【速報2022】バランスの良い人材を求める愛媛大学医学部
愛媛大学は、1949年に「戦後の新制大学」として開学しました。現在は、学部学生と大学院生を合わせて、だいたい9000人~10000人の規模です。
1949年の発足当時は、母体となった複数の「旧制高等学校」を反映し、文理学部、教育学部、工学部の3学部のみでした。1968年には文理学部が「法文学部」と「理学部」に分離し、文系と理系に分かれました。そしていよいよ、1973年には、いわゆる「新設医学部の第一号」として医学部が設置されたのです。
風光明媚で果物が美味しい愛媛県にある国立大学の医学部について、興味はあるけれど全く知らないという人も多いと思います。本日は、愛媛大学医学部について、確実な最新情報をもとに、皆さんにとって刺激になる、お役立ちの情報をお伝えします。
Contents
愛媛大学医学部の最新プロフィール
患者と触れ合って豊かな人間性を涵養する
「医学部受験を志している」「どうしても医学部に入りたい」「国立大学医学部を考えているが、情報が欲しい」という方を対象に、まずは基礎的な情報からお伝えします。
愛媛大学医学部は、最も大きなスローガンとして、「患者から学び、患者に還元する教育・研究・医療」をモットーにしています。そのうえで、「医学・看護学における専門的知識や優れた技術を授け、深く医学・看護学分野の学芸を教授研究するとともに、豊かな人間性、幅広い教養、高い倫理観を備えた医療人を育成する」ことを前提的な大目標として掲げています。
このことから判明するのは次の2点です。つまり、医学専攻・医学科と、看護学専攻・看護学科の2コースがあり、「健康科学科」などと看板名を変えるのではなくて、伝統的に「看護学科」を堂々と名乗っていること。
また、教授・教育する内容が「専門的知識、優れた技術、深い学芸」と銘打たれており、「学芸」という言葉から分かるように、学問、芸術、学識、技芸など伝統的な学問・教養やリベラルアーツも、国立大学として重視していること。そして、それらの教養をもとにして、人間性と倫理観を涵養し、医療人としての職責履行につなげるという大学機能です。
さらに、医学部長のメッセージから読み取れる特徴としては、「地域医療・地域貢献」と「国際化、海外研修」の他に、「患者から学び、患者に還元する」姿勢が医学部開設当初から貫かれている事と、ガンなどの先端的研究が行われていることです。少し長くなりますが、以下にメッセージ当該部分を抜粋します。
研究面では、本研究科と愛媛大学プロテオサイエンスセンター及び学術支援センターが連携し、「がん」、「免疫・アレルギー疾患」、「感染症」、「運動器疾患」や「老化」などの分野において、先端的で特徴ある研究を行なっています。そこで得られた最先端の研究成果を新しい治療法の開発へと繋げるため、医学部附属病院内に先端医療創生センターを設置して、「基礎と臨床の融合型研究」や「橋渡し研究」を推進しています。それに加え、(・・・)特定の要因と疾病発生の関係を調べる観察的研究の「コーホート研究」にも力を入れています。
人間的側面を重視するための教養
愛媛大学の医学部、ならびに医学科の公式ホームページには、膨大な情報が掲載されており、必要なことは網羅されています。ですが、読むのに時間が掛かり、どの情報が重要なのか戸惑う高校生も多いと思います。そこで、愛媛大学医学部の受験を考えているなら、ぜひ心にとめておきたいことを、ピックアップしました。
それは、アドミッションポリシーの1つとして「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」に重点が置かれている事実に他なりません。具体的には、以下の通りです。
・人が好きで、生命に対する倫理観がしっかりしている。
・医学・医療に対する目的意識と関心が高く、この分野に貢献したいという意欲と情熱を持っている。
・入学後も、生涯にわたって自己啓発・自己学習・自己の健康増進を継続する意欲がある。
・幅広い人間性、柔軟性と協調性を有し、様々な人と協働して良好な関係を保つことができる。
まず最初に「人が好きで」とあるように、社会的・肉体的・精神的に弱い立場に置かれている患者と直接接して救う使命にある医療職に就く前提として、人間的に問題のない、感性の豊かな好人物であることが求められています。とりわけ愛媛大学医学部は、「地域医療貢献」や「国際的視野」よりも、この人間的側面を重視していることが察せられ、人間的に豊かな人材は入学後に重宝されるでしょう。
医学・医療への関心や情熱、自己啓発や自己研鑽を怠らない姿勢については、他の国立大学も同様です。
愛媛大学医学部の最新入試情報
では、最新入試情報をお伝えします。
最新の一般前期入試の志願倍率は7.1倍
まず気になる倍率ですが、かなり高めです。2022年に実施された令和4年度入試において、一般入試前期日程で、医学部医学科は55名の募集を行いました。なお、看護学科は33名です。55名に対し389名が志願して、志願倍率は7.1倍となり、相当に膨れ上がっています。なお、書籍などに「確定志願倍率」として掲載されている公式数字は、これになります。ちなみに、看護学科の確定志願倍率は1.9倍で、大きな差があります。
そして、「受験者数」は「志願者数」と大きく異なる場合もあるのですが、「受験者数」は324名と大して変わらず、受験者数をもとにした倍率も5.9倍と非常に高いです。医学科の最終合格者数は58名であり、2次試験受験者数と最終合格者数をもとにした「最終的倍率」も5.6倍と、他の国立大学医学部と比較しても非常に高いです。
「パスナビ」によると、愛媛大学医学部医学科の前期日程の偏差値は65.0(別ソースを比較対照しても65~70に収まっています)、「共通テスト得点率」は77パーセントです。看護学科の共通テスト得点率が58パーセントですから、色々な要素と側面により、医学科と看護学科の難易度差が大きいと言えます。また、これらの要素を総合的に判断して、愛媛大学医学部医学科は「競争率の高い学科」と判断できます。
愛媛大学医学部医学科は、国立大学医学部としては「中くらいの偏差値・難易度」になりますが、私立大学医学部や他学部を含めると、相当のハイレベル入試になります。愛媛大学の中でも「医学科」が突出して難関であるほか、愛媛県内でも「愛媛大学医学科」がずば抜けて難関です。
というのも、愛媛県内には、私立大学であっても医学部を擁する大学が他になく、愛媛大学医学部が唯一の医学部だからです。そういった事情に関連して、愛媛県内の医学科受験生が殺到し、四国全域からも医師志望者が殺到し、かつ全国から国立大医学部医学科に入りたい受験生が押しかけており、偏差値とは異なった位相において競争率を高めています。
「総合型選抜Ⅱ」と「学校推薦型Ⅱ」でも医学科の入試を実施
先に述べた「一般前期日程の医学科入試」の倍率が高くなる要因の1つとして、一般前期とほぼ同じ人数を、医学科が「総合型」+「学校推薦型」で募集していることが挙げられます。
医学科は、令和4年度入試において、一般入試後期日程で試験を実施しない代わりに、「総合型選抜Ⅱ」と「学校推薦型選抜Ⅱ」の両方で入試を実施しています。とてもユニークであり、地域の国立大医学科としての特徴を強く打ち出すものになっています。
2022年に実施された入試では、「総合型選抜Ⅱ」において10名の募集を行い、「学校推薦型選抜Ⅱ」の「推薦A」では25名、「推薦B」では20名の募集を行いました。倍率は、いずれもちょうど3倍前後になりました。
愛媛大学によるオフィシャルの受験情報は以下のサイトよりご覧ください。
医学部の一般入試は県外からの受験生が多い
また、地域別の割合という点では、愛媛大学医学部は、一般入試前期日程に関しては、「志願者は、県内が24.3パーセント、県外が75.7パーセント」となっており、「合格者は、県内が37パーセント、県外が63パーセント」となっています。いずれにしても県外から多くの受験生が押し寄せていることに相違ありません。
県内の受験生が奮闘して合格を勝ち取っている様子をうかがうことができますが、医学科と看護学科を合わせた数字しかデータがありません。全体的なイメージを膨らませるなど、あくまで参考程度にご活用ください。
また、医学部において、総合型選抜は、志願者・合格者ともに愛媛県内ですが、学校推薦型はそうではありません。
医学部の学校推薦型選抜Ⅱは、志願者・合格者ともに、おおむね「県内:県外=78パーセント:22パーセント」となっています。
医学科の最高点961点で最低点889点
2022年に実施された令和4年度入試の一般前期日程の合格者の点数も判明しています。
医学科は、共通テスト450点、個別検査等700点なのですが、医学科合格者の共通テスト最高点は377点、最低点は337点です。また、個別検査等については、合格者の最高点は608点、最低点は552点です。
総合点1150点に関しては、合格者の最高点は961点、最低点は889点です。総合得点の最高と最低の差が小さいほうなので、やはり偏差値とは別の「倍率」と言う競争率の高さを察することができます。その一方で、個別検査等は配点が大きいにもかかわらず、最低点と最高点の差が比較的小さいですよね。二次の個別検査は易しく差が付きにくいのです。
「配点の高い個別検査で他の受験生を下回らないようにしつつ、国語の配点が半減した共通テストも全科目において失敗しないようにする」というのが鉄板の戦略です。
配点や科目に独自性があり面接対策も欠かせない
令和5年度の入学者選抜要項が、愛媛大学より公式に発表されています。
気になる医学科の募集人数ですが、一般前期日程で55名、共通テストを課す総合型選抜Ⅱで10名、共通テストを課す学校推薦型選抜Ⅱで30名、私費外国人留学生選抜で若干名。合わせて95名で、今後増員が決まった場合にはホームページに情報を掲載するとの事です。やはり前期日程は55名のままですので、競争率が高くなることには違いないでしょう。
公式の要項は以下のページよりご覧いただけます。
要項のうち、以下に抜粋した部分に重要な情報が詰め込まれています。(分割すると却って見にくくなるため、そのまま掲載しました。スマホ閲覧の方は、ご面倒でも拡大してみてください。)
医学科の共通テストの国語は、200点から100点に半減しましたが、その一方で個別検査の数学と理科では差をつけにくいことに変わりありません。
また、個別検査の「総合問題」とは、かつての英語のことですが、国語力で差がついてしまう性質も持っています。
調査書等の提出書類を含む「面接等」には100点が割り振られていますが、大きく差がつくことがありますので(約40点~100点)、各科目と同等の堅固な対策が求められます。
そして、個別検査の数学は「数学Ⅲ」を含み、理科は物理と化学が指定されています。全体的に愛媛大学医学部は数学と物理学を重視しており、高校レベルの基礎の定着を入学の前提としているのです。
さらに、「学校推薦型選抜Ⅱ」は、「学校推薦」「地域特別枠推薦」に分けられています。
人間的側面でも学力的側面でもバランスが求められる
愛媛大学医学部の受験を考えている方は、「全体的・総合的に求められる人間性」という鳥瞰的観点と、「個々の科目や面接に仔細に対策をする」という地面的観点の両方のバランスを大事にしましょう。
大学を卒業してからも、様々な場面において公私双方において絶妙なバランスを保つことが求められることは多々あります。
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