【速報2022】一人ひとりのモラルと感性が作る居心地の良い環境!高知大学医学部!

医学部入試情報

高知大学は、戦後のいわゆる「駅弁大学」の設立ラッシュの中で、1949年に3つの「旧制高校など」を統合する形で新設されました。発足当時は、文理学部、教育学部、農学部でのスタートでした。

興味深いのは、医学部設置の経緯です。1976年に「高知医科大学」が新設されました。そして、2003年に高知大学と高知医科大学が統合する形で、高知医科大学を編入して、高知大学に医学部が設置されました。

現在、高知大学は、学部学生と大学院生を合わせて、5500人ほどの規模です。本日は、医学部受験を志す皆さんのために、できれば知っておきたい国立大学医学部である「高知大学医学部」を分かりやすく解説します。日本の原風景が残る隠れ里のような高知県には、どのような医学部があるのでしょうか。

高知大学医学部の最新プロフィール

倫理観や使命感が「医師の適性」の1つと見なされている

高知大学医学部の公式サイトには、同大学医学部を知る為の多くの情報が掲載されていますが、何と言ってもサイト訪問者を釘付けにするのは、医学部紹介の最初の文言です。

近年のサイエンスとしての医学・医療の飛躍的な進歩に対応するためには、医学・医療に携わる個人が自らの倫理体系を構築しなければなりません。その基盤となるのは、長時間を要して培われた、強靭な倫理的能力とバランス感覚に支えられた多面的な考察力及び問題解決能力です。

冒頭の一文で「倫理」という語が繰り返されているように、医の倫理を守り抜くための自律的な力強さ、精神的に大きく成長を遂げた自己管理能力が前提として重視されています。

大学教授と同じレベルの社会的地位が保障されている医師だからこそ、誰も見ていないところでも、自分を律する必要があります。その道徳感覚と倫理観を養うためにこそ、大学で学ぶ教養と学問があり、人間的なバランス感覚に支えられた考察力や問題解決力が、さらに医師としての職業倫理を形成します。ある意味で、学びの回路は「らせん階段式」になっています。

なお、倫理学・哲学・美学は欧州において密接に関連しながら発展してきました。人文科学的な言説史への深入りは避けますが、やはり、「都会を離れて大自然の中で解放され、見栄や欲を捨て森林と溶け合ってこそ、精神的に健康になり、人間は何をやってはいけないのか、本当のことが分かる」と考えた知識人や文化人は大勢いたのです。これまで強調してきませんでしたが、都心を離れた「地方の医学部」を紹介するときに触れてきたテーマの一つです。

少し派生すると、音楽や美術は、「人間の倫理的・道徳的側面を向上させ、協調性や思いやりをもたらし、人格的陶冶と精神的発展を促す」ということで義務教育で必修化された経緯があります。もちろんこれには古今東西の学者たちの学説が背景にあるわけですが、はたしてロックやヘヴィメタルでも人間の倫理的レベルを向上させてくれるのでしょうか。

「医師になって家族を喜ばせたい」といった類であっても、多かれ少なかれ「見栄」を張って医学部を目指すことでしょう。では、長く険しい受験を乗り越えて医学部に入ってから、「種々の欲」や「虚栄」とどう向き合っていけばよいのでしょうか。「医療関係者の倫理」という側面から捉えなおしてみるのも一興です。

謙虚で人間を大切にする「共感力」を備えた人を目指す

高知大学医学部に独特でユーモラスな点として、高知医科大学における「師範学校的な」建学の精神を、医療従事者の理念として受け継いで全人的医療を目指していることが挙げられます。すなわち、「敬天愛人」と「真理の探究」です。「敬天愛人」と聞くと、思わず明治時代の師範道場を思い浮かべてしまいますが、漢文の教養が知識人の道徳や世界観を形成してきた時期は、日本においては長かったのです。

高知大学公式サイトには、この受け継がれる建学の精神について、以下のように簡潔に解説されています。

これは「自然の摂理を敬い、常に謙虚であり、何よりも個々の人間を大切にする大学人であることを目指しつつ、人間とその病態の中に真理を見いだす」という教えであり、呼び掛けです。超高齢社会を迎えた現在、地域社会が求める医療・福祉を担うためには、優れた知性や高い倫理観に加えて、豊かな感性や人間そのものに対する深い共感、自然を理解するための鋭い洞察力が必要です。

ちなみに、「全人的」という言葉を国語辞典で引くと、次のようにあります。

人を、身体や精神などの一側面からのみ見るのではなく、人格や社会的立場なども含めた総合的な観点から取り扱うさま

「全人的医療」という言葉は昔から時々耳にするのですが、「ヒューマニスティックに患者の尊厳や矜持を大切にする」という意味だけでなく、人格を総合的に捉え、社会的立場など様々な角度を吟味して患者と接するという意味でもあるんですね。

世界史における「イタリア・ルネッサンス」や「12世紀ルネッサンス」でも習うように、人間性の開花のためには学問や芸術や教養が必要です。「疾風怒濤のロマン主義」が訪れる以前に「ヒューマニズム開花のルネッサンス」が花開いたという事実は、人がまっとうに成長し、ひいては立派な医療従事者になるために、「恋愛などのロマン派的要素」や「金銭的富裕」は必ずしも必要ないと語っています。でも、心を豊かに保つために、いろいろな事を語り合う友人関係は大切にしたいものです。

都心の喧騒から離れ、様々な欲求をシャットダウンできる自然豊かな高知県の環境であればこそ、医学部における学業もまた、全人的・人間的深化による「医の倫理」の感得という点でも、充実したものになるでしょう。これは高知大学医学部に限ったメリットではありませんが、当メディアの記事を読んでいる受験生には是非伝えたいテーマです。

■高知大学医学部の公式サイトのトップページはコチラです。

■受験生や保護者の方が知りたい公式情報は以下のページに網羅されています。

高知大学医学部の最新入試情報

では、受験生なら気になる最新の入試情報に移ります。

医学科の一般入試は浪人生合格者の割合が多い

2022年度の医学部医学科の入試の種別や合格者について、体裁よくまとめられている表がありましたので、掲載します。

医学科の志望生なら誰でも知りたい情報が、ほぼ全て網羅されているのが上記の表です。

2022年度の医学科の前期日程の入試について、志願者数と募集人員をもとに「確定志願倍率」を出すと、ほぼちょうど4倍になります。

また、医学科の前期日程で実際に合格した「63名」と、受験者数の「195名」をもとに倍率を出すと、3.1倍となり、前年の4.7倍と比べて低くなりました。

そして、「合格した63名」のうち、女子は35パーセントで、現役は37%でした。浪人生の健闘ぶりが感じられます。

ちなみに、高知大学医学部は、後期日程は看護学科しか入試を行っていません。

医学科の一般入試の「地域枠」はごく僅か

そして、「60名」の募集であった医学科の前期日程は、55名が一般枠で、5名が地域枠でした。「5名」の募集だった前期日程の地域枠ですが、13名が志願し7名が受験した結果、実際には1名しか合格が出ませんでした。一般入試における地域枠の募集人数は非常に少ないため、医学科の一般入試として、他の中国四国地方の医学科と比較して、よりいっそう全国から受験生が殺到します。

その代わりに、医学科の学校推薦型選抜と総合型選抜は、「事実上の地域枠の募集」としての性格を、多かれ少なかれ持っています。

なお、河合塾からデータ提供を受けているパスナビの最新情報によると、高知大学医学部医学科の偏差値と共通テスト得点率は、「前期(一般枠)」は62.5で76パーセント、「前期(地域枠)」は62.5で75%となっています。

偏差値をもとに判断すると、「愛媛大学や島根大学の医学部医学科に比べれば、少し入りやすい」と言えますが、過去数年において医学科の「確定志願倍率」(受験者数ではなく志願者数をもとにした倍率)が6倍を超えた年もあったので、競争率や合格得点率は厳しいと思って準備しましょう。

医学科は1900点満点のうち1357点が合格最低点

高知大学は、共通テストと個別試験に分けて、「合格者の最高点、平均点、最低点」を出しています。大学が公式に発表するデータですので信頼できるのはもちろん、戦略性も高く、受験生にとって大いに参考になる数字だと思います。

医学科の2022年度一般入試では、共通テスト900点について、合格者の最高点は749点、合格者の最低点は629点でした。個別試験1000点については、合格者の最高点は848点、最低点が661点です。総合得点の1900点について、合格者の最高点は1593点、最低点は1357点です。

共通テストにおいても最高点と最低点の差が大きいのが特徴ですが、個別試験においてはさらに顕著になり、1900点満点の総合得点に関しては(合格者に絞っても)200点以上の開きがあるのです。このように、個別試験は差が付きやすいのが特徴です。

他の学部や看護学科とデータを比較したい方は、以下のリンクよりどうぞ。

ちなみに、「2022年度入試」とは、2022年4月に入学する人を選抜する入試のことを言います。たとえば、2023年4月に入学する人のための「総合型選抜」が2022年の秋に実施されることがありますが、これは(2022年に実施されても)「2023年度入試」になります。入試マメ知識ですが、けっこう重要ですので知らなかった人は覚えましょう。

2023年度入試も医学科の前期日程は60名

高知大学のホームページより、最新の要項を閲覧することができます。冊子体では配布しないという事で、Web経由で入手・閲覧するしかないのですが、この度、2022年11月14日に、医学科の定員について変更が発表されました。PDFファイルに赤字で修正が入っている通り、「医学科の入学定員は110名になり、一般前期日程で60名の募集(一般55名、地域枠5名)を行う」ということになりました。

これは、中央省庁に申請していた医学科定員の臨時増の継続実施が認可された結果と推測できます。つまり、本来なら医学科の定員を減らす(元に戻す)必要があるところ、これまで通りの人数を募集できることになったわけです。同様の結果は他の医学科についても起こり得ることですので、大学の公式サイトで要項など最新情報をチェックしましょう!

選抜要項や募集要項は以下のページより閲覧できます。

従来通り数学・理科・英語が高配点に

最後になってしまいましたが、2023年度入試の医学科における科目と配点についてです。

医学科の前期日程の科目と配点は例年通りであり、共通テストが計900点、個別試験が計900点、さらに面接が100点で、合わせて1900点です。

共通テストでは数学・理科・英語がそれぞれ200点ずつ、個別試験では数学・理科・英語がそれぞれ300点ずつという、オーソドックスでありながら特徴的な配点型となっています。共通テストと個別試験を合わせると、数学・理科・英語が500点ずつとなり、「共通テスト地歴公民」や「面接」の得点が相対的に弱小化します。

数学・理科・英語全てにおいて対策を欠かさないことを大学側も期待しており、他の受験生と差がつくゾーンの問題をいかに多く正確に解き切るかが重要です。

他の受験生が全員難しいと感じる「骨のある問題」を全て落としていては合格できないので、一人一人の得意不得意や意欲に合わせた勉強計画が求められる配点方式です。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

【2023年版】 現役医大生が選ぶ医学部予備校おすすめTOP5