朝だるくて起きれない?中学生の10人に1人?「起立性調節障害」を改善する方法!

医学部受験生の生活習慣

朝、なかなか起き上がれないことはありませんか?

私も度々起きれなくなりますが、ただやる気がないときと、「だるさ」を感じているときがあります。近年、だるさを訴える若者が増えています。

だるさを生じる体の異常はたくさんありますが、あまり知られていないために、周囲から誤解されることも多いです。今回は、若い人に起こりやすい「起立性調節障害」について医学的に解説していきます。

そのだるさは異常なだるさ?

気持ちだけではどうにもできないことがある

「学校に行かなきゃいけないのに、だるくて起きれない」

「勉強しなきゃいけないのに、だるくてベッドでゴロゴロしちゃう」

そしてゴロゴロしてしまった自分が不甲斐なくて、「なんで自分はみんなみたいに頑張れないんだろう」と自分を責めてしまう……

私はこれまでこの悪魔のサイクルを無数回、繰り返してきました。中高生のときは「たまに」のだるさでしたが、大学生になってから特にひどくなりました。試験前に「だるい時期」が重なると、頑張れない自分が情けなくて、泣きながら問題集を解いていましたが、本当にだるいときはあまり集中できません。無理やり勉強しても成績は上がりませんでした。

後からいろいろ勉強していると、実は「だるさ」で悩んでいる人はとても多いことが分かりました。

「だるさ」は体の不調です。やる気がないわけではありません。精神論だけでは治せないので、今回お伝えする方法で医学的に改善していきましょう。

身体の状態を客観的に把握する

まずは、自分がだるさを感じやすい時期や状況を考えてみてください。

たとえば、「朝はだるいけど夜は元気」「雨の日にだるくなりやすい」「食べすぎた次の日にだるい」「うまく眠れなくてだるい」「ストレスが強い時期にあるい」「だるいときには食欲もない」などと感じる人もいます。私の場合、毎月生理前の10日間前後は必ずだるくなります。

生理前だけ疲れやすくなるPMS(月経前症候群)についてこちらの記事で解説しています。

治す努力をしよう

食べすぎを防ぐ、早めに寝るなど、自分で改善できるものは自分で改善していきます。難しい場合、ためらわず病院を受診しましょう。「だるさ」を主訴(受診する原因となる体の不調)に受診しても構いません。

だるくて朝起きられない「起立性調節障害」に悩む中高生は多い

仮病と思われることも・・・まずは診断してもらうことが重要

私が「だるさ」に注目するきっかけとなったのが、家庭教師先のある女子中学生との出会いでした。その生徒は、中学1年生の夏休み明けから徐々に学校を休みようになり、ついには全く登校しなくなりました。

朝とにかく起きれず、吐き気や頭痛、腹痛を伴うことも多かったそうです。しかし夜は元気で、夜遅くまでゲームをしているので、母親は仮病だと思い、朝無理やり起こして学校に行かせたり、ゲームを取り上げたりしました。相変わらず体調は悪いままで、自分を理解してくれない母親との溝も深くなる一方でした。

起立性調節障害は思春期の子どもに起こりやすく、中学生の約1割が発症すると言われています。朝に体調が悪いですが、夜は比較的元気です。そのため、周囲からは仮病なんじゃないかと誤解されることも多く、孤立してしまい二次的に精神疾患を発症してしまうことがあります。

診断してもらい、周囲の理解を得ることも重要です。

こちらの動画で起立性調節障害について分かりやすくまとめています。

起立性調節障害は自律神経の異常で起こる

人は立ち上がった際、重力の影響で血流が上半身に行きわたりにくくなります。通常は自律神経のひとつである、交感神経が働いて血流を安定させます。しかし、起立性調節障害の人はこの自律神経がうまく働かないために、脳に血流が行きづらくなり、様々な症状を引き起こすのです。

不規則な生活リズム、ストレスなどの心理的要因が自律神経を乱す要因の一つとして考えられていますが、まだはっきりとは解明されていません。

診断するために、仰向けのに寝ている状態から立ち上がった状態の血圧の差を測ります。

深刻な場合は薬物治療も考える

治療の基本は規則正しい生活リズム・適度な運動・水分補給・塩分摂取です。毎朝、みそ汁を飲むのもおすすめです。

しかし、だるいのに運動と言われても、夜眠れないのに早寝と言われてもなかなか難しいところがあるでしょう。難しい場合、交感神経に作用して血管を収縮させる薬が使われます。

ただ、起立性調節障害を発症する人に敏感な体質の人も多く、吐き気や頭痛などの副作用を強く感じてしまうこともあります。

主な治療についてこちらを参照してください。

漢方で改善する場合も

漢方薬の服用によって起立性調節障害が改善され、学校に行けるようになった例が多数報告されています。

東洋医学では、五臓六腑(内臓)や気血津液(エネルギーと血と体を流れる水分)のバランスが取れている状態を「健康」と考えます。その内のどれかのバランスが複合的に崩れ、結果的に起立性調節障害の形で現れたと考えるので、病名ではなくその人の体質を重視します。

起立性調節障害を引き起こす原因として、気血両虚タイプ(生命のエネルギーである「気」も血も足りない状態)、脾虚による気陥タイプ(消化器が弱いため生命のエネルギーである「気」を持ち上げられない状態)や、水滞タイプ(水分代謝が悪い)、肝気鬱結タイプ(ストレスを感じやすい)などが考えられます。

それぞれの体質によって使う漢方薬も異なるので、必ず専門の機関に診てもらいましょう。漢方科を標ぼうしている病院でも、漢方薬局でも構いませんが、問診だけでなくしっかり舌や脈などの身体診察もしてくれるところで治療してください。意外と症状の問診だけで漢方薬を処方する医師が多いのが現状です。

また、漢方薬が有効だった場合は比較的すぐに効果が感じられますが、それでも数週間から数カ月の間、根気よく治療を続けることが必要です。

漢方薬にも少ないながら副作用があります。薬の力を借りながら、生活習慣を改善していき、徐々に減薬を目指します。

体調が良くなると生きやすくなる!治す努力が必要

だるくて辛いときは体に異常が生じている場合があります。

まずは自分の体のサイクルを把握しましょう。そしてできる限り生活リズムを改善し、難しい場合は医療機関に頼ってください。

体調が良いと人生がだいぶ楽になります。皆さん自身が「楽」に生きていくためにも健康に気をつけてみませんか?

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