医学部にある学科の特徴や卒業後の進路を解説します

医者のキャリア

このサイトをお読みの方には、医学部に興味があって「医学部にどんな学科があるか知りたい。医学部にある学科についての情報を得たい」という方も、たくさんいらっしゃると思います。また、医学部を目指すことは決めているが、もしくは将来医学部への進学を考えているが、「どの学科を目指すか、迷っていて情報が欲しい」という方もいらっしゃると思います。

本日は、そんな方たちのために、医学部にある学科についての情報を提供し、それぞれの特徴や卒業後の進路について解説します。

医学部にある学科は?

医学部には、必ず「医学科」があり、こちらのみが将来医師になれるコースとなります。また、大学によっては、医学科の他に、看護学科や保健学科など、医師以外の職で医療に携わる人材を養成するコースもあります。

昔は、医学部には必ずと言って良いほど「看護学科」もあったのですが、昨今では、昭和大学におけるように、看護学科が「保健医療学部」という医学部とは違う学部に置かれていることもあるようです。また、「看護学部」として独立していることもあります。ちなみに、昭和大学の保健医療学部は、看護学科、理学療法学科、作業療法学科からなり、いずれも医療に携わる人材を養成する目的で置かれています。

看護学科

看護の実際と理論を学ぶ学問体系である「看護学」を中心に学びます。看護学は、保健医療の進歩に伴い、近代科学として体系化されてきました。内容としては、看護の概念、看護技術学、看護管理学などの総論を学ぶことと、成人看護学、小児看護学、母性看護学などの各論を学ぶことに分けられます。

また、看護の性質上、医学、特に臨床医学との関連が深いことが特徴です。卒業時に看護師と保健師の国家試験受験資格を得ることができるので、地位や報酬の点では医師に及ばないかもしれませんが、確実に手に職をつけることができ、不景気などでもリストラされない仕事ができると言えます。

保健学科

保健の維持や増進を目的とした「保健学」を中心に学んでいきます。保険学は、医学や社会学を始め、すべての関連分野を健康という目標に向かって組み立てた総合的応用科学と言えます。より具体的には、人間集団を入り口として、健康の保持や増進、疾病の予防などを目指す公衆衛生学的アプローチと、個人個人を入り口として、多岐にわたる疾病や傷害の治療を中心に行う臨床医学的アプローチとの2本柱で構成されています。

また、それぞれの基礎分野として、人類生態学、保健管理学、健康教育などの保健諸科学、および基礎医学の各分野があります。

将来は、診療放射線技師や臨床検査技師、作業療法士、理学療法士などになる道が開かれ、保健や医療福祉における専門職に就くことができます。

栄養学科

国立大学医学部に栄養学科が置かれているのは、徳島大学だけになります。

人間の身体をつくり、エネルギーの元となる栄養について科学的に研究する学問である「栄養学」を学ぶ学科です。栄養学は、栄養生理学、栄養化学、栄養病理学などに分けられ、食事や食品、その成分である栄養素がどのように生物の中で利用されたり影響しているかを学びます。

主に、管理栄養士を養成するための研究分野で、人間の健康と食物の関係を科学的に解明します。 食物から得られる栄養は、人間にとって不可欠であり、栄養の不足や極度の偏食は、健康を損ね、病気の原因にもなります。皆さんも、「三大栄養素」や「五大栄養素」といった用語を聞いたことがあると思いますが、これらの辺りを詳しく学び、人々の健康の増進を目的とする管理栄養士としての道が開かれます。

生命科学科

生命科学科が医学部に置かれているのは、鳥取大学と九州大学のみになります。

生命科学は、生物学と同義とされますが、応用分野である医学・農学なども含むことがあります。物理科学と対をなしますが、生物の構成要素も物質であることから、物理科学と生命科学の境界は曖昧になってきています。例をあげて説明すると、ウイルスは細胞に感染する一方、完全に自己完結した自己増殖能力をもたないので、生物かどうかが議論され、生命科学の領域で取り扱われるかが微妙です。ただし、生命科学を生物の生命活動に関わる科学と定義すれば、ウイルスは生物の生命活動に影響を与える物質であるため、生命科学の範囲内であるといえます。

医学に深い知見を持った生命科学分野での研究者の養成を目的としているため、看護師や保健師といった国家資格が得られる看護学科や、作業療法士や理学療法士といった専門職に就く道が開かれる保健学科と比べると、手に職をつけるのに苦労するかもしれません。

健康総合科学科

東京大学の医学部に置かれている学科の1つです。

健康総合科学とは、ひとびとの生活にとって重要な構成要素である健康を軸に置き、人が生まれ、生活し、一生を終える一連のプロセスにおいて、幸福(ウェルビーイング)向上を実現するための科学です。健康総合科学では、人間の個別性・多様性、社会背景・社会規範などへ配慮し、さらに社会へ貢献することを目的をしています。(東大HPより抜粋)

東京大学の健康総合科学科には、3つの専修が置かれており、それぞれ環境生命科学専修、公共健康科学専修、看護科学専修です。ただ、いずれも医師になれないコースなので、健康総合科学科を中退して医学科に編入する人もいます。東大の健康総合科学科なので、卒業すれば多くの道が開かれると思いますが、やはりそれくらい、医師は憧れの職業であり、ステータスや将来性において重みがあるのでしょう。

医学科

医学部の中に置かれた学科のうち、唯一、医師になれるコースとなります。

医学は、人間の歴史とともに経験医療として存在し、一般科学の進歩とともに独自性を持った科学として発展し、「人体の研究と、疾病の治療・予防を研究する学問」と定義されました。その定義も、現代では「人間を生理的、心理的かつ社会的にも能動的にし、できるかぎり快適な状態を保たせる研究」といった機能的、社会的な立場に変わりつつあります。

また医学の目的は、病人を治療し、病気を予防し、健康を増進することで、医学は基礎医学と臨床医学に大別されます。基礎医学は、解剖学、生理学、生化学、病理学、細菌学、薬理学、血清学、栄養学、衛生学、法医学などに分けられます。臨床医学は、内科、外科、整形外科、小児科、産婦人科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、精神科、歯科、放射線科、麻酔科、老人病科、整形外科などに分けられています。

これらの膨大な学問を学ばなければならないため、医学科は6年制となっているのですね。また、医学は生物学と密接な関係がありますが、医学の目的は病気そのものよりも病人を治すことですから、社会の構造との関連が生じ、医学は生物学の単純な応用分野とはなりません。孔子が「医は仁術」といったように、医師になってからは患者に寄り添い、患者の行く末を案じることができる人間性が重要になってくるということですね。

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