人間性や地域貢献の重視をベースに、国立大学としての幅広いアカデミックな教育・研究にも力を入れていると総括できます。

山形大学医学部の公式ホームページは、以下のリンクカードよりご覧ください。

福島県立医科大学の最新情報

福島県立医科大学は、1944年に設置された医学専門学校を母体として、1950年に学部の設置が正式に認可されたものです。そして、少しずつ戦後の混乱から抜け出していく1950年代を通して、新制大学・研究機関としての体制が徐々に整えられていきました。県民から慕われている、歴史ある医科大学と言えます。

公式データに基づく最新入試情報

福島県立医科大学にあっては、2024年の入試において、看護学科は前期と後期の双方で入試を実施しているものの、医学科は前期日程のみの入試です。これから医学科入試のデータを分析していきますが、「極端」といって過言ではない、特徴のあるものになっています。

医学科の前期日程入試において、募集人員は75名(一般枠45名、地域枠30名)と、比較的少なめなのですが、それに対する一般枠の志願者数が404名と多く、倍率は8.97倍、地域枠の志願者数が115名、倍率は3.83倍で狭き門に多くの志願者が殺到している状況が分析でき、医学部受験が難関と言われるゆえんが、具体的根拠をもって示されています。ただ、2023年の倍率は2024年より高く、地元県民と、他地方からの受験生、双方が志願した結果、倍率が高くなっているのが特徴です。

医師国家試験合格率などの医学部情報

では、国立大学医学部を優に凌(しの)ぐ倍率を誇る福島県立医科大学の、国家試験での奮闘ぶりが気になるところです。

2024年に行われた医師国家試験において、福島県立医科大学は、受験者数が134名、合格者数が127名であり、合格率は94.8%です。比較的、高い数字です。新卒者と既卒者に分けて分析すると、新卒者の合格率が97.7%、既卒者の合格率が33.3%でした。

ただ、大都市圏を中心に国家試験合格率が95%を超える医学部があることを考慮すれば、山形大学医学部、福島県立医科大学ともに医学科の倍率は高いわけですから、少し工夫して努力すれば、もっと国家試験合格率を上げることは可能であると分析します。

福島県立医科大学の医学部の公式ホームページは、以下のカードリンクよりご覧ください。医学部の教育理念をはじめ、医学部の3つのポリシー、カリキュラムの特徴、教務予定表・授業計画など、多くの貴重な資料が公開されており、福島県立医科大学にしかない特徴を知ることができます。

同医科大学ならではの特徴のごく一部を紹介すると、患者と地域社会に貢献できる医師育成が目標に掲げられているほか、「いのちを尊ぶ心」「高い倫理観と豊かな人間性」「広い視野と適切な判断力」「地域の発展や福島県の復興に貢献する熱意」を備えた学生を求めているとあり、いわゆる地域貢献だけでなく、倫理的に高いレベルが要求されているのが最大の特徴の1つです。この「高い倫理性」は、必ずしも全ての国公立大学において「最大の目標の1つ」にされているわけではないのです。

 

以上、山形大学医学部と、福島県立医科大学を紹介しましたが、この2つを比べるだけで、国立と公立の差が見えてきます。

山形大学医学部は、国立大学ならではの、幅広くアカデミックな教育・研究が特長の1つです。その一方、公立の福島県立医科大学は、あくまで「県立」ですから、県独自の方針にもとづいて、「高い倫理観」や「震災後の福島の復興に貢献できる熱意」などを目標に掲げているわけです。

そして、東北地方の国公立大学医学部として、地域診療や地域貢献が、これら2つの医学部に共通しています。

なお、今回の記事で引用した、官公庁発表の公式データについては以下のページをご参照ください。上が、厚生労働省による「医師国家試験 大学別合格者状況」です。

入試結果|国立大学法人 山形大学

↓福島県立医科

igaku20240401.pdf 

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