医師になるまでの全3ステップを紹介【必要な全費用と時間】
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医学部に合格してから医師になるまで
厳しい医学部受験を終え、晴れて医学部に合格したのちは医学部に入学します。
医学部は一般的な大学とは異なり、6年間在学しなければなりません。
それでは、それぞれの学年で何をやるのかを見ていきましょう。(大学によって、多少、進度に差があります。)
教養科目と基礎医学の一部を学ぶ1~2年生
教養科目と基礎医学の一部を学びます。
教養科目は、英語や数学といった医学に一見関係のない科目がたくさんあり、その中から好きなものを選択して講義を受けます。(一部、必ず取らなければならない科目もあります。)「化石掘り」とか変わった講義もあって、面白いです。
基礎医学では、体の中がどのような仕組みで動いているかを学びます。この学習を行うために解剖実習などの実習も行います。
臨床医学を学ぶ3~4年生
基礎医学の残りと臨床医学をやります。
臨床医学は、基礎医学で学んだ体の仕組みに異常が生じたらどのような病気になるか、それをどうやって直すかについて学習します。
この講義が終わった後に、CBTとOSCEという準国家試験が行われ、これまでの学習の習熟度が判定されます。これに合格しないと5年生に進級することができません。
病院実習をはじめる4~5年生
病院実習が始まります。チームの一員として全ての診療科を順番に廻って、実際に患者さんの治療に携わります。指導医の監督の元、医療行為も積極的に行います。この実習を通して、今まで学んできたことを頭と体に叩き込みます。とても貴重な経験をすることができます。
卒業後に働く病院を決めるために、6年生の夏にマッチングと言われる就職活動を行います。
そして、6年生の後期に卒業試験が行われ、それを突破すると医師国家試験を受ける資格が得られます。
6年間の勉強を経て医師国家試験に合格すると、医師になる。
6年生の2月に国家試験を受け、合格するとようやく医師になります。
そして4月からは、それぞれの内定している病院でお給料をもらいながら、2年間の初期研修を始めます。
医師国家試験について内容などが知りたい方は下記のサイトに是非アクセスしてみてください。
医学部卒業後に待ち構える「医師国家試験」とは?【内容と合格率】
医学部卒業後の進路は2年間の初期研修
今まで上記のように医学部生として6年間勉強してきましたが、卒業後はどんな風なキャリアが待っているのでしょうか?人によって選ぶ診療科が変わり、進路も様々です。
2年間の初期研修医
2年間、色々な診療科を廻りながら、医師として病院で働きます。医学生のときとは違い、レッキとした医師ですので、自ら医療行為をすることが求められます。
一般的には、この2年が終わったら、自分の進む診療科(心臓血管外科、呼吸器内科とか)を決めます。
その後数年の専門医研修、博士課程
次に専門医研修という研修を始めます。この専門医研修は進む科によって、年数が変わります。専門医研修が終わると、専門医という資格が得られ、一人前の医師として独り立ちすることとなります。
このほかに、大学院の博士課程(4年以上)に入学し、博士号(Ph.D)を取得する人もいます。
医師の進路は主に「臨床医」「研究医」「医系技官」
臨床医と思われがちですが、他にも研究医、医系技官、一般就職、海外臨床留学といった道もあります。
また、医師のキャリアパスには大きく3つの種類があるといわれています。
臨床医
みなさんが一番想像しやすい医師です。患者さんを診察して、病気を診断し、治療する仕事です。
大きな病院で働く勤務医と開業して自分の診療所を構える開業医の2つのタイプが存在します。さらに様々な診療科が存在し、自分の専門を選択することにもなります。
研究医
大学で研究に専念する医師です。医学の進歩のために、研究を進めていきます。大きな発見ができれば、数千万人の命を救うことができます。iPS細胞を見つけられた山中伸弥先生が研究医の代表例です。
研究医には基礎研究医と臨床研究医があり、両者の違いは前者が実験室で細胞やマウスを使って研究、後者は実際に人を対象にしています。
研究医になるのは大学院修了がほぼ必須です。医学部卒業後、博士課程に4年で入学時から考えると合計10年かかる計算になります。特に卒後実際に診療もしたいという方は医学部卒業後に卒業後の臨床研修(初期研修医の期間)を2年かける計算になります。多くの方は卒業後臨床研修をしてから博士課程に進学します。
大学によってはMD-PHDコースが設けられていて、学部時代から博士課程の勉強内容を先取りすることで、従来よりも早く博士課程を終えることができる場合もあります。
医学研究者は基礎医学の場合人を対象としていないため、医師である必要はありません。そのため、他学部から修士課程、博士課程に進学することで医学研究をされている医師以外の方もいらっしゃいます。
医系技官など多様なキャリアパス
厚労省などの官公庁で公務員のとして働く医師で、医系技官と呼ばれます。
法案、政策の立案などを行うことで、医療に貢献しています。
昨今では、そのほかにも多様なキャリアを踏まれる医師が多くいます。
一般企業に就職する医師や起業する医師、海外の医師免許を取得し海外で働く医師など、最早数えきれない選択肢がそこには存在します。実際に私の大学の先輩には、医学生時代から会社の社長をし、医師になってからは医学生のための予備校を経営されている方もいらっしゃいます。可能性は無限大ですね。
医学部の学費は高いところだと4000万越えも
医師になるまでの費用
医師になるまでの費用は、入学する大学によってまちまちです。
国公立の医学部に入学すると、学費が約350万円
私立の医学部に入学すると、学費が2000万円~4500万円
がかかります。もちろん、様々な奨学金制度を利用することも可能ですし、実際に利用している人も多いです。
ただし、どの大学に通ったとしても、国試予備校のネット講座をとる人がほとんどですので、国試対策のための諸経費はかかります。
医師になってからの給料は1000万以上
医師の平均の給与
医師の年収の中央値は、年収1,600~1,800万円です。
多くの医師は、常勤の病院とは別に週に1〜2回程、他の病院でも勤務(要するにバイト)しており、常勤の病院からもらう給料とバイト代を合計したものが、先述の年収となります。勤務大学病院の方が一般的な病院より給料が低いです。
診療科によって給与の差は?外科系は儲かる
【診療科別年収ランキング】
- 1位:脳神経外科…約1,480万円
- 2位:産科・婦人科…約1,466万円
- 3位:外科…約1,374万円
- 4位:麻酔科…約1,335万円
- 5位:整形外科…約1,289万円
- 6位:呼吸器科・消化器科・循環器科…約1,267万円
- 7位:内科…約1,247万円
- 8位:精神科…約1,230万円
- 9位:小児科…約1,220万円
- 10位:救急科…約1,215万円
となっています。出典 勤務医の就労実態と意識に関する調査 独立行政法人 労働政策研究 研修機構 0102.pdf (jil.go.jp)
最も年収が高いのは脳神経外科のようです。次いで産科、外科の順になっています。一般的には外科が内科よりも年収が高いとされています。しかし地方か都心部かや病院によっても、さらに開業医の場合でも上記の年収は変わってきます。次は勤務医と開業医の年収の差についても説明していきます。
開業医の年収は3000万円越えのことも
気になる開業医の年収は勤務医の時とは違ってきます。診療科によって年収が多い方から並べると以下になります。
- 1位:整形外科 精神科 3400万円
- 2位:小児科 眼科 皮膚科 3100万円
- 3位:耳鼻咽頭科 2900万円
- 4位:内科 2400万円
- 5位:産婦人科 1900万円
- 6位:外科 1700万円
全体2600万円
特に勤務医の時に比べ年収が倍くらい上がっています。また、勤務医では最も年収の高かった外科が最下位になるなど診療科による年収の特徴も異なっています。年収は上がりますが、開業すれば経営も自分で行わなければなりません。最近流行した新型コロナなどの時期的な問題や雇うスタッフ、立地の問題等、自らの経営手腕によっても年収は変動するでしょう。
出典 開業医の生涯年収は?診療科目や開業年齢別に紹介! | メディコム | ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)
以下の記事にも医師の年収について詳しく掲載されています。良かったら参考にしてみてください。
医師の年収の平均は?診療科別のランキングや開業医との違いを解説 – スタンバイplus+ (プラス)|仕事探しに新たな視点と選択肢をプラスする
医師になるには約10年の歳月と、約数千万の学費が必要
医師になると決めてから医学部に合格するまで長い人では10年くらいかかるかもしれません。晴れて医学部に合格しても医師になるにはまだまだ時間がかかります。最短でも1人前の医師として働けるまで医学部入学後約10年くらいかかります。さらに費用面でも特に私立医大は数千万かかり、高額です。とてもハードだなと感じますが、そのくらい医師という職業が責任があるものだからでしょう。それに人の命を預かる医師は職業的にもとても魅力的です。いつか1人前の医師になる日を想像して1歩ずつ頑張っていきましょう。
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