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医学部定員の推移はどうなっている?受験は有利?不利?

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医学部の定員推移からみる受験の状況

医学部受験を少しでも考えている人ならば、「医学部の定員状況の推移を知り、受験にどう影響しているか知りたい」という人は少なくないと思います。本日は、「医学部の定員の推移から、今後の受験状況がわかる」ことを目指して、分かりやすく説明したいと思います。

かつて、こちらのサイトで「医学部の定員」についての情報を整理しました。

コチラです↓↓↓

医学部定員の歴史的な推移の概説と、志願者数

では、「医学部の定員の推移」というテーマで、歴史的な背景も含めて、医学部の定員が過去からどう移り変わってきたかを解説したいと思います。

医学部の入学定員は、かつてよりも大きく増加しています。1955~1965年頃は約2800人だったのですが、2017年度~2019年度は9420人でした。2020年度の医学部の入学定員は9330人で、2021年度の医学部の入学定員は9357人でした。

でも、入学定員が増加した分だけ、志願者数も増加してきました。

2000年と2015年を比較すると、私立医学部の志願者数は2倍に増加しており、女子に絞ってみると3倍に増加しています。(しかし、それ以降、微減という程度ではありますが、医学部の志願者数は減少に傾いています。)

私立大学は、複数校の併願がしやすく、何校でも受験可能であることが、私立医学部の志願者数が増えた背景にあります。私大専願の場合には、一人で10校以上も受験する生徒がいます。

でも、少子化に伴い、実は医学部の志願者総数は、国公立大学も私立大学もここ数年、微減に転じています。これは、このところの大卒者の就職内定率が高いことも影響をしているかと思います。

では、受け入れる側の医学部の定員の推移については、どのような状況なのでしょうか。

これまでの医学部の定員の推移については、だいたい以下のようになっています。

医学部定員の具体的な推移(第1ピークと第2ピーク)

医学部の定員の歴史的推移を分かりやすく表にして可視化すると、以下のようになります。

時代 国立(42校) 公立(8校) 私立(29校) 合計(79校)
昭和56年4月 ピーク時 4,580 660 3,040 8,280
平成19年4月 削減後 4,090 655 2,880 7,625
平成20年4月 4,165 728 2,900 7,793
平成21年4月 4,528 787 3,171 8,486
平成22年4月 4,793 812 3,241 8,846
平成23年4月 4,843 817 3,263 8,923

(文科省の資料を基に、筆者作成)

上記の表の背景にある国の政策としては、以下のようなものがあります。

1973(昭和48)年に医学部定員について閣議決定があり、「無医大県解消構想」が唱えられました(この時点で、医学部定員は6200人であり、増加の一途をたどっていました)。これは、医大の無い県を解消しようとする構想で、いわゆる「無医村」や「医者のいない離島」など地方に医者がいない状態を解決することを目指していたと思われます。結果として、医学部が新設されてゆき、1960年頃から増加していた医学部定員に拍車をかけたと言えます。

そして、1981(昭和56)年、歴史的に見て最後の医学部新設である琉球大学医学部が開設されたとき、医学部の定員は歴史的なピークを迎え、8280人となりました。この、医学部定員が8280人という状況は、1981年から1984年まで続き、大量の医師が輩出されました。医学部の定員が約2800人だった1960年頃と比べて、約20年間で約3倍に増加したということになります。この時点で、医学部定員は「第1のピーク」を迎えました。

その翌年、1982(昭和57)年、「医師については全体的に過剰を招かないよう配慮」することという閣議決定がなされました。今度は逆に、医師を増やしすぎて余ってしまったという状況が到来したのです。さらにその状況を改善すべく、拍車をかけるように、1997年(平成9)年の閣議決定で、「大学医学部の整理・合理化も視野に入れつつ、引き続き医学部定員の削減に取り組む」という方針が決定されました。今度は、医学部定員を削減していくだけでなく、増やしてきた医学部を整理していくことまで決まったのですね。

このような政府の方針の下、1981年から1984年まで8280人と歴史的ピークを迎えていた医学部定員は、その後徐々に減り続け、2003年から2007年にかけては7625人まで減少しました。歴史的な医学部定員の増員以来、最も医学部定員が減少したのが、この7625人の時期です。

このように、歴史的に見て、医学部定員は増えたり減ったりが続いてきたのですが、皆さんは、この後、医学部定員の推移や、政府の政策は、どうなったと思いますか。少し想像すればわかるように、日本の高齢化率は進んでいく一方ですから、存命の高齢者が増えていく一方で、今度はまた医師の数が足りなくなってきたのですね。

2008(平成20)年に医学部定員は168人増えて7793人となりましたが、2008(平成20)年に医師が足りなくなってきた状況に対処するため、「(医師を)早急に過去最大程度まで増員する」という閣議決定がなされました。そののち、医学部定員は急速に増加され、2009(平成21)年には8,486人(693人増)、2010(平成22)年には8,846人(360人増)、 2011(平成23)年には8,923人(77人増)と順調に増加していきました。1981年から1984年にかけての「医学部定員8280人という歴史的ピーク」を越えて、医学部定員は増員されていったわけです。

以上が、上記に掲げた表の解説です。ここまで読んでくだされば、上記の医学部定員の推移の表の意味がお分かりいただけたかと思います。

その後も、医学部定員は増加されていき、2017年度~2019年度の9420人で「第2のピーク」を迎えたわけです。そして、2020年度の医学部の入学定員は9330人で、2021年度は9357人ですから、医学部定員は、「歴史的かつ俯瞰的に見れば」高止まりの状況にあり、もっと細かく見れば「微減したのち微増している」傾向と言えます。さらに、地域間、診療科間、病院・診療所間の医師の偏在を是正するため、出身地域や卒業後の勤務地・診療科を限定した「地域枠」での入学者数がどんどん増えてきている傾向にも目が離せません。

医学部定員の推移に関する国の歴史的政策

また、医学部の定員の増員について国が採ってきた主な政策としては、おおむね以下のようなことが言えます。

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①地域の医師確保の観点からの定員増
都道府県が地域医療再生計画に基づき奨学金を設け、大学が地域医療を担う意思を持つ者を選抜し地域医療等の教育を実施。

②研究医養成のための定員増
複数の大学と連携し、研究医養成の拠点を形成しようとする大学で、研究医の養成・確保に学部・大学院教育を一貫して取り組む各大学3人以内の定員増。

③歯学部入学定員の削減を行う大学の特例による定員増
歯学部を併せて有する大学が当該歯学部の入学定員を減員する場合の定員増。

そして、昭和時代以来の医学部定員に関する国の歴史的政策をまとめると、以下のようになります。多少、堅苦しい内容になりますが、ご興味をお持ちの方は、参考までに、ご覧ください。

○昭和57年9月 「今後における行政改革の具体化方策について」閣議決定
医師については、全体として過剰を招かないように配意し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内において検討を進める。

○昭和61年6月 厚生省「将来の医師需給に関する検討委員会」最終意見
「平成7年を目途として医師の新規参入を最小限10%削減すべき」と定められる。

○平成9年6月 閣議決定「財政構造改革の推進について」
大学医学部の整理・合理化も視野に入れつつ引き続き医学部定員の削減に取り組む。

○平成10年5月 厚生省「医師の需給に関する検討会」報告書公表
当面、昭和62年に立てた削減目標の未達成部分の達成を目指す

○平成18年8月 「新医師確保総合対策」
医師不足県において、10名を限度として、暫定的な定員増を容認

○平成19年8月 「緊急医師確保対策」
全都道府県において、5名(北海道は15名)を限度として、暫定的な定員増を容認

○平成18年の「新医師確保総合対策」により医師不足が深刻な都道府県(青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重)について各10人、平成19年の「緊急医師確保対策」により全都道府県について各5人などの入学定員の増員を実施。

○平成20年6月 閣議決定 「経済財政改革の基本方針2008」
「早急に過去最大程度まで増員するとともに、さらに今後の必要な医師養成について検討する」という閣議決定に代わる新しい医師養成の在り方を確立する。

○「経済財政改革の基本方針2008」 を踏まえ、平成21年度の入学定員を8,486人に増員。

○平成21年6月 閣議決定 「経済財政改革の基本方針2009」
地域間、診療科間、病院・診療所間の医師の偏在を是正するための効果的な方策及び医師等人材確保対策を講ずる。
①地域の医師確保のための定員増:313人(国227、公25、私61)
②研究医養成のための定員増:17人(国13、私4)
③歯学部入学定員削減を行う大学の特例:30人(国25、私5)

○平成22年6月 閣議決定 「新成長戦略」
ライフ・イノベーションによる健康大国戦略「医師養成数の増加」
①地域の医師確保のための定員増:59人(国33、公5、私21)
②研究医養成のための定員増:6人(国5、私1)
③歯学部入学定員削減を行う大学の特例:12人(国12)

○平成22年度は、3つの枠組みで前年比360人増の8,846人まで増員。
平成23年度についても、「新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)」や、厚生労働省の「病院等における必要医師数実態調査」の結果等を踏まえ、同様の枠組みで、前年比77人増の8,923人まで増員。

(文科省の資料より)

医学部の定員の推移から見える、今後の受験状況

医学部の定員は、上記のように、俯瞰的に見れば、ここ数年、9400人前後で高止まりが続いています。理工系や情報系の人気などもあって医学部受験生・志願者が微減の傾向にあり、かつ新型コロナへの対応が迫られざるを得ないなど、医師の過酷な労働条件が明るみに出た現在、体面やメンツではなく、心から医師を目指したい人にとっては、ある意味、少しチャンスと言えます。

地域間、診療科間、病院・診療所間の医師の偏在を是正するため、医学部の定員は増えてきて、その状態で高止まりが続いていますね。今後も、医師偏在や地方の医師不足を解消するため、出身地域や卒業後の勤務地を限定した「地域枠」の定員は増えるのではないかと予想されます。

でも、医学部の定員は、劇的に増えることはないと思います。そのため、引き続き競争率は高いままであると考えらるので、安易に医学部に入れると考えずに、これまで通りの競争率であると覚悟しておくとよいでしょう。

また、国公立大学の医学部が、学校推薦型選抜(推薦入試)の枠を増やす傾向にも、目が離せません。

そして、2022年度に関しては、「地域枠を要件とした臨時定員の必要性を慎重に精査し設定」すると、厚生労働省が発表しています。ご参照ください。やはり、地域枠が増えていく傾向には変わりがないと思われるので、志望する大学のホームページや募集要項でご確認ください。

出典:厚生労働省〈令和4年度以降の医学部定員と地域枠について〉
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000683719.pdf

 

 

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Dietrich

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東京大学大学院修了。東京都出身。三多摩地域の自然をこよなく愛し、よくサイクリングを楽しむ。また大のドイツ通で、クラシック音楽鑑賞が趣味。英語とドイツ語とフラ...

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