【速報2022】謎多し⁉「最後の秘境」たる山梨大学医学部の全貌を解明!

医学部入試情報

東京ではバラの花が満開です。本格的な梅雨が到来する前に、薫風の心地よい季節を楽しみ、酷暑に備えたいと思います。

さて、これまで、首都圏の国公立医学部を紹介してきました。千葉大学医学部と、東京医科歯科大学医学部については、以下の記事をご覧ください。

東京大学医学部については、以下の記事をご覧ください。

本日は、特筆すべき入試上の特徴が多い山梨大学医学部に絞って、分析・紹介いたします。

山梨大学医学部の最新情報

公式データに基づく最新入試情報と、入試日程の特徴

山梨県と言えば、ブドウやモモの栽培で有名ですが、「関東地方」では無いですよね。でも、ふつう「首都圏」と言った場合、山梨県も含まれます。その山梨県にある国立大学の山梨大学には、医学部もあるのです。

山梨大学医学部は、東京に近い医学部であるため、「東京や神奈川の実家から近い国立医学部に通いたい」といった事情をお持ちの受験生は、群馬大学医学部などと並んで、要チェックであります。

さて、その山梨大学医学部ですが、入試システムに、ある大きな特徴があります。

それは、後期日程入試の募集人員が多いことです。2022年入試の最新データによると、前期日程の募集人員は30名、後期日程の募集人員は95名と、後期日程のほうが3倍以上の合格者が出るのです。前期日程の志願者は39名で、倍率は1.3倍(前年は2.3倍)。後期日程の志願者は1658名で、倍率は17.5倍(前年は12倍)です。

ですが、ここで1点、重要な注意点があります。前期日程の入試を行うのは医学部看護学科のみであり、医学部医学科は後期日程入試しか行いません(看護学科は、前期日程と後期日程の双方で入試実施)。

医学部医学科の入試を、後期日程のみで、かつ「共通テスト+個別学力試験」という「前期日程入試と同様の通常の形式」で行う、「非常に特徴的な」医学部。それが、地方色豊かな山梨大学医学部なのです。

では医学科の後期日程入試とは?

山梨大学医学部医学科の後期日程入試は、個別学力試験を「がっつり」行うものです。

具体的に説明します。山梨大学の公式情報によりますと、2023年の医学部医学科の後期入試は、「共通テストが5教科7科目で計1100点」であり、「個別学力試験が2教科で計1200点」です。

なお、共通テストの配点内訳は、「国語」が200点、「数学1A、数学2B」が100点、「物理、化学、生物から2科目」が100点、「英語」が600点(そのうちリスニング300点)、「世界史B、日本史B、地理B、〈倫理・政経〉から1科目」が100点となっており、英語を含む文系が900点を占めており、リベラルアーツ重視の国立大学としての姿勢が強く打ち出されています。個別学力試験は、数学と理科が600点ずつであり、数学が「数学1A, 2B,3」で、理科は「物理、化学、生物より2科目」です。

ですから、共通テストにおいても、国立大の医学部医学科として「国語」や「地歴公民」をがっつり課します。他方、後期日程入試なのに、個別学力試験も重視しており、それらの配点比率は「共通テスト:個別学力試験=48:52」となっています。

その一方で、個別学力試験として、数学と理科の他に面接も行われますが、それは「面接の評価が一定水準に達しない場合は、共通テストや個別学力試験の点数の如何に関わらず、不合格となる」という趣旨のものであります。つまり、面接でヘマをして足切りを食らわなければOKなわけです。ですから、「共通テストを重視し、2次試験としては小論文と面接を課す」という、国公立医学部の一般選抜の後期日程試験のよくある形式とは、全く異なっています。山梨大学医学部を志望する受験生や、受験を考えている人は、よくよく注意しましょう!

以上の事情により、山梨大学医学部医学科は、国立大医学科の後期日程入試として、倍率などの点も含め名実ともに最難関に君臨しています。先ほど提示した情報でお気づきの方もいるでしょうが、個別学力試験で「英語が課されない」ために志望する受験生もいるのです。

東京・神奈川・愛知の優秀な高校を卒業した逸材が集まる一方で、かえってそれらの優秀な人材が受験するために、結果として慶応医学部や東京慈恵会医科大学などに合格者が流れ、辞退者が多いことでも有名です。

受験生は、表面的な情報に惑わされて即決・即断してしまうのではなく、信頼できる複数の人たちに相談を繰り返しながら、時間をかけてじっくり冷静に受験校や併願作戦を考え、あくまで自分が最後に後悔せずに納得できるように入試に挑みましょう!

医師国家試験合格率

では、そんな山梨大学医学部の国家試験合格率は、どうなっているのか気になりますよね。

2022年の最新情報によると、出願者数が131名、受験者数が126名、合格者数が120名で、合格率は95.2パーセントです。ちょうど95パーセントを上回っている形ですが、国家試験合格率が95パーセントを上回るのはごく一部の医学部医学科ですから、豊かな自然に囲まれた環境における学業・教育・研究・臨床のレベルの高さを分析することができます。

東京に程近く、でも都会の喧騒からも離れ、都心と不即不離の距離を保つことによって医学・医療・アカデミズムの高水準を維持しているのは、まさに群馬大学医学部や筑波大学医学部と同様です。

山梨大学医学部の公式ホームページは、以下のリンクカードよりご覧ください。オープンキャンパス、デジタルパンフレット、Web市民講座、欠員補充実施などの情報が載っています。とりわけ医学部受験生にとっては、デジタルパンフレットは必見です。

とりわけ医学科に関しては、「幅広い知識と高度な技能の獲得とともに、人格の涵養にも重点を置いた教育プログラム。目覚ましい速度で発展する医学に対し、深い人間愛と命の尊厳を基本に置いた創造と実践による教育・研究」が掲げられており、国立大学としての幅広い教養にも増して、「人格の涵養」や「人間愛」や「命の尊厳」を重視する、ヒューマニスティックな倫理的・道徳的側面が強調されています。

なお、今回の記事で引用した、官公庁発表の公式データについては以下のページをご参照ください。上が、厚生労働省による「医師国家試験 大学別合格者状況」です。下が、文科省による「令和4年度 入学者選抜確定志願状況」です。

山梨県は、フルーツなどの美味しい名産品が多く、自然も豊かで温泉も多く、「癒される桃源郷」というイメージがあります。でも、そんな環境の中で、国立大学の山梨大学の医学部医学科は、後期日程入試しか行わないことで、屹立した聳(そび)え立つ壁として、皆さんの行く手を阻みます。上述の情報が、皆さんにとって良い刺激となり、明るい将来につながればと期待します。

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