医学部地域枠は女子に不利?メリット、デメリットを解説

医学部入試情報

みなさんは地域枠制度について知っていますか。

高校生の時は、名前も聞いたことがない人や、聞いたことがあっても僻地に飛ばされるイメージのある人が多かったように思います。

今回は地域枠制度と女子がその制度を利用する際にどのようなことが起こるのかを実際に書いてきたいと思います。

地域枠とは

地域枠とは各都道府県が医師不足地域を解決するために行っている制度のことです。将来、一定期間決められた地域で働くことを条件に給付型の奨学金や入学しやすくする等の利益を受け取ることができます。

基本的に、受け取った奨学金の期間の1.5倍の年数を定められた地域で働くことが条件のところが多いです。しかし、各都道府県にその制度は異なります。具体的には就労できる地域の制限、猶予期間、進む診療科の制限、他の都道府県からの受け入れなどです。

例えばある県では県内のどこでも自由に就労できますが、他の県では県内のなかでも特に医師が不足している地域で就労する必要があります。特に島のある県では島に行くケースも多いようです。

また、ある県ではどの診療科にでもなれますが、他の県では小児科、産婦人科のみと決められている等の条件もあります。

県内県外にかかわらず誰でも募集している県もあれば、県内と県外の人で条件が違う県もありますので、利用を考えている場合はいきたい県の制度をよく調べる必要があります。

地域枠制度の制度は年々変わっていますので、必ず各都道府県のサイトで最新の情報を確認してください。

地域枠制度は辞退できるのか

地域枠制度は奨学金を得るためだけでなく、一定数入学難易度を下げるために利用する人たちもいます。

私立では奨学金を得るために利用する人が多いように感じますが、国立は入学しやすいために利用している人が多いイメージです。そのため、国立の地域枠制度限定で、県外の受験者の条件を厳しくしている県もあります。

私立国立関係なく地域枠制度を辞退する学生は一定数おり、現在問題視されています。力業ですが、高い年利のついた奨学金を県の決められた時期までに返済すれば県内での就労を免除されます。もちろん、離脱するのにふさわしい理由がある場合はこの限りではありません。

しかし、厚労省が令和元年より、離脱するにふさわしい理由がないと判断された者を研修医として採用した病院側にペナルティが発生する制度を開始しました。要するに離脱者のマッチングに不利に働くような制度を作りました。現在、専門医研修先を決める上でも不利になる仕組みを整備しているようです。

まぁ、学生の耳に入ってきていないだけかもしれませんが、実際に研修病院側がそれを考慮して採用したなどの話はまだ聞いたことはありません。また、研修できる病院は必ずあるので、離脱する意思のある者にはあまり関係ないことなのかもしれないです。

ここら辺の事情についてはあまり詳しくないため、こういうペナルティがあるのだなという知識だけもっていただけると嬉しいです。

地域枠女子のメリット、デメリット

地域枠女子のメリットは基本的に男子と同じです。

地域枠の最大のメリットは返済の必要のない奨学金制度と入学のしやすさでしょう。しいて他にあげるとしたら、県からのサポートが受けられる点や、同じ地域枠制度の生徒同士で交流が持てる点でしょうか。

県によって奨学金の額は違いますが、日本奨学生機構などでもらえる上限以上の金額が受け取れるところもあります。特に私立の医大に通う学生には大きなメリットでしょう。

次にデメリットですが、将来の選択肢が狭まることだと思います。特に女子は男子以上にこれに悩むと思います。地域枠制度を利用する方の就労義務年限は9年の方が多いと思うのですが、医学部を卒業してからの最初の9年は様々なライフイベントも発生するはずです。

特に、女性にとって結婚出産は切っても切り離せない重要なライフイベントです。

この記事を読んでいる方には、結婚出産したら子育てを優先して非常勤でゆったりと働きたい方や、結婚してもバリバリ働きたい方など様々な人がいると思います。

子育てを優先してゆっくり働くなら関係ないのではと思われる人もいると思いますが、自分の母親の近くで子供を育てたい、教育の充実した都会で子育てしたいなど、就労する地域が限定されることにより出てくる弊害があります。

また、バリバリ働きたい人、私が想定しているのは専門医も博士課程もとりたい方や、臨床を頑張りたい人たちですが、この方たちにとって最初の9年間が限られた地域での就労となるとやはり選択肢はどうしても限られてきます。これは男性にとってもデメリットですね。さらに女性はこれに加えて人によっては結婚出産が入るため、男性以上に思ったようにキャリアを積むことはできないでしょう。しかし、結婚出産によるキャリアの問題は地域枠に限ったことではありませんので、女子だから地域枠は無理かもと思う必要はありません。

まだ、私は医師として働いていないため、実際に就労した際にどのような制限が出てくるのか想像に乏しいのですが、地域が限定されることによるデメリットは少なからずあります。そのリスクを背負う代わりに奨学金の給付や入学難易度の低下などの恩恵が受けられるのです。

まとめると、地域枠制度のデメリットとしては子育て環境と9年間の縛りがある中でどうキャリアをどう積んでいくか考える必要があるところでしょう。これは結婚したいと考えている男性にも同じことがいえます。

女子としてのデメリットは結婚出産によるキャリアの問題だと思います。

地域枠女子は両方デメリットを踏まえて、生活やキャリアを考えていく必要があります。

結婚を考えているなら

医学部女子の結婚相手の7割は男性医師と言われています。

お互い違う都道府県の地域枠制度を利用する医学生カップルもいるでしょう。

しかし、その場合基本的に心配する必要はありません。大抵の都道府県は、お互いの都道府県で義務年限の半分の年数を働けば良いことになっています。

ざっくり説明すると、A県の地域枠制度を利用する医師とB県の地域枠制度を利用する医師が結婚した場合、2人で義務年限の半分をA県で、その後残りの半分をB県で就労すれば大丈夫です。

地域枠制度のない医師や他職種の方との結婚は相手の理解を得る必要があるでしょう。もしくは、離脱する資金をサポートしてくれる夫を捕まえればどうにかなるかもしれません。笑

 

いかがでしょうか。地域枠制度と女子が受ける地域枠制度のメリットデメリットについて説明しました。

私はまだ医師ではないため、キャリアについてはまだまだあやふやなことばかりですがんとなく理解していただけたら嬉しいです。

デメリットを大きく書いたため、利用しない方が良いのではないかと考える方もいるかもしれませんが、地域枠制度による高い給付型の奨学金と入学のしやすさはかなり大きいメリットです。

高校生で大学併せて15年後の未来を想像させるのは酷なことだと思いますが、受けられるメリットも大きいので地域枠制度について是非一度調べてみてください。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

【2023年版】 現役医大生が選ぶ医学部予備校おすすめTOP5