医学部の面接試験に必要な心構えとは?よくある7つの質問とNG回答例

医学部受験の直前期対策

医学部受験生にとって、避けて通れない関門が「面接試験」!

面接試験は、学力試験と違って人vs人の試験なので誤魔化しがきかないのが難しいポイント。

今回は面接試験のコツやNG例などを紹介します。

黒いコートを着ている人 接写

面接落ちしてしまう人の特徴と対策 面接官への印象が大切

まず最初に、「これだけはダメ!」というNG例を紹介します。

NGを踏むと合格することはできません。学力試験がいくら良くても「この人は医師に相応しくない」とされたら不合格にされてしまうこともあります。

今回は医学部生かつ面接指導者に話を伺いました。

面接で落ちてしまう人の特徴は以下の3つです。

①聞かれたことに正確に答えられない

緊張しているのはわかります。聞かれたことの意味もわかっているのでしょう。

しかし、一旦話し始めたはいいものの、自分の話していることが、結局

相手の質問していたことから外れてしまう
軌道修正しようと思ったのになかなか戻れない

など、結局何が話したかったのかがわからないことがよくあります。

これだと、面接官がもどかしい気持ちになったり、「コミュニケーションが取れない受験生なんだな」と思ってしまうかもしれません。

 

②黙る

受験生の面接対策をしていて、自分が想定もしていなかった質問が来た時に3分、いや5分くらい沈黙が流れる生徒が時折います。

本番で1分も黙っていたら次の質問に移ってしまうと思いますし、評価は悪いですよね。

だって点数をつけようと思ってもその材料となるものが何も受験生から提供されていないわけですから。

黙ると同じくらい良くないことに「泣く」があります。

わたしも経験しましたが、圧迫面接をしてくる大学もあります。

そのときにパニックになって泣いてしまうと、「医師になって、より追い詰められたときに耐えられるのか?」と面接官を不安にさせてしまいます。

面接官は好きで圧迫しているわけではありません。「自分を試しているんだなあ」と思ってやりすごしましょう!

 

③態度がなんとなく悪い

面接対策をしていてなんとなく態度が悪い、という生徒がたまにいます。

例えば、「〜に興味がありますか?」と聞かれて、

「ん〜ないですね。」

と答えたり、相槌を打つときに

「うん。」
「そうなんだ」

などタメ口を使ってしまうなど。

これは、もともとの性格もあるでしょうが、本当に気をつけましょう。

直すのが大変ですし、振り返った時に自分の悪かった点が見えてきづらいポイントです。

 

面接官に好印象を与えるためには普段から練習することが大切

上記3つの対策を紹介します。

①聞かれたことに正確に答えられない → 恐れずに面接官に質問をする

 

聞かれたことに正確に答えられない原因はいくつか考えられます。

・すごく緊張するタイプ
・もともと話が長い人
・そもそも聞かれた内容がよくわかっていない

大体この3パターンに分けられると思います。

まず緊張するタイプの方、緊張を解そうとして話しすぎてしまうのではないでしょうか?そういった方は、緊張を軽減してあげる必要があります。例えば、人前で話すことに緊張する→面接官から質問されたらまず一呼吸する、一次試験に通過したのが1校だけでこの面接に賭けている→この面接で失敗したからといって人生が終わるわけではない、と言い聞かせる、など、自分の緊張している理由を自分自身で探りましょう。

もともと話が長い人、まず言いたいことを一言でまとめましょう。その後に話を続けると、どんなにとっ散らかってもたいてい軌道修正が効きます。

そもそも話の内容がよくわかってない人、恐れずに面接官に質問しましょう。「それは〇〇ということでしょうか?」など言い換えて質問することで、相手に対してマイナスな印象を与えることを減らすことができます。

 

②黙る → 話す経験を積む

この場合、面接対策が不足していることが考えられます。

私が今まで面接対策をしてきた生徒は、最初は質問に対して沈黙が続いてしまうことがあっても、面接練習を重ねていくと必ず適切な返答ができる様になりました。

これは意表をつく様な質問をした場合も同様で、面接の流れに慣れることで自然とどんな質問にも答えられる様になっていきます。

 

③態度がなんとなく悪い → 自分の見え方を研究する

これは態度が悪く見られてしまう自分の癖を直していくしかありません。

相槌がタメ口になってしまうなら面接練習で何回でもやり直す、自分のふとした返答に対して周りの人にダメ出ししてもらう、などです。

 

番外編 圧迫面接での対策

みなさんは医学部合格を目指し始めてから圧迫面接という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

医学部受験の面接において圧迫面接をしてくる場合があります。特に有名なのが愛知医科大学。

元々面接官がぶっきらぼうだったりわざと態度が悪かったりするだけでなく、

返答するのが難しい質問をしてきたり図表などを見せられてそれに対して簡潔に意見を述べることを求められたりと一筋縄ではいかない面接をするとよく言われています。例えばこちら。

「自分を文房具にたとえると? それはなぜか?」
「周囲の友人に悪口を言われているとしたら、どんなことを言われそうか。」
「(3人が肩を組んだような絵を見て)、どう思うか。」

圧迫面接を経験した筆者が、圧迫面接に遭遇してもパニックにならないための対策法を3つご紹介します。

①慣れる

圧迫面接に慣れることが一番有効な策です。突拍子もない質問をわざと投げてもらい、自分がうまく返せるかをひたすら練習します。

するとあんなに詰まっていた言葉がスラスラと出てくる!という現象がいつかやって来ます。

 

②面接官も人間

圧迫面接の雰囲気はわざと作り上げています。そして相手が厳しい態度を取ったり、意地悪なことを言ってくるのは全てわざとです。

「もう後がない」と思い込んで緊張しっぱなしで、ちょっと厳しいことを言われたら泣いてしまう…なーんてこともあります。

でもそれはもったいない。相手はコミュニケーション能力を測っているだけですし、何なら「この子はモンスターペイシェントにも対応できるかな?」みたいな視点で見ていたりもします。

ここはちょっと強気で対応できるようになりたいところですね。

 

③未来を考える

ちょっと考えて欲しいのですが、面接官はその大学の先生でもあります。大抵は教授で、場合によっては医学部長などさらに大御所の先生の場合もあります。

面接では厳しかったとしても、入学したらその先生たちから学ぶ機会が沢山あります。入学した後にその先生と再会して面接の時の思い出話ができたら、なんだかうれしくなりませんか?

それくらいの心構えでいく方が自分の力も発揮できるでしょう。

太陽を保持している男のシルエット

 

医学部面接でよく聞かれる7つの質問と回答のNG例 率直すぎるのはNG

面接落ちしてしまう人の特徴と対策を紹介したところで、実践に入ってみましょう。

面接の回答を考える上で、まず大切なのは

・学校研究・自己分析を最初に徹底的に行う
・常に『学校の目線』で回答をチェック

ことです。自分を知り、相手である大学を知ること、そして大学が求めている生徒像に当てはまることが大切なのです。

以下で具体的な質問項目を挙げながら説明していきます。

 

①医学部志望理由

《NG例》
・父が医者だから
・お金が欲しいから / 社会的地位の高い職業だから
・小さい頃に入院して、その時に医者に憧れを持った

 

「なぜ医師になりたいか」を聞く質問です。
ここでのポイントは「きっかけ」だけでなく「将来の目標」も示すこと。

 

医者は日常的に接することが多い職業。
そのため、「自分や家族の病気体験」だけでは弱いと思われてしまいがち。

 

「体験の結果、どんなことを思い、将来どうなりたいと思ったか」まではっきりと示すことではじめて説得力が生まれます。
「自宅での看取りを叶えたいから総合診療医になり、在宅医として活躍したい」のような、自分がどんな専攻に進みたいか、どう医師として活躍したいのかまで具体的に考えましょう。

「実家が病院を経営しているから」というだけ、という受動的な理由や、「お金が欲しいから」などの理由は(たとえ思っていたとしても)当然ダメです。

 

②大学の志望理由

《NG例》
・親や学校の先生に勧められたから
・学費が安いから
・自分が受かりそうな偏差値だったから
・医師になりたいから

 

学校の設備やカリキュラムを理由にあげるなら、具体的にどの部分が魅力的なのかを話せるようオープンキャンパスに行ったり学校案内・HPを読み込みましょう。

 

「学校の設備・カリキュラムが魅力的だった(具体例を示す)」
「オープンキャンパスの時に〇〇教授の授業を受けて感動した」
「(地方の場合)この県の医師として活躍したいから」
といった内容が適切。

 

その際には他大もチェックすることを忘れずに。
「海外で実習を受けられる点を魅力に思ったから」などと言ってしまうと「うん、それは他の大学でもできるよね」と言われかねません。

 

その大学にしかない魅力や特徴を見つけるようにしましょう。

 

③理想の医師像

《NG例》
・父のような医者になりたい
・患者さんに寄り添った医師になりたい

 

将来どんな医師になりたいか、を問う質問。
「将来進みたい研究科」「臨床か研究か」「そのために大学ではどんな努力をしたいか」を答えましょう。

 

「まだ治療法がない〇〇病の治療法を開発するため、大学では特に循環器内科についての知識を深め、将来的に研究の道に進みたい」などですね。

 

ありがちなのが「患者さんの目線を忘れない医師」。
それだけだとふわふわした印象を与えてしまいますので、「具体的にどんな部分に注意したいのか」を語りましょう。

 

④最新の医療ニュース

《NG例》
・知ったかぶり
・私益のみを考えた態度
・倫理観に欠ける返答

 

医療ニュースについては、「あなた自身がどう考えるか」が問題となってきます。
そのため、どう答えたら正解というのは存在しません。

自分の意見に対し、論理的に、根拠を示しながら話すようにしましょう。

 

・新型コロナ関連
・出生前診断
・医療とAI

などが最近のトピック。新型コロナウイルス感染症については、長期にわたって聞かれています。

もちろん聞かれたトピックについて知っているのが一番いいのですが、知らない場合は「申し訳ありません、不勉強で〇〇については知りません」と正直に答えるように。
知ったかぶりはバレるので絶対にやめましょう。

 

⑤併願校について

《NG例》
・併願校はありません
・貴学は第4志望です

 

本当は違っていたとしても、併願にはそれよりも偏差値的に下の学校を挙げ「貴学が第一志望です!」と答えるのがセオリー
それが難しいなら、「この県で働きたい」といった志望理由やカリキュラム面を理由として「偏差値的には併願のほうが上かもしれないけれども、私はこの学校に入りたい!」とアピールしましょう。

 

本当に国立1本で受験している、などでない限り「併願校はありません」というのもあまりに怪しすぎるもの。

 

カリキュラムがどうとかそういうのは建前で、本当は偏差値的に受かりそうな医学部を受けているだけだろうというのは、面接官も分かっています。
もっと上の偏差値の学校に受かったら、そちらに行くだろうということも。

正直に本音を言う必要はありません。
堂々と「第一志望です!」と答えましょう。

 

⑥結婚・出産と仕事の両立

《NG例》
・両立は難しいので、結婚したら医師をやめたいと思っている

 

女子学生なら考えておきたいのがこの質問。
「産休・育休の後に復帰したい」あるいは「一生を医療に捧げる。結婚や出産もするつもりはない」など、「医療者として働き続ける」選択肢を回答しましょう。

ただ「頑張る」だけでは精神論になってしまうので、より具体的に答えられるよう育児休業等についても調べておくと良いかもしれません。

 

「なんで女子だけそんなことを聞かれなくちゃならないんだ」と抵抗感を感じる人もいるかもしれませんが、現在の日本では結婚や出産に伴う負担は女性に偏りがち。
そしてそんな女性が仕事をセーブしたり、退職したりすることを良く思わない人はかなり多いのです。

 

大学側としても、せっかく育てた人材がすぐに離職してしまうのは避けたいもの。
ライフイベントがあっても働き続ける意志を示しましょう。

 

⑦浪人した理由 / 再受験する理由

《NG例》
・合格しなかったから

 

多浪の場合や再受験生は、その理由を聞かれることは覚悟しておきましょう。
「合格しなかったから浪人なんだよ!」と思うかもしれませんが、聞かれているのは「なぜ合格しなかったか」。

「原因」と「それをどのように克服したか」を話しましょう。
浪人経験によって人間的な成長や得るものがあったんだ、と伝えることが目的です。

また、前年度に受けなかった大学に出願した場合は、「なぜ去年はうちを受けなかったの?」と聞かれる場合もあります。

再受験生の場合は、以前の専攻を医者になった時にどう活かしたいか、なぜ現役でなく「今」再受験しているのかも伝えましょう。

 

その他、頻出の質問

・長所と短所
・(地方大学において)卒業後、大学のある地方に残るか
・部活は何をしていたか / 高校時代の経験

 

・長所と短所
「医師になるうえで役立つ長所」を答えるのが鉄則。
ただ「集中力があることです」と答えるだけでなく、「ボトルシップづくりを5時間以上続けられます」と具体例まで示すとよりよく伝わります。

短所については「集中しすぎて時間を忘れてしまう」など、「捉えようによっては長所にもなりうるもの」を挙げましょう。
本当の意味での短所(暴力癖・喧嘩っ早い)などはNG。

 

・(地方大学において)卒業後、大学のある地方・県に残るか
自分のルーツがある土地ならいいですが、そうではない場合が問題になります。
縁もゆかりもない地域に「残る」とはいいづらいものですが、「地元に帰ります」と正直に答えたら心象は悪くなるもの。

できれば自分の志望理由と絡めて、「この県にはこんな先進的な取り組みがあるから」などと答えられるといいでしょう。
その場合は県の保健医療計画や医療・保健施策を調べておくと、志望理由や回答の手がかりになるはずです。

 

・部活は何をしていたか / 高校時代の経験
運動部が好印象になりますが、文化部はダメということはありません。
帰宅部だった場合は、代わりにどんなことをしていたかを答えましょう。

部活や委員会の経験を通じて成長したことや、体力面で問題がないことを答えましょう。

聴診器が上にある本

合格者インタビュー 私立医学部4校で聞かれた質問

今回面接試験についてインタビューした先輩はこちらの方!

2021年度と少し古い情報ですが、時事的なものを除き、面接の質問は大きく変わることがないため参考になると思います。

【お話を聞いた方】 S.M.さん
【合格校】
日本大学(医学部医学科)
北里大学(医学部医学科)
帝京大学(医学部医学科)
【現役・既卒】
1浪

2021年北里・帝京・東海・日大の医学部二次試験

北里大学

S.M.さん:北里大学は基本的な質問が多かったですね。

・本校を志望した理由
・医師になりたい理由
・高校時代に辛かったこと
・大学に入ってしたいこと
・オープンキャンパスの印象
・気になったニュースのこと

などを聞かれました。

ニュースでは、「10days ルール」について話しました。
東京医科大学八王子医療センターが取る、新型コロナ感染症病床の不足解消のため、症状がなく病状も落ち着いていれば発症から10日間経った人を他院へ転院させるという方針のことです。
(新型コロナ感染症は発症後10日間経つと感染力が落ちるとされている。参照:東京医科大学八王子医療センター

 

帝京大学

S.M.さん:帝京大学は温厚な雰囲気で、圧迫感はありませんでした。

・部活動や委員会での役職
・大学で入りたいサークルはあるか
・周りの人に対して新型コロナ感染症についてのどんな感染対策ができるか?

を聞かれました。

感染対策についての質問は文章を読んで回答する形式で、シチュエーションが設定されていました。
「あなたは図書室で試験勉強中です。友達2人が近づいてきて、近くで試験に関する質問をされました。
あなたはどうしますか?」
といった内容でした。

 

東海大学

S.M.さん:ここでは「本校の志望理由」は聞かれませんでした。

・医師を志望する理由
・コロナウイルス感染症について、ワクチンを打つ順番は医療従事者が一番だが、それについてどう思うか
・物理的に呼吸器が足りなくなってしまった場合にどう対応するか?

について聞かれました。

 

日本大学

S.M.さん:日大では、女性の立場について難しいことを聞かれました。

・医師を志望する理由
・どんな高校生活だったか
・新聞を読むか
・本学の特色はなにか?
・森会長の女性蔑視発言に対してどう思うか
・(女性差別について)患者に対して差別がないように心がけたいことはなにか
・将来どんな医師になりたいか
・出産など働くことが難しい時期もあるが、どうキャリアを積んでいくつもりか?
・災害に被災した患者に対してどのような医師としての準備を心がけるか?

特に、「女性としてどうキャリアを積んでいくか」は難しかったですね。

 

共通していたのは 「医師・大学志望理由」「最近の医療ニュース」

インタビューの中で多くの大学に共通していた質問は

・本校志望する理由
・医師を志望する理由
・コロナウイルス感染症について

の3点。先ほど紹介した7つに含まれていましたね。

 

医療に関する時事問題は小論文にも役立つので、こまめにチェックしましょう。

以下のサイトを参考にしてみてください。

まとめ 面接は入って来てほしくない人を落とす試験

今回は面接試験について紹介しました。

ボリュームたっぷりでしたが、面接試験は結局「入って来てほしくない人を落とす試験」です。

NGを踏まない、つまり「態度が良い」「話を聞く」など普通なことができたら落ちることはありません。

リラックスして面接試験を受験しましょう。

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