医師に求められる7つの素質とは?根気や判断力、体力など 

医者のキャリア

医師に向いている人の特徴

ここまでの文章を読んだ方は医師になるために医学部合格だけでなく、その後も膨大な勉強量と年月、精神力や金銭がかかることがなんとなくつかめていると思います。ここでは医師にはどんな素質が求められているのか紹介していきます。

勉強を継続できる・努力家である

まず大前提として、医師になるためには大学の医学部に合格することが必須です。多くの医学部では理科は2科目選択、数学は数Ⅲまでが出題範囲となっています。さらに国立大学や共通テスト利用入試では共通テストで高得点が要求されますので、大学受験の時点で多くの科目を満遍なく習得する必要があります。そのためには高校生、早い人では中学生のうちから医学部合格に向けてコツコツ勉強を積み重ねていくことになります。特に現役生の場合は部活や学校行事と並行して勉強を進めなくてはなりませんので、移動時間や休み時間などのすきま時間を有効活用して少しでも多く勉強する習慣をつけるのがおすすめです。医学部人気は年々過熱しており、大勢の浪人生と戦うことになりますので普段からいかに勉強を進められるかが勝負の分かれ目となります。

医学部に合格した後は、スーパーヘビーな試験を何十個とクリアしていかなくてはなりません。試験が終わってもまた次の試験がありますので大学に入ってからも勉強を継続する必要があります。学年によっては大学受験より勉強したこともありました。医師国家試験合格という最終目標に向けて6年間走り続けなければなりません。勉強につまずいてしまった人は容赦なく留年しますし、放校(同じ学年を何年もずっと繰り返すことはできないため強制退学となります)になる人もそれなりにいます。

晴れて医師になった後も勉強は一生続きます。初期研修はほぼ全ての科をローテートしながら勉強の日々ですし、後期研修では専門医試験に合格するための勉強をすることになります。また医療は常にアップデートされているので患者さんに最善の治療をするためにも常に最新の論文を読んだり学会に参加したりして勉強を継続する必要があります。

想像に難くないですが、医師になるまでもなった後も相当な努力を続ける必要があります。難関の医学部受験を突破し、膨大な課題・試験・実習をこなし、医師国家試験に合格した後は初期研修が待っています。その後は専門医試験や学会での発表に加えて日々アップデートされる医療を追い続けなくてはなりません。多忙な毎日を過ごしながら空いた時間で勉強をしている先生の姿を何度も見てきました。また外科や内視鏡など手技の練習をシミュレーターで自主的にやっている先生もかなり見かけました。実習で脳神経外科をまわった時に、細かい手術は手が器用じゃないとできないんじゃないかという質問をしたことがありましたが、返ってきた答えは意外にも手先の器用さは関係ないというものでした。外科の細かい手技も練習次第だそうです。

コミュニケーション能力がある

チーム医療という言葉を聞いたことはありますか?最近では面接で聞かれることもよくあるので知っている方も多いかもしれませんね。チーム医療とは患者さんと家族を中心に、医師だけでなく看護師・薬剤師・理学療法士・管理栄養士など医療に関わるさまざまな職種のスタッフが連携して治療に当たることをいいます。連携するにはコミュニケーションをとることが必要不可欠です。上級医や他科の先生に対しても十分なコミュニケーションを取ることが大切です。他の先生に意見を聞いたり指導を仰いだりする機会はとても多いため、情報を的確に伝えるスキルや礼儀正しさを身に付ける必要があります。その他、挨拶をしっかりする、返事をしっかりするなど社会人として最低限のことを当たり前にできることが求められます。コミュニケーションが不足すると医療ミスにつながることもあるため、十分なコミュニケーションをとれる能力は医師にとって必須のスキルです。

もちろん患者さんに対してのコミュニケーションは言うまでもなく大切です。これは医学部に入学してから再三言われていることですし、医師国家試験の問題にもかなりの頻度で出題されることです。患者さんとの信頼を築けないと、診察の中で大事な情報を聞き出せないなどさまざまな支障が出てきます。何よりも患者さん自身を不安にさせてはいけません。患者さんの話をしっかりと傾聴する姿勢が求められます。

現在は全ての医学部で入試の際に面接試験があります。面接ではコミュニケーション能力が1番に見られていることは言うまでもないでしょう。ちなみに医学生もマッチングと呼ばれる就職活動があり、就職を希望する病院では必ず面接が課せられます。

また、検査の待ち時間やカンファレンスが始まる前の待ち時間など、実習では空き時間が発生することがありました。そんな時に、いろんな先生に話しかけてもらえました。共通の話題に乏しくても話をつないで場を盛り上げたりするスキルはすごいなぁと思いました。尿路結石を砕いている30分ほどの間、ずっと話し続けてくれた先生は心底陽キャだなぁと思いました(笑)。医師は患者さんとのコミュニケーションが大切なのはもちろん、チーム医療の一員である看護師や薬剤師、管理栄養士など多職種のスタッフとも連携して治療に当たらなくてはなりません。コミュニケーションの不足は事故の原因にもなりうるので病院で働くためにはコミュニケーション能力はかなり大事なスキルといえます。

体力がある

医師の仕事は激務です。早朝から病棟をまわって患者さんの様子を確認し、カンファレンスに参加し、病棟回診し、外来やオペに行き、業務終了後は次のカンファレンスや学会の発表の準備をして、当直もこなし、さらに空いた時間には勉強をする…と休む暇がありません(もちろん進む診療科にもよります)。実習で消化器外科をまわった時に、先生からのレポートの返信メールが朝の4時に来たことがありました。その日は朝の7時半からカンファレンスでしたのでいつ寝てるんだと驚いたのを今でも覚えています。

医学生のうちも体力が必要です。大学によっては試験期間が1ヶ月以上に及ぶところもあります。また1つの試験も試験時間が3時間もあったりとかなりハードです。低学年の実習でもハードなものがありましたし、膨大な量のレポートを手書きで提出したこともありました(コピペ防止のためだそうです)。病院実習ではお昼休憩もなく7時間ぶっ続けで立ちっぱなしで見学したという話を聞いたこともあります。家から片道2時間以上かかる病院に毎日通ったこともあります(朝8時集合でした…)。その他に厳しい部活に所属している人や深夜練がある人などはさらに体力が必要になります。

もちろん医学部受験でも体力は必要です。私立大学で入試日程が早い大学は共通テストが終わって間もなく入試が始まります。また併願校が多い受験生、自宅から遠い大学を受ける受験生も負担が大きくなります。気分転換も兼ねて日頃から運動して体力をつけておくと有利かもしれませんね。

外科、特に整形外科や消化器外科、心臓血管外科は体育会系のイメージです。いかにも学生時代に運動部に所属していたような先生が多いです。外科は体力が必要な科ですので必然的にそういう人が集まるのかもしれません。私の勝手なイメージですが、整形外科や消化器外科は明るい先生が多く、心臓血管外科はちょっと怖いイメージです。

判断力がある

医師は救急の現場や患者さんの急変など一刻を争う場面に遭遇することが多々あります。そうなった時は状況を瞬時に把握し、今何を最優先でやるべきなのかを判断しなくてはなりません。また急を要する場面でなくても、大勢の患者さんが来る外来の限られた時間の中で問診では何を聞くべきか、どの診察を行うか、どの検査をやるべきかなどを判断し絞らなくてはいけません。頭の回転の速さと判断力が必要となります。

根気強い

患者さんの命を預かる仕事ですから、医師が諦めることはできません。原因不明の病気や治療抵抗性の病気に対して、カンファレンスで議論を重ねていた姿が大変印象的でした。私自身も実習で根気強く患者さんに接し続けた結果、心を開いてもらえた経験があります。いろいろな患者さんがいて全員が全員真面目に治療を受けてくれるとも限りません。そんな患者さんにも根気よく、粘り強く接し続ける強靭な精神をもった先生が多いです。

優しい・温厚

病院実習が始まるまでは、外科の先生は全員怖くて怒鳴り散らすような先生ばっかりだと思い込んでいました(笑)。1番最初にまわった診療科が脳神経外科だったので、実習初日は何を言われても動じないようにだけしていこうと腹をくくって医局に向かったのを今でもはっきり覚えています(笑)。しかし実際は非常に温厚で教育熱心な先生が多く、拍子抜けしました。1を聞いたら10どころか100を返してくれるような先生が多く大変勉強になりましたし、学生にも積極的に手技をやらせて頂いたりと充実した実習をさせて頂きました。初めて縫合させて頂いた時に、ホッチキスのような簡単に留められる機械があるのにどうして手縫いにするのかと質問したことがあります。すると、その方が楽に決まっているけれど学生のためにわざわざ手縫いにしているんだよと言われ心底学生思いだなぁと感動しました。

余裕がある(ように見えることがある)

実習で救急をまわった時、完全にコードブルー(ドラマご存知でしょうか)の気分で行ったのでドラマと実際の現場のギャップに驚きました。ドラマでは緊迫した空気で足早にストレッチャーを押しているイメージでしたが、実際は想像よりだいぶ余裕のある雰囲気でした。やはり何が起こるか分からない現場ではある程度の余裕をもっておかないといざという時に対応しきれないということでしょうか。患者さんの安全を第一に、無駄のない動きで治療に当たる先生の姿はとてもかっこよかったです!

もちろん難易度の高い手術の最中など緊迫した空気のこともありましたが、オペ中でも話しかけてもらえたりと想像もしていなかったことも多く驚きました。しかし余裕を作れるようになるまでには相当な努力が必要なことは想像しなくても分かります。

医学生はどんな人が多いのか

医者の卵である医学生はどんな性格の人が多いのか、男女別に挙げてみます。意外と自分に似てる、、なんてことも!?

男子は温厚な人が多い

男子は優しくて温厚な人が多いです。頼み事はだいたい引き受けてくれます。入学当初は尖ってて性格悪いなぁと思っていた人でも高学年になると落ち着いてきます。年相応の落ち着きといったところでしょうか。しかしまだまだイキっている人も見受けられます。話が面白く返しがキレッキレだったりユーモアに富んだ人もいます。派手な髪色で飲み荒れるようないわゆる陽キャもいれば、いかにも真面目な感じの大人しいタイプもいます。しかしこうやって進級してきている以上、根は全員真面目で努力家なのは間違いありません。ごくわずかですが、中にはパワハラの片鱗を見せている同級生もいて先行きが不安です…。

女子は気が強い人も

女子は大人しそうに見えても実は気が強い人が多いです。男社会で揉まれていくせいでしょうか…。あまり他人に興味がないサバサバ系が多いような気もします。お菓子作りが趣味で売っているようなお菓子を作ってくれる人やおしゃれにこだわっている女子力の高い人から、ジムでゴリゴリに鍛えている人や1人でラーメン屋巡りをしている人まで千差万別です(笑)。ネイルを定期的に推しキャラにしている人もいてインスタに上がるのを見るのが楽しみです。

真面目で努力家であることが共通点

男女問わずほとんどの人に共通することは、根は真面目で努力家だということとコミュニケーション能力が高いことです。25歳を超えると性格は変わらないという話もあります。みんなそのまま医師になっていくんだなぁといった感じです。

必要とされる素質を持っていなくても大丈夫!解決方法について

上に挙げた素質は自分でいくらでも身に付けることができます。ここからはどうやって素質を身に付けたらいいのかお伝えします。

勉強を継続できるようになる方法

大学受験の勉強を継続するには勉強の習慣化と目標の設定が大切です。例えば朝の10分などと決めて、毎日何かしらの教科に触れましょう。そして勉強時間をだんだんと延ばしていきます。習慣をつけるためには最初のうちは意識的に行動する必要があります。アラーム機能などを活用して勉強の習慣を身に付けてください。目標の設定については以下の記事でご紹介したので参考にしてください。

医学部に合格するレベルまで勉強が進んだら、勉強を継続する力はほぼついたと思ってよいです。あとは大学に入って遊びすぎないことと大学の勉強に興味をもつことを忘れないで下さいね。

コミュニケーション能力を高める方法

コミュニケーション能力を高めるには人と話すのが1番です。部活やバイトに積極的に参加し、新しい人や目上の人と話す機会をどんどん作りましょう。私は入学当初はめちゃめちゃコミュ障でしたが、経験値が上がるにつれてどんな人とも問題なく話せるようになりました(笑)。コミュニケーション能力がついて色々な人と会話ができるようになると楽しいものです。病院実習でもたくさんの話を引き出せたり場が盛り上がったりして大変充実した実習ができました。最初のうちは自分から話しかける勇気がなくても、相手の話をにこやかに聞くだけで自然と上手なコミュニケーションがとれるようになります。ぜひ進んで新しい世界に踏み込んでみてください!

体力をつける方法

体力をつけるにはまずは食事からです。バランスのよい食事を心がけましょう。受験生のうちはエスカレーターではなく階段を使うなどできることを少しずつやっておくとよいでしょう。大学に入ってからは部活に入るのが手っ取り早くておすすめです。医学部の部活は無駄に厳しいところがあるので気付いたらそれなりの体力はついています(笑)。また女子でもジムやキックボクシングに通っている学生もいるのでお金に余裕があればそういった方法で体力をつけるのもおすすめです。

判断力のつけ方

これに関しては難しいです…。医師として働いていく中で身に付けていこうと思います。実際の臨床では国家試験の問題のように答えがあるわけではないことの方が多いと言われます。経験を積んでいくことが大事そうですね。

ドロップアウトの危機!?大学受験の時には向き不向きは分からない

医学部でバテてドロップアウトする人もいる

答えはイエスです。私の大学でも学年によっては2~3人放校になります。ただ、その方々が全員ドロップアウトという形なのかといわれるとそうでもない部分もあります。現に私の知人には医学以外のことに興味があったのかなと思われるとても面白い人もいました。在学中に何か違う方向に興味がわいたりして自主的に医学以外の道に方向転換することは決して悪くないです。ただ、医学部は勉強が大変なので、やはりついていけないなんて問題は起きがちです。高校生の時よりも量が増えるので容量の良さや、情報共有はかなり重要です。このような変化で戸惑いなかなかリカバリーできず苦しくなることもあると思います。

自分に全然自信がなくても、医者にはなれる

上記のドロップアウトの文章を読んで怖くなった、方法は読んでみたけどいくら解決方法を知っても実際に自分を変えるのは難しい、自分に自信がないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。他にも体力もコミュニケーション能力も性格も良くないんだけどと思う人もいませんか?

実は私自身がそうでした。性格はかなりネガティブで少しのことで落ち込んでしまうし、課題やテストとなると途端に余裕をなくしてパニックになりがち、、、。引っ込み思案なので自分から友達を作りに行ける方でもなく、運動もしたことがないので体力もありません。そして容量も頭もかなり悪い、、、。でも、確かに苦労はしますが、案外どうにかなります。友人たちの凄さに入学当初は圧倒されていたのですが、今はマイペースにやればいいかなんて思っています。学生生活はかなり大変な部分もありますが、医学部は6年間と期間も長いです。入学後に友人たちの良い部分を吸収して少しずつ自分を変えるぐらいの気持ちで大丈夫です。

とりあえず受験を頑張りましょう

医師を目指そうと考えている皆さん、向き不向きはまだ分かりません!医師になるには膨大な勉強量と年月がかかるんだ、、と思って心が折れかけているかたもとりあえず今できる受験勉強を精一杯頑張って、医学部に合格してください。

医師は責任も伴いますが、やりがいも大きいです。夢に向かって頑張りましょう!

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