【2022決定版】大学受験の小論文のコツ

医学部受験の直前期対策

小論文とは?

作文とは違う!

入試において、小論文試験を課す大学は少なくありません。答えが定まっている筆記試験と異なり、受験者の考え方や表現力を多面的に評価することができます。課題文を読んで要求された内容について記述するという点においては作文とも似ているように思えますが、実際は大きく異なります。自分の主観的な感想や考えを述べる作文とは異なり、課題文を正しく理解し根拠を持って論理的に考察し記述することが要求されます。

詳しくは後述しますが限られた時間の中でかなりの文字数の文章を書く必要があり、なおかつテーマが難解なことも多々あるため、しっかりと対策を行うことが求められます。今回は、小論文について、どのようなことが聞かれるのか、どう取り組めばいいのかを徹底解説します!

出題形式・内容は?

出題形式の例

小論文の出題形式は、だいたいパターンが決まっています。主なパターンは、①長文の課題文を読んだ上で設問について論述する②短文でテーマが与えられてそれに対して論述する③写真やデータが与えられてそれに対して論述するといった形です。

派生形として、出題内容が受ける学科の内容に特化しているもの、背景知識を交えて記述するもの、課題文が英語で書かれているものなどがあります。

試験時間や指定字数は大学によりまちまちですが、私が在籍している慈恵医大の小論文は、課題文を読んで自分でテーマを設定し、制限時間120分で1200文字以上2400文字以内で記述するというものでした。課題文を読んで解釈する時間をゆっくりとっていると記述時間が足りなくなるため、時間配分が難しかった記憶があります。

出題内容の例

出題される内容も、だいたい王道のテーマというのがあります。例えば、少子高齢化問題、環境問題、人工知能、差別、多様性、働き方改革などはどの学部でも出題される可能性があります。ニュースでよく取り上げられているような話題が多く取り上げられます。また、もっと身近な話、例えば人間関係や学問に対する考え方などについて問われることもあります。

詳しくは後述しますが、医学部など医療系の学部では臓器移植や生殖医療に対する倫理的な問題や、患者や他の医療職との関わりについてのテーマが設定されることもあります。

小論文で求められること

課題に沿って書こう!

小論文でまず大事なのは、課題を正しく理解し、課題に沿って論理展開していくことです。というのも、課題の意味を取り違えてしまってはどんなに良い文章でも、課題からズレているということで評価をもらえないのです。まずは課題文で筆者が言いたいことは何かを整理し、設問では何を問われているのか理解するのが大事です。それには読解力が要求されます。

例えば、「課題文を踏まえてあなたの意見を書きなさい」なのか、「課題文の意見に賛成か反対かを述べなさい」では、要求されている内容が違いますし、書き方も変わってきます。まずは問われている内容をしっかり理解し、そこからようやく論述内容を考えることになります。

根拠を述べて論述に説得力を持たせよう!

課題文に即した論述をする上で、その記述は論理的でなければいけません。意見や考えを述べる際にはその根拠や具体例を述べ、説得力を持たせましょう。小論文は作文や感想文ではないので、ただ意見を陳述するだけでは不十分です。

例えば「AIにもっと助けてもらうべき」ということを述べたいとします。これに根拠を付加して、「少子高齢化が進む中で労働力不足が懸念されるため、AIを活用して人間の労働負担を軽減すべき」とするだけでも、文章の厚みや説得力が増します。

適切な表現や表記を心がけよう!

記述内容が大切なのはもちろんのこと、表現や表記についても気を使う必要があります。特に、「ら抜き言葉」や略語はついつい使いがちですし、誤字脱字を見落としてしまうこともあります。普段友達と送り合うメッセージやSNS投稿のような感じで文章を書いてしまうと、不適切な表現や表記になってしまうことがあります。日頃から国語の記述問題などで適切な表現をすることを心がけ、練習するようにしましょう。

結論を明確化しよう!

せっかく良い文章が書けたように見えても、結論が不明確ではもったいないです。結論をどこで述べるかについてはさまざまな表現法がありますが、冒頭で意見を述べた上で最終段落でもう一度意見の総括を行うとまとまりが良いかと思います。特に文字数の多い設問では、結論に至る前に時間切れとなることを避けるためにも冒頭で結論となるような意見を明示すると良いでしょう。

また、結論は明確に、白黒つけて提示することが大切です。「私はその意見に賛成である。」といったようにズバッと言い切りましょう。回りくどい表現や玉虫色の表現は、結論が分かりにくくなってしまうので好まれません。

どんな学部で必要?

医学部ではほぼ必須

小論文はAO入試や推薦入試ではどの学部でも行われますが、一般入試で小論文試験を行うのは主に医療系の学部、特に医学部です。医学部では筆記試験に加え、面接や小論文の試験が行われることが多いです。というのも、患者さんの命を預かる職業である以上、コミュニケーション能力や倫理観に問題のある人物を弾(はじ)かなければならないためです。

大学にもよりますが、小論文で書いた内容について面接で質問を受けることもあります。なので、医学部受験者は特に小論文を軽視することはできません。

面接対策については別の記事をご覧ください!

学部別の出題例

先ほど述べた王道のテーマ以外にも、その学部ならではの出題がなされることが多くありあます。

医学部では、最新の医療技術やトピックに絡めた出題も行われます。例えば、ロボット手術、生殖医療、新薬、感染症対策、終末期医療などです。受験生に医学的な知識を要求することはなく、主に倫理的な課題についての出題になります。例えば、高額な新薬を末期癌の患者に使うべきか、コロナ患者への差別をなくすにはどうすれば良いか、などです。医学部以外の医療系の学部でも同様の出題が行われる可能性があります。

理系の分野であれば研究倫理や最新テクノロジー、人文系であれば異文化理解や国際交流、教育系ならいじめ問題や教員不足問題など、その分野の最新情報を仕入れるのが良いでしょう。しかし、いずれの分野も専門知識が問われることはまずないため、倫理面や安全面の課題を考えたり、自分なりの意見を持っておけば良いでしょう。

必勝!対策法

まずは過去問分析とネタ集め

対策の上で大事なことは、過去問分析とネタ集めです。行きたい大学の過去問を探し、形式やテーマを理解しましょう。短時間で多くの文字数を書く大学であれば速く書く練習も必要ですし、比較的時間の余裕があるのであれば課題の吟味や推敲に時間を割いて密度の濃い文章を作成しなければなりません。

また、受ける学部の分野でよく出題されるテーマを参考書などで把握しておき、王道のトピックについては自分の意見や考えを持っておくと良いでしょう。新聞やニュースを読んで、世の中の動きや最新のトレンドを押さえることも大切です。

おすすめの参考書

①吉岡のなるほど小論文講義10(桐原書店)

小論文について基礎から扱っています。小論文の勉強を始める人にとって最初の導入として良いでしょう。

②2022年受験対策全国大学小論文入試出題内容5か年ダイジェスト(旺文社)

さまざまな大学の小論文の入試問題がまとめられています。目指す学部や分野の出やすいテーマや傾向を抑えるのに良いでしょう。実践的な参考書です。

③書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20(KADOKAWA)

医学部受験生が、頻出テーマやトピックを押さえるのにおすすめです。医学部は通常の対策に加えて、医の倫理などについても押さえておくと有利です。

 

筆者の体験談

私は、小論文対策は主に高校の授業で行っていました。夏ごろまでは授業以外に特に対策は行なっておらず、夏休み明けくらいから医学部入試の過去問を月1回くらいのペースで書いていました。小論文は自分で添削することも大切ですが、先生や友達など第三者に読んでもらい講評してもらうのが大切です。自分では気づきにくいような、わかりにくい表現や誤字脱字を第三者に指摘してもらい、より良い文章を書けるようにしましょう。

入試直前期は、受ける大学の過去問で練習してみたり、実際には紙に書かずとも課題文を読んでなんとなく意見をまとめる練習をしていました。小論文対策はどうしても時間がかかるため、後回しになってしまいがちですが、課題を読んで頭の中でイメージするだけでも練習になります。

また、ニュースを見てそれに対する意見を考えたり、評論文を読んでそれに対する考えをまとめたりするのも良い練習になります。気分転換くらいの感覚で、時間のあるときに対策を進めましょう。

まとめ

いかがでしたか?小論文対策は練習の積み重ねが大切です。しかし、時間をかけすぎるのは効率が悪いので、過去問分析で出題される分野や内容をしっかり把握し、それに即した対策をしましょう。また、ニュースを見るなど幅広い視野を持つことで、豊富な引き出しを用意できると良いでしょう。皆さんの健闘をお祈りします。

 

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