共通テストに記述式が導入?いつからなのか?

医学部入試情報

共通テストに、いつ記述式が導入されるのか。

みなさん気になっていると思います。

しかし、文部科学省は共通テストの導入を断念しました。

今回の記事では共通テストと記述式の導入について解説します。

1. 記述式の導入が見送り

本に書きながら赤ペンを持つ人

共通テストに記述式が導入される言われていました。しかし、記述式の導入は見送りが続き、文部科学省は大学入学共通テストで記述式問題の導入を正式に断念しました。ここから、導入の断念までの経緯をまとめたいと思います。

①2020年度以降に導入と言われていた

センター試験が廃止され、2021年1月から新テスト「大学入学共通テスト」が始まりました。

共通テストは、暗記一辺倒ではない、思考力や判断力、表現力を重視したテストになるといわれていました。その一環として、文部科学省は、共通テストに記述式を導入し、英語民間試験(英検、TOEICなど)の成績を入試に利用する新たな仕組みを設ける予定でした。

しかし、採点制度の不備や不安が多く指摘され、2019年度に文部科学省は実施見送りを決めました。

②文部科学省の有識者会議で発表

文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は2021年6月30日、2025年度以降の大学入学共通テストにおける英語民間検定試験と記述式問題の導入は困難だとする提言案を大筋で了承しました。また、受験生に多大な影響を与えたとして、文部科学省にその影響を真摯に受け止めるよう求めた文言も盛り込まれました。

『【大学入学共通テスト】記述式と英語検定の導入見送り…提言案を了承』について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。

2. 見送りの理由

白い罫線入りの紙にペン セレクティブ フォーカス写真

ここからは、記述式導入が見送りされた理由について紹介していきます。大きくわけて3つ理由を紹介します。

①採点の精度の問題

・正確な採点が保証されないなど採点精度の問題
・採点結果と自己採点が一致しない

平成30年度にプレテストを行っているのですが、「国語」において約0.3%の採点結果を補正する必要がありました。0.3%というと、たいした数字には見えません。しかし、共通テストの2021年の志願者数は約53.5万人。実際に運用すると、全国に約1600人ほどの受験生が、この補正の影響を受ける可能性があります。

また、正確な採点が難しいことは、自己採点にも影響を与えます。受験生の多くは、共通テストを自己採点し、その結果で志望校を決定しています。プレテストの結果、「国語」の約3割の採点結果が、自己採点と一致しませんでした。

このように採点の精度の問題が、見送りの原因となったようです。

②採点体制の問題

・質の高い採点者が確保できない
・大学への成績提供時期の遅れてしまう
・民間事業者の活用に伴う、情報漏洩・利益相反が起きる危険性

採点体制にも問題があります。共通テストは、2021年の志願者数が約53.5万人という非常に大規模なテストです。また、約2週間という短い間で、採点を行わないといけません。そのため、民間事業者の助けが必要ですが、共通テストの採点を行える大規模な事業者は、利益相反の関係になる危険があります。

実際に、採点業務を委託した事業者は、参考書も販売しており、採点で得た知識や経験を参考書作りに用いる危険性がありました。このような採点体制では、共通テストの問題が漏洩する可能性もあります。

また、受験生の人生を左右する重要なテストであることから、正確性を求める必要もあります。正確な採点をしようとすると、大学への成績提供が例年より1週間遅れてしまうことがわかりました。

③思考力を測れない?

・評価できる力に限界がある

このような制約のなか、共通テストで記述式を導入しようとすると、思考力を測れないのではという懸念もありました。約55万人の答案を約2週間で採点するという制約がある以上、回答の自由度が低い問題を作らざるをえません。その結果、図れる能力に限界が生じます。

これでは、思考力を測れるテストを作れず、コストに見合わないという意見がでました。

従来通りの出題形式が続くのでは?

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共通テストの記述式の導入については、受験機会や選抜方法における公平性・公正性が確保できないとされ、見送りとなりました。今後の共通テストはどうなるのでしょうか。発表された提言では、共通テストと一般選抜との役割分担が求められていました。

横浜国立大学はコロナの影響により、2021年入試で二次試験を実施せず、共通テストのみで試験を行いました。このように、感染症や大規模自然災害発生した際、共通テストが大学入学者選抜におけるセーフティネットとして機能しました。

共通テストは安定的で確実な実施を目指し、個別試験で外部試験を取り入れていくという方向性が固まっています。

 

参考情報:

高知新聞社「【共通テスト改革】混乱招いた責任は重い

文部科学省 「大学入試のあり方に関する検討会議 提言

旺文社 教育情報センター 『どうなる、新テスト「記述式問題」の行方 !?「国語」 は記述量の多い“大学採点”と、少ない“入試センター段階別表示”の 「2パターン」 (案)。

高校生新聞「【早わかりQ&A】大学入学共通テストはセンター試験から何が変わる?

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