医学部編入試験の難易度は高い?それでも受かると言い切れる理由

医学部入試情報

「医学部学士編入試験を受けようと思っているが、人気があり受かるのか不安」という方は、結構いらっしゃるのではないでしょうか。確かに、医学部学士編入については、いろいろな噂を聞きますね。本日は、そんな方々のために、医学部編入試験の難易度や、合格するための方法について分かりやすく解説します。

医学部学士編入のメリットが大きい理由

すでに4年制大学を卒業していて「学士」の学位を持っている人が医師を志す場合、医学部学士編入には、大きなメリットがあります。その大きなメリットを、3つに分けてご紹介します。

(1)2年次、もしくは2年次後期、もしくは3年次から編入できる

「学士」の学位を既に持っている人は、4年制大学で教養課程を修了し、かつ専門課程も修めた人ですよね。「医学部」といっても大学の「学士課程」には変わりないため、どの大学医学部でも最初の2年間は一般教養的な内容を学びます。たとえば、偏差値も高く最近は研究・教育の面でも高く評価されている東京医科歯科大学でも、「教養の期間(最初の2年間)は遊べる」と昔から言われているくらいです。そのため、「学士」の学位を既に持っている人は、教養課程を飛ばして入学できるというわけです。4年制大学を卒業した経歴や、社会人経験などをフルに生かすことができると言えるでしょう。

(2)受験科目が少ない

よく言われることですが、国立大学医学部に一般入試で入ろうとすると、共通テストで多くの科目を受験して通過し、かつ2次試験でも専門的な問題を解かなくてはなりません。また、共通テストでは、どんなに低くても8割5分の得点が求めらると言われており、受験生は社会科目や古文・漢文などの勉強にも四苦八苦しています。

それに対し、医学部学士編入試験では、国立大学であっても、科目数が「英語と生命科学」など少ないため(数学や物理などが追加される場合あり)、コツさえつかめば極めて要領よく有利に受験勉強を進めることができるのです。これも、すでに学士の学位を持っている社会人や再受験生に与えられたメリットです。ただし、分子生物学などを中心とする生命科学については、深く掘り下げて勉強しておかないと入学してから医学部の勉強についていけないと言われていますので、ご注意ください。

(3)スケジュールさえ合えば、複数の国立大学を受験することができる

一般入試であれば、国立大学は前期1校、後期1校しか受験できません。そのため、国公立大学の医学部の前期試験(一般試験)の倍率は平均5倍程度に抑えられているのですが、学士編入試験の倍率は複雑ですので後程詳しく説明します。

それに対し、医学部学士編入の試験は、スケジュールがバラバラに実施されますので、国公立大学医学部を5校~10校も併願することができるのです。これは、学士の学位を持っている人で、医学部・医師を志望する社会人や再受験生にとっては、最大のチャンスです。医学部学士編入が最大の狙い目である理由の一つです。なんといっても、国公立大学医学部は6年間の学費・入学金が400万円程度、私立大学医学部は6年間の学費・入学金が約2000万円~4000万円程度ですから、国公立大学医学部のほうが圧倒的にコスパがよくリーズナブルなのです。社会人で医学部に再入学したい人は、働きながらでも勉強して国公立大学医学部を目指す価値があると言えるゆえんです。

医学部学士編入の倍率は高くても、実質倍率は低い

さて、学士の学位を持っている社会人や再受験生に多くのメリットがある「医学部学士編入」の試験ですが、それでは肝心の難易度や倍率はどうなっているのでしょうか。とても気になるところだと思います。募集人員については、各大学5名~15名程度で変わりないようです。

医学部学士編入の倍率については、平均10倍程度とも、20倍~40倍とも言われており、詳しいことは謎に包まれていると言って良いと思います。各大学によって試験の実施時期が異なるほか、「試験科目数」の差が一般入試と比べて非常に大きいので、大学によって倍率が大きく異なると考えるのが妥当でしょう。「表面的な倍率」については、およそ10倍~40倍と考えておけば間違いなさそうです。

国公立大医学部の後期試験や私大医学部の一般入試と変わらないほどの倍率の高さで、ひるんでしまって学士編入試験の受験を諦めようかと思った人もいるかもしれません。でも、この「表面的な倍率」をそのまま数字通り受け取る必要はありません。それには、いくつかの理由があります。

まず、医学部学士編入は、すでにある程度年齢が上の人が受験するため、合格圏内の実力の人と、実力が合格に全然届かないのに取りあえず受験する言わば「泡沫候補」の人とに大別されるからです。そのため、あなたが受験科目に絞って効率よい勉強を続け合格圏内に入れば、実質的な倍率は、もっと下がることになります。

さらに、先ほど申し上げた事実から実質倍率はもっと下がります。学士編入試験は試験の実施時期がバラバラであるため、国公立大学医学部を複数併願することができると申し上げました。そのため、優秀な受験生は5つ以上の大学に平気で合格するため、最終的には多くの大学を辞退し、補欠合格や繰り上がり合格が多数発生します。以上の理由により、医学部学士編入の「実質的な倍率」は3倍~4倍くらいであると、学士編入した人が感覚的に語っているのは大いに参考になります。そのため、学士編入試験は「受かることができる」試験と言い切ることができるのです。

具体的に、医学部学士編入試験の入試科目は?

医学部の学士編入を実施している大学は、国公立大学で約31校、私立大学で約3校です。

医学部学士編入制度を実施している大学は、毎年それほど変化はありませんが、募集人員や入試科目などわずかな変化が生じることがあるため、定期的に各大学のホームページなどでチェックしましょう。

入試科目についても、医学部学士編入の入試については、各大学がイレギュラーに設定していますので、各大学のホームページや募集要項でチェックしてほしいのですが、分かりやすく大別すると、以下の3つのパターンに分けられると言えそうです。また、小論文と面接も2次試験や3次試験で課され、大学によっては小論文や面接を重視するとも言われています。

(1)英語、生命科学、物理+化学

(2)英語、生命科学

(3)英語、生命科学、物理+化学、数学

以上の入試科目のうち、英語、生命科学、数学に関しては、高校レベルに加えて大学教養課程レベル(大学1~2年生レベル)の内容も出題されます。大学で学ぶ専門的な内容まで突っ込んで対策する必要はありませんが、大学教養レベルの知識や思考力まで問われるので、高校レベル(通常の大学受験レベル)で済むと思っていると悪い結果となるでしょう。入試科目数が少ない分、深く掘り下げて勉強することが求められています。それに対して、物理と化学に関しては、高校レベルの出題である傾向がみられます。

また、以上の入試科目は、いずれも思考力や判断力が問われますが、分子生物学を主とする生命科学は、学士編入試験と入学後の両方で重要な科目であるうえ、他の理系科目より暗記量が圧倒的に多いので注意してください。さらに、英語に関しては、長文問題と英作文に太刀打ちできる大学教養レベルの「単語力」が必要です。生命科学と英語に関しては、十分な暗記量も問われることになります。

社会人の医学部学士編入については、以下の記事も参考にしてください。

また、一般的に働きながら医学部再受験を成功させるための方法については、以下の記事も参考にしてください。

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