医学部では留年も珍しくない!ストレート卒業率約80%で低い

医学部コラム

医学部に進学したものの、退学する人がいることを皆さんは知っていますか?大学にもよりますが、留年する人は珍しくなく、中には退学する人もいます。医学部に入ることがゴールだと思っている人も多いかもしれませんが、実はそうではありません。

進級のしやすさは医学部によって大きく異なる

受験生のみなさん、入試の勉強をしていて偏差値や学費を気にすることはあっても進級のしやすさを考えたことはありますか?個人的にはこれが一番の盲点だと思います。

医学部を入学した後、多くの講義があります。その講義を受け終わると、身についたかを確認するために試験が行われます。この試験は、講義を担当した教授が作成するのですが、この試験のレベルが作る教授によって、びっくりするぐらい大きく異なります。この試験に落ちてしまうと、単位を落とすということになってしまい、複数科目で単位を落としてしまうと留年してしまいます。(大学によっては、1科目でも落とすと留年します。)

大学によって、留年のしやすさが大きく異なることは医学部ではよく知られています。実際、違う大学の人と会話してると、本当に同じ学部かと思うぐらい試験の厳しさに差があります。進級が厳しくない大学の人は、試験勉強に割かれる時間が最小限で済むため、自分のやりたいことに打ち込むことができます。なので、進級が厳しくない大学に行くことが、キャンパスライフを充実させるためには必須と言えるでしょう。

ストレート卒業率ランキング 全88校を掲載

上記を読んでどの大学が進級しやすいか知りたくなったのではありませんか?しかし入学案内にはもちろんそんなことは書いてありません。ではどうやって進級しやすさを判断すればいいのか疑問に持たれる方も多いと思います。そこで使えるのが文部科学省が出している各大学医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等という資料です。中でもその中の項目である最低修業年限での卒業率(ストレート卒業率とも言われる)は大学の進級しやすさの1つの指標とも言えるでしょう。ではこのストレート卒業率とはどういうものでしょうか?これは医学部の最低修業年限である、6年間で卒業することができた人数を入学者数で割った割合のことです。つまり一度も留年することなく卒業できた人数が各大学にどれぐらいいて、他の大学の割合とどのぐらい違うのかこの資料から判断することができます。

国立大学 大学名 最低修業年限での卒業率 ランキング
岡山大学 99.10% 1
名古屋大学 97.30% 2
琉球大学 96.60% 3
京都大学 94.70% 4
信州大学 94.20% 5
東京大学 93.60% 6
三重大学 93.60% 6
大分大学 93.60% 6
金沢大学 93.20% 9
山口大学 92.30% 10
千葉大学 91.70% 11
浜松医科大学 91.60% 12
秋田大学 91.50% 13
愛媛大学 90.40% 14
冨山大学 90.00% 15
佐賀大学 89.60% 16
筑波大学 88.80% 17
新潟大学 88.20% 18
東京医科歯科大学 87.60% 19
神戸大学 87.20% 20
鹿児島大学 86.20% 21
山梨大学 85.70% 22
山形大学 85.60% 23
大阪大学 85.60% 23
高知大学 85.60% 23
東北大学 84.30% 26
北海道大学 83.80% 27
広島大学 81.70% 28
旭川医科大学 81.10% 29
弘前大学 81.10% 29
長崎大学 80.80% 31
群馬大学 80.50% 32
香川大学 79.80% 33
滋賀医科大学 79.50% 34
徳島大学 78.90% 35
熊本大学 77.60% 36
岐阜大学 77.30% 37
九州大学 75.90% 38
鳥取大学 73.00% 39
福井大学 72.80% 40
宮崎大学 65.50% 41
公立大学  大学名 最低修業年限での卒業率 ランキング
京都府立医科大学 91.60% 1
横浜市立大学 91.10% 2
和歌山県立医科大学 87.00% 3
福島県立医科大学 84.60% 4
札幌医科大学 83.60% 5
大阪公立大学 83.20% 6
名古屋市立大学 79.40% 7
奈良県立医科大学 76.10% 8
私立大学   大学名 最低修業年限での卒業率 ランキング
順天堂大学 96.40% 1
慶應義塾大学 93.00% 2
東京女子医科大学 93.00% 2
自治医科大学 92.70% 4
東京慈恵会医科大学 92.70% 4
東北医科大学 91.00% 6
聖マリアンナ医科大学 90.40% 7
国際医療福祉大学 89.30% 8
大阪医科薬科大学 86.70% 9
東海大学 86.60% 10
昭和大学 85.70% 11
東邦大学 85.20% 12
藤田医科大学 82.50% 13
北里大学 80.70% 14
日本医科大学 80.50% 15
獨協医科大学 80.00% 16
東京医科大学 80.00% 16
産業医科大学 79.00% 18
愛知医科大学 78.30% 19
金沢医科大学 78.20% 20
日本大学 77.90% 21
関西医科大学 77.80% 22
岩手医科大学 76.90% 23
久留米大学 76.70% 24
兵庫医科大学 75.90% 25
帝京大学 75.60% 26
近畿大学 75.40% 27
川崎医科大学 72.70% 28
福岡大学 72.10% 29
埼玉医科大学 71.50% 30
杏林大学 67.50% 31

国公立大学、私立大学ともに、ストレート卒業率が高いところでは90%台〜低いところでは60%台となっています。大学によって大きな差があることが上記の表から分かりますね。

以下に出典である文部科学省のサイトを載せます。他の項目についても載っていますので興味がある方は是非見てください。

出典 文部科学省 医学・歯学教育 各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等

医学部を退学する人も1年間で約1%いる

上記で進級の難しさをみて退学する人もいるのではと思った人もいらっしゃると思います。その通りで、退学する人もたまにいます。退学率については大学側が公にしていない場合も多く、明らかになっていません。しかしいくつかの大学では公表されているためここで紹介したいと思います。

ここで掲載しているものは全て1〜6年の留年数、退学数となります。

①順天堂大学

2022年度 留年者数7人 退学者数2人

2021年度 留年者数6人 退学者数1人

2020年度 留年者数4人 退学者数2人

出典 2022(令和4年)年度 自己点検・評価用 大学基礎データ

順天堂大学では留年者数、退学者数ともに1桁に留まっています。そのため進級しやすい大学と考えられます。

②聖マリアンナ医科大学

2022年度 留年者数23人 退学者数7人

2021年度 留年者数17人 退学者数5人

2020年度 留年者数17人 退学者数5人

出典 聖マリアンナ医科大学 退学・除籍者数、中退率、留年者数ー医学部

聖マリアンナ医科大学では①の順天堂大学よりは多い結果となりました。しかし、退学者数は3年間1桁台を保っています。

③岩手医科大学

2022年度 留年者数45人 退学者数12人

2021年度 留年者数55人 退学者数6人

2020年度 留年者数52人 退学者数12人

出典 Iwate Medical University Educational Data Book 2023

岩手医科大学では留年数、退学者数ともにかなり多い数になっています。進級に厳しい大学と言えるでしょう。

ではどのような人が退学するのでしょうか?理由は様々ですが、大きく2つに分けられます。

①勉強の躓きなどによる消極的理由

主に留年を契機としているものです。特に低学年で留年した場合、その傾向が強いように感じます。例えば1年生で留年すると、翌年に無事2年生に進級できたとしても、ストレートで進級するための勉強法を確立できずにまた留年してしまうということがあります。また、基礎医学の勉強は難解であり、周囲は医学部受験を潜り抜けた逸材のため勉強ができないことをあまり相談できず悩んでしまいます。医学の勉強に対するモチベーションも下がり、「自分はこのままでいいのだろうか?」「本当に医師になりたいんだろうか」という気持ちに陥ってしまう人もいます。そのように悩んでいる間に2年連続して留年、放校という結末が待っているケースがあります。

②やりたいことが見つかるなどの積極的理由

これは大学生活を送っている間に、新しく自分のやりたいことが決まって前向きな気持ちで自主退学をする場合です。

「せっかく医学部に入れたのになんでわざわざ辞める必要があるの?卒業してからでもよくない?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、医学部は6年間もあり、ストレートで合格したとしても卒業する頃には24歳。本当にやりたいことが見つかった人にとっては時間のロスがとても大きく感じてしまうのでしょう。

医学部を中退しても様々な進路がある

さて、気になるのは退学した後の進路ですよね。ここまでの話を聞いてビクビクしている人も多いのではないでしょうか?進路には様々なものがあります。

①もう一度別の大学の医学部に入り直す

他の大学を放校になった場合に、別の大学の医学部を再受験して合格するケースです。この場合、別の大学に入学することになるため、今まで自分が取得してきた単位は全て失効する場合が多いです。しかし心機一転やり直すという意味ではこれもアリですね。

②もう一度同じ大学の医学部に再入学する

大学によっては再入学ができる場合があります。しかし、再入学できる学年が決まっている場合や、すでに取得していた単位を認めてもらえるケースもあるため、それぞれの大学によって対応が異なります。再入学する際には単純な医学部受験の問題ではない試験を受けることになるため、その難易度は図り知れません。

③違う学部に進学する

大学を放校になった後に理学療法士や臨床検査技師になる人がいます。実際、医療職は食いっぱぐれることがないため、別の医療系の資格を取って働く、というのが一番効率的かもしれません。また、自分が医学部に通っていた時に培った知識を生かすこともできますね。

④全く違う仕事に就職する

中には医師ではない仕事をする人もいます。ベンチャー企業に就職して、医師の年収以上に稼いでいるというような人もいたりいなかったりするようです。また、教えるのが得意な人は家庭教師として働く人もいますね。このほかにも編集者のような仕事をしたり、医学部時代にできた人脈を生かして別の仕事を始めるという人は結構いるように感じます。

医学部に入学する前に進級についても考えてみよう

いかがでしたか?かなりシビアな話になってしまい、医学部に進学することが怖くなった方もいらっしゃるかもしれません。特に退学の話についてはこれから医学部に入り、医師を目指す皆さんにとって考えたくもない話だと思います。しかし人生何があるかわかりませんし、進級については大学入学後の生活において非常に重要なポイントです。受験前に一度進級しやすい大学についてしっかりと考えることをお勧めします。

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