【速報2022】厚労省が第116回医師国家試験の合格発表を行いました
医師国家試験というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。わたしは子供の頃から、親戚の医師に「医師国家試験は、6年間真面目に勉強して基礎を押さえていれば、まず落ちないよ」と言われていたため、基礎知識重視の試験というイメージを持っています。とはいえ、国家試験の最高峰ですから、もちろん油断は禁物。長期間にわたってきちんと準備し、情報も集め、万全の対策を講じて臨むべきであることに違いありません。
このたび、今年の2月5日~6日に行われた医師国家試験の合格発表が行われました。新卒者の合格者は、国公立と私立を合わせて95.0パーセントというキリのいい数字。医学部で6年間勉強して新たに卒業する人に関しては、20人中19人が合格している算段となります。ですから、新卒の方のうち、20人に1人は不合格という結果であるわけですから、やはり決して油断はできません。
また、新卒者と既卒者を合わせた受験者全体については、国公立と私立を合わせて91.7パーセントいう合格率です。この数字より、既卒者の合格率が低いのだということがお分かりいただけるかと思いますが、とりわけ顕著なのが国立大学の既卒者の合格率の低さです。これについては、「勉強のし過ぎで精神的に疲れてしまったのだろうか」「油断してしまったのだろうか」「趣味やスポーツに没頭してしまったのだろうか」といった様々な憶測が飛び交いうると思います。
ですが、やはり私は、「難関である国立大医学部に入るために、中高生の時に受験勉強に心血を注いだ。大学受験のための勉強でデッドヒートしてしまい、大学入学後に気が抜けてしまった。もしくは、エリート高校の出身であるために、大学の学業や環境になじめなかった」という事情が最も説得力があると思います。日本は中学受験とエリート一貫校の存在感が強い一方で、アメリカや西欧におけるように「大学における学業」は重視されてしかるべきだと考える所存です。
「厚生労働省 第116回医師国家試験の合格発表について」は コチラをクリック
出願者数と受験者数と合格者数の大枠について
まず、先ほどの前置きで少し触れた、医師国家試験にまつわる全体的な数字は、以下の表のようになります。
出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
新卒者 | 9,473人 | 9,232人 | 8,774人 | 95.0% |
全 体 | 10,353人 | 10,061人 | 9,222人 | 91.7% |
表を見れば誰でもわかることですが、出願者数や受験者数といった項目の大体の数字もチェックしておきたいところです。出願者数と受験者数は、新卒者では9000人ちょっと、全体では10000人ちょっと、といった感じですね。
また、新卒者と全体の数字から、既卒者のデータを割り出せますので、計算してみました。既卒者に関しては、出願者数は880人、受験者数は829人、合格者数は448人です。既卒者について、受験した人のうち合格した人の割合は54パーセントなります。
「既卒者」として受験する人は、だいたいは前回までの国家試験で不合格だった人だと思われますが、その他にも体調不良や冠婚葬祭で国家試験受験を辞退した人も含まれていると考えられます。いずれにしても、1回で合格しなければデフレスパイラルのように悪循環に陥ることが想定されますので、新卒者の合格率は95パーセントとはいえども、決して油断ならぬ国家試験ですね。最後まで手を抜かないで頑張ってほしいところです。
なお、私と同年代の医師や、現役医大生から聞いた話によると、体力をつけて体調を整えることが重要であるほか、6年間の学業のストレスやプレッシャーでメンタル面の調子を崩してしまって不幸な結末をたどる人が少なくないということです。医学部に合格したら、ぜひクラスメイトや学友たちとメンタル面での健康の維持する方法について話し合っていただきたいところです。
合格率を、国立、公立、私立に分けて考察
まず、大学別に合格者状況を見ていく前に、国立大学医学部、公立大学医学部、私立大学医学部に分けて合格率の概要を見てみましょう。
国立大学医学部に関しては、新卒者の合格率が95.5パーセント、既卒者の合格率が49.1パーセント、全体の合格率は92.2パーセントです。先ほども申し上げたように、国立大学医学部の既卒者の合格率の低さは、とりわけ意外さも手伝って目を引きますね。
いっぽう、公立大学医学部においては、新卒者の合格率は同じく95.5パーセントですが、既卒者の合格率は62.0パーセントと高いですね。その結果、全体の合格率は、国立大学より少し高い93.5パーセントです。
ここでは、国立大学も公立大学も、新卒者の合格率が95.5パーセントであることを押さえておきましょう。
では、気になる私立大学医学部は、どうなのでしょうか。新卒者の合格率は95.2パーセントであり、国立大学や公立大学と、ほぼ変わりありません。既卒者の合格率は61.3パーセントであり、全体の合格率は92.4パーセントです。
以上のデータからわかるように、私立大学医学部も、とりわけ新卒者の合格率の高さからわかるように、国公立大学と比べて遜色のない合格率の高さ=優秀さを誇っています。むしろ、私立大学医学部に関しては、既卒者の合格率と全体の合格率は、国立大学医学部よりも高くなっています。これらのことから分かるのは、国立大学医学部というとハイレベルな競争を強いられる狭き門というイメージがありますが、やはり大学入学という「入り口」が難関なのだということ、また、私立大学医学部も入学してからはレベルの高い学問で切磋琢磨しなくてはならないこと、などです。
でも、「私立大学医学部といっても、入ってから国立大学と同じくらいレベルの高い勉強をしなくてはならないのなら、学費の安い国公立医学部に入っておきたい」という理屈は通用するかもしれませんね。
大学別の合格者状況を概観
国公立大学
まず、皆さんが気になる大学から見ていきましょう。東京大学の医学部は、当然気になりますよね。東大医学部は、新卒者の合格率は93.2パーセント、既卒者の合格率は41.7パーセント、全体の合格率は87.8パーセントと、いずれもかなり低めになっております。意外というか、私もショックです・・・。国家試験に出ないよう高尚な学問や、博士論文のほうに注力してしまっているのでしょうか。
その一方、東京医科歯科大学は、新卒者の合格率は97.3パーセント、出願した1名が受験しなかったため既卒者の合格率はデータなし、したがって全体の合格率も97.3パーセントと、きわめて高くなっていますね。大学のカラーというか、それぞれの医大生が何を追い求めているのかという意味での学風が反映されているように思えます。
私立大学
まず、自治医科大学の新卒者の合格率と全体と合格率が100パーセントであることが目を引きます。なお、既卒者の関しては、出願者・受験者共に0名となっております。
その他、皆さんの参考になるように、全体の合格率が95パーセントを超えている私大医学部を列挙しますと、東京慈恵会医科大学、近畿大学医学部、東北医科薬科大学医学部、兵庫医科大学、慶応大学医学部、順天堂大学医学部、昭和大学医学部、藤田医科大学医学部、北里大学医学部となります。
それぞれ多彩なカラーが魅力の私立大学医学部が、独自の努力を惜しまず注いでおられる様子が窺えます。
以上、医師国家試験の合格発表についての速報でしたが、皆さんの進路選択や大学受験の参考材料に使っていただければ幸いです。
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