現役医学生が薦める医学部志望に読んで欲しい本6選

医学部コラム

今回はオススメの本について紹介します!

著者が医師の本、題名にインパクトがある本、長期休暇に読んでほしい少し難解な本をそれぞれ2冊ずつ紹介します。

さまざまなタイトルの本の山

著者が医師の本2選

医学生となって医学の勉強に励むのはもちろん素晴らしいことです。

さらに、以下の本を読むことで医師として社会に貢献できる方法がこんなにあることを知れるのはとても有意義ですよね。

医師を志すみなさんにぜひ手に取ってもらいたいと思い、まず最初に紹介します。

 

心を安定させて生きる指南書   森川すいめい著 『その島のひとたちはひとの話をきかない』

 

『森川すいめい著:その島の人たちは、ひとの話をきかない- 精神科医、「自殺希少地域」を行く』

みなさんは日本が自殺大国だということをご存知ですか?自ら命を絶つ人が多いこの国で、自殺率がとても低い地域があります。その地域を精神科医が歩き、なぜ自殺者が少ないのかを紐解いていきます。

町の人々との何気ない関わり方や交わした会話などがあたかも私たちがそこにいるかのように感じられるタッチで書かれています。

ここでは町単位で特徴が挙げられていますが、これは私たち一人一人の対人関係のあり方を考えるきっかけにもなります。どういう関わり方をすればストレスを減らし他者とうまく生きていけるのか。みなさんもぜひヒントを探ってみてください。

 

世界は少しずつ良くなっている   ハンス・ロスリング著 『FACT FULNESS』

 

『ハンス・ロスリング著:FACTFULNESS- 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

この本は日本でもベストセラーになっている本なので、知っている方も多いのではないでしょうか?

みなさんに質問です。世界中の1歳児で、予防接種を受けている子供の割合はどれくらいか知っていますか?

60%? 50%? あるいは30%くらいかな?と思っている人もいるかもしれません。

私たちは、本当に世界を正しく見れているのでしょうか?誤ったものの見方をしてはいないでしょうか?本を読み進めていく中で、世界に対して悲観的になりすぎたり楽観的になりすぎるのではなく、冷静に事実を捉えることの重要性を実感できると思います。私が上記した問題の答えがこの本の中に記されています。

世界を正しく見る力・真実を知る力を、この本で学びましょう。

 

題名にインパクトがある本2選

次に紹介する本は題名にインパクトがあり、「手に取りにくい」と感じる人が少し多いかもしれない本です。

1冊目の本は医師が著者となっていますが、2冊目の著者は元NHKアナウンサーの方です。

あらゆる本を手に取り読んでみる。そのおかげで知らなかった世界に触れることができるんだと教えてくれたのが2冊目の本でした。

そして、何が自分にとって・他者にとって幸せなのか、どんな人生を送りたいのかを考えるきっかけをくれました。

 

日本の解剖事情にメスを入れる  岩瀬博太郎, 柳原三佳著 『焼かれる前に語れ』

 

『岩瀬博太郎, 柳原三佳 著:焼かれる前に語れ〜司法解剖医が聴いた、哀しき「遺体の声」』

みなさんの中にはドラマ「アンナチュラル」を観ていた人もいるのではないでしょうか?私がこの本を読んだのはまだ法医学について勉強をしていない頃でした。

日本では亡くなった人全員が解剖されるわけではないこと、また地域によって解剖される割合が大きく異なるということをご存知ですか?つまり、自殺か他殺か怪しいと思っていても、自分の住む地域によって解剖してもらえるかが変わるということです。

「法医学は未来のための仕事」アンナチュラルの主人公であり法医学者の三澄ミコトの言葉ですが、その通りなんです。1人のご遺体の死因がわかることで、連続殺人を止められるかもしれない、未来に起こる事故を未然に防げるかもしれない。そんな法医学の魅力も伝わるかと思います。

日本の法医学を取り巻く実情を知ることができ、現場でご遺体と向き合い続ける先生方に畏敬の念を抱くこと間違いなしです。

ぜひご一読を!

家族だから…という言葉の重さ  下重暁子著 『家族という病』

 

『下重暁子 著:家族という病』

みなさんのご家族は仲良いですか?とっても仲良い人が読むと違和感しかないかもしれません。

逆に、家族とあんまり仲が良くない、距離を置いているという人にとっては同意する点が多いかもしれません。

私が読んで欲しいのは、特に前者の人です。

家族とは支え合って生活するもの、家族なんだからどんな時も一緒にいて当たり前、家族はみんなが仲良いのが普通。

そう思っている人も多いのではないでしょうか?

現実は違います。「家族なんだから」という言葉に縛られて家族の中での役割を全うしなければという重荷を背負っている人も多くいます。

そして、みなさんが医師となって患者さんと関わるようになると、家族のあり方がかなり多種多様なんだということがわかると思います。

「人には人の考え方がある。自分の物差しを押し付けるのはやめよう」

そう思える本です。

 

長期休暇にチャレンジしてほしい少し難解な本2選

次に紹介する本は今までの本とは少し違ってとっつきにくい2冊です。

しかし、少し長い休みを利用してちょっとでも良いのでその世界をのぞいて欲しい本を選びました。

ぜひチャレンジしてみてください!

 

人間にとっての宗教とは?  遠藤周作著 『深い河』

『遠藤周作 著:深い河』

みなさんは何か宗教をお持ちですか?日本人の多くはこういった質問を投げかけられた時に「いや家は仏教だけど別に自分は信仰してないし…」という反応をされる方も多いのではないでしょうか?

この小説はキリスト教をテーマに人にとっての宗教のあり方を問うお話です。

何人か主人公がいます。本当の愛を知らず生きていきたが、最後に愛を理解しようとする人、過酷な環境を生き延びてきたからこそ感じる罪悪感をキリスト教の愛の精神で赦された気持ちを持つようになる人、そして最初から最後までキリストの愛にまっすぐな人などなど。この本を読むまでキリスト教をわかった気でいた私が、「もっと深く知りたい」と思うようになったきっかけの本です。

医療の世界と宗教がどう関係するのかと思う人もいるかもしれません。この2つはかなり密接に関わっています。むしろ相補的と捉えられるかもしれません。

その真相を知りたい方はぜひご一読ください!

 

医学生・医師のバイブル  ウィリアム・オスラー著 『平静の心』

『ウィリアム・オスラー 著:平静の心 オスラー博士講演集』

名著中の名著。医学生・医師で知らない人はいない本です。

この本をオススメの本として名前を挙げる医療者は数多くいますし、バイブルだと言う先生もいるくらいです。

臨床医、研究医、そして教育者としてその人生を送ってきたオスラー氏の珠玉の言葉が散りばめられています。

これから人生をかけて患者と向き合っていく私たちにどんな心構えが必要なのかを諭してくれます。とても古い本ですので難しく感じる部分があるのも事実です。全てを読破するのはとても時間がかかりますし、骨が折れます。

だからこそゴールデンウィークなどの少し長い休みの時にじっくり手にとって欲しい本です。翻訳の1人は医師の日野原重明先生です。

 

まとめ 勉強だけでは得られない知識を読書から!

今回はテーマ別に6冊の本を紹介しました。

興味を持った本はありましたか?

読書は新たな知識を得られるだけでなく、国語力も養成することができるので受験生にピッタリです。

息抜きにぜひ本を手にとってみてください!

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