堅実でありながら国際社会にも羽ばたく改革!奈良県立医科大学
奈良県といえば、大阪や京都に近い位置にあり、高校で習う日本史や古文で度々出てくるくらい歴史の表舞台に立ってきた土地です。
日本史で習う「飛鳥宮」「高松塚古墳」など数多くの史跡がある明日香村(あすかむら)とも地域医療連携しているのが「奈良県立医科大学」です。
この奈良県立医科大学は、公立大学で、奈良県で唯一の医学部です。附属病院ともに奈良県民にとってなくてはならない存在であり、多くの奈良県民に親しまれてきました。
医学部には医学科と看護学科。
医学研究科には4つの専攻がありますが、そのうち1つは「地域医療・健康医学専攻」で、県民にとって必須の「地域医療」がマストの研究分野として大学院に組み込まれています。
高齢化が進む地方においては、医師や医療を提供することのできる医学部がいかに重要か察せられますね。誰でも年を取ったら病院の世話になりますから、地方の公立医科大のありがたみも分かってくるでしょう。
また付属施設の1つに「女性研究者・女性医師支援センター」があり、超高齢社会の地域医療を支える一方で、最先端の日本の未来を切り開いてもいます。
2023年の医師国家試験の合格率は新卒者が99%、全体で91.8%となっており、現役生(新卒生)がずば抜けて優秀です。それだけに各授業は引き締まったものですが、堅実に学びたい人、熱心に教えてもらいたい人に最適です。
Contents
切磋琢磨し今日的なニーズに応える医学部
オープンで開かれた奈良県立医科大学は、「地域社会(の安心と発展)」や「人類の福祉」の双方を見据えて運営・発展しています。
その一方で、医学科は70年近い伝統を誇りながらも、数々の試練や積年の課題とたえず立ち向かっている医科大学でもあります。試練や課題が山積みである原因として、ただでさえ医学部は統廃合の激しいことに加え、財源等の理由からも公立大学が選別され姿を消していっていることや、少子化と大学進学率減少により多くの私立・公立大学が存続の危機に瀕していることがあります。
しかし、奈良県下への地域医療や健康増進の提供という「ニーズ」や「果たしている役割」は大きく、教職員や医大生もやり甲斐をもってイキイキと活躍しています。
奈良県民と高齢者のベネフィットを大切にする将来像
奈良県立医科大学は、「ユニヴァーシティ・アイデンティティ」(大学としてのアイデンティティ)の確立に向けた取り組みとして、将来像を策定しています。
医学部ないし医師を志す皆さんに深く関係することとしては、「臨床教育の充実」「卒後教育の強化」「キャリアパス構築」などがあります。
卒業後のサポートを強化してくれるというのは、昨今の時代にあってはありがたいことであり、医学部以外の文系・理系の大学も「生き残り国や市民から高く評価されるために」卒業後のキャリアサポートを充実させようとしています。
とりわけ医学科生にとっては、医師免許取得後に医師として輝き続けるために大学病院や医局は初めのうちは欠かせないものであり、その構築を支援してもらえるのは将来のために非常に有益です。
また、これらの取り組みの結果・結実として利益を受ける対象として、「患者」「県民」「高齢者」「県内医療人・医療機関」が冒頭に挙げられています。病院に通う患者は医療の対象ですし当然として、奈良県民と高齢者の健康福祉に貢献するというパースペクティヴが強調されています。
県内医療機関とガッツリ連携して地域社会や高齢者社会を支えていく医療人になりたいという人が、奈良県立医科大にとって最も適しています。これからますます需要が増していく領域において、専門的なプロフェッショナルとして医学的に携わっていくことは確実に生きがいにつながっていきます。
逆に、帰属意識、愛学精神(母校への愛)、県民性、地域貢献といったものに縛られたくないならば、受験はよくよく考えたほうがいいでしょう。
国際性、英語教育、海外研修といったものも大事にされていますが、やはり今後の存続と発展のことを考えると、「地域貢献の気概を持った国際水準の医療人」といったように地域貢献の気概を求めざるを得ないといった様子です。
ただ奈良県立大学はオープンな精神の医学部であるため、文化的・地理的・歴史的に奈良地域が好きだという人であれば、たとえ奈良から離れた地方にお住まいでも入学後は環境になじめる可能性は大いにあります。
将来像などの公式情報は以下のページよりご覧ください。
努力の結晶!医療人育成に適した新カリキュラム
2016年度の入学生より、医学科も看護学科も新カリキュラムが全面実施されました。それについて解説します。
完全に1年間になった医学科の教養教育
大学における「教養部」や「教養教育」の改革は今に始まったことではありませんが、奈良教育大学では、医学科の教養養育について、「完全1年化」「単位制化」「授業期間を確保するための入学式早期挙行」などが実施されました。
これらは医学専門教育ではないため受験生には小さなことに見えるかもしれませんが、医学部入学後に最初に受ける教育であり、かつ大人になって医師になってからも重要な「教養=人格」を支えるものです。とりわけ医師とは、弱い立場にある人や、体が弱った高齢者とじかに接する職であるため、合格した後は大学教養を軽視しないことをおススメします。
奈良教育大学では医学科と看護学科の合同授業化が進められ、共通授業科目が確定されました。これは、他業種連携という、これからの社会で必要な素養を若いうちに自然に身につけられるものでもあります。
具体的には、以下の科目が新設されたり必修化されたりしました。
これらの教育を受けるのは医学部に受かった後のことになりますが、ぜひイメージを膨らませるために、医大生として「奈良学」などのクラスの教室に座っている自分を想像してみて下さい。全般的には医療と社会の関連について考察を深められる科目が多いです。
奈良学(万葉の文学と奈良文化など)
教育実践論
医療に関わる倫理学
臨床心理学
医療関係法規と社会福祉学
アジア文化論
西洋文化論
次世代医療人育成論
英語教育と海外実習を独自に展開
その一方で、「研究」や「国際化」も進められました。実習の海外化は、以下のような流れでした。
かつては、医学科4年生の秋に、1か月間の学内研究室配属
↓平成28年度から、2年生の冬の3か月間とし、海外実習も可能とした。
・その結果、海外実習には25名の希望、13名の派遣先を決定
・旅費は全額支援(滞在費は本人負担、基金から一部補助)
↓今後は、海外臨床実習(5年生)の拡大
・ 夏休み等の休暇中の医学・医療研修に拡大
・ 看護学科も海外実習を目指す
なお医学科は、1年次は教養教科、2年次以降は医学を学び、2~3年次は基礎医学、4年次は臨床医学(講義)、5~6年次は病院実習を行います。
海外実習や海外研究は大学独自で発展させるものであるがゆえに、大学独自の特色を打ち出すものであり、それぞれの大学ごとに教職員が奮起している分野でもあります。
英語は単位を取るために相当の勉強をすることが必要なため自然に力がつき、「国際化」と「英語教科」にも力が注がれています。
学生との対話を重視し必要があれば面談も
もう1つの特色ある改革として、「学生と教員の間の対話や交流を増やした」ことが挙げられます。
対話を通して文化を変えるため、
・教育システム構築への学生参加
・教員と学生の対話促進
・保護者への情報提供の強化
学生との個別対話としては「新入生担任制」「留年生に対する個別面談」「卒業前キャリアパスメンター」「カウンセリング」などがあるほか、キャンパスミーティングとして学長や病院長などと対話する機会も設けられています。
これらの改革は、教育・研究・臨床の質を担保するためのものであると同時に、快適な学習環境を作り出して医大生に有意義かつ充実した日々を送ってもらうためという性質も強いです。
軽く触れただけのように思われるかもしれませんが、これらの大学改革のために厖大なヒューマンパワーと時間が割かれています。総合大学のような「楽しいキャンパスライフ」ではないけれど「充実した勉強の日々」を送りたい人にピッタリです。
奈良県立医科大学は「教授や、講師、スタッフが親切で、恵まれた学生生活」と評判ですが、単科大学で学生数が少ないため公式サークルはありません。
着実に落ち着いて医師や看護師になりたい人に最適の環境です。また、どちらかと言うと、「自分のエンジンで自学自習するのが苦手で、先生や〈場の熱気〉に引っ張っていってもらいたい人」に向いているかもしれません。
ぜひ充実した勉強環境を目指して頑張って下さい。
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