現役医大生がオススメする奨学金10選について徹底解説【2000万円の学費免除など】

現役医大生の実情

「医学部はお金持ちの子供が目指すところ・・・」

「親も医者だから医学部に通わせられるんだろうな・・・」

漠然と医学部はお金がかかると、お思いの方も多いのではないでしょうか。

実は、超がつくほどのお金持ちから、奨学金を借りている人まで、さまざまな医大生がいます。奨学金の制度をうまく使いこなせば、一般家庭でも、医学部医学科に進学させることができるのです。

今回は、医大生が利用できる奨学金をご紹介します!

医大に通うにはどれだけのお金が必要?

地方国公立:学費や生活費をあわせて年間180万円ほど必要

国公立医学部の学費は、他の学部と同じで年間55万円ほどです。

〈地方住みの1か月の支出例〉

  • 学費:4.6万円(半年に一度27万円を支払います)
  • 家賃+駐車場:5万円
  • 生活費+交通費:5万円

地方国公立に通うなら、毎月15万円が必要になるでしょう。

夏休みには部活動の遠征があり、臨時の支出が必要になります。多くの学生は、バイト代を部活動や飲み会の費用に充てています。

後ほど詳しく述べますが、国立大学には家庭の収入によって、学費が全額免除になったり半額になったりする仕組みがあります。

私立:学費や生活費をあわせて年間700~800万円必要

私立医学部の学費は、2000万~4000万円です。学費だけで年間500万円が必要になります。

国公立に比べ、私大には裕福な学生が多い印象です。

一般に私大は、奨学金制度が比較的豊富で、それらを利用して裕福でなくても通えることがあります。私大独自の奨学金についても後ほど詳しく述べます。

 

これまでざっくりと必要なお金について述べてきました。実際には、高額な医学書を購入したり、車を購入したりと、追加でお金が必要になることも・・・。

こちらの記事では、より具体的に6年間で必要なお金について解説しました。

医大生に限らず、大学生が利用できる奨学金

1. 世帯年収が380万円以下:大学無償化(国立大学)

2020年からスタートした「大学無償化」。これは、大学の授業料減免と給付型奨学金の拡充によって、年収380万円以下の世帯では、学費が免除になる仕組みです。

また、世帯年収が380万円を超えていても、大学の授業料減免を受けることができます。

大学独自の基準や、扶養者の数などの複雑な計算式があるので、詳しくはこちらをご参照ください。

2. 固定金利年1%以下で借りられる:日本学生支援機構(JASSO)

実は全国の学生の3人に1人が借りているのが、JASSOの貸与型の奨学金です。

日本学生支援機構(以下JASSO)の奨学金には、給付型と貸与型の大きく2種類があります。

給付型は原則として返す必要がない奨学金ですが、貸与型は借りたら卒業後に働きながら返していく奨学金です。

貸与型には利息がない「第一種奨学金」と、利息を付けて返す「第二種奨学金」があります。一定の条件を満たせば、「第一種奨学金」と「第二種奨学金」は併用できます。いずれも高校3年生の時に申し込む予約採用と進学後に申し込む在学採用があります。

奨学金を受けるための基準は、(1)学力基準、(2)家計基準、(3)資産基準、そして、(4)進学先の学校が給付奨学金の対象校となっていることの4点です。

進学先が給付対象校となっているかどうかは、文部科学省のホームページから確認できます。
文部科学省:支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧

給付型、第一種、第二種でそれぞれ学力や家計、資産状況の基準が決まっており、一定の基準を満たせば奨学金をもらうもしくは借りることができます。

給付型が一番基準が厳しく、次に第一種、どちらの条件も満たせないという人が第二種になります。

第二種の基準は比較的ゆるいので、給付対象校であれば条件を満たすことはできると思います。

第二種の貸与型は、年利付きで返済していきます。固定金利と変動金利があり、借りる前に調査が必要です。

しかし、在学中に留年をしてしまったり成績が悪かったりすると、途中で奨学金が打ち切られてしまうこともあるので、注意が必要です。

3. 最大350万円まで借り入れ可能:日本政策金融公庫の教育ローン

日本政策金融公庫では、固定金利年1.95%で最大350万円まで借り入れることができます。審査も厳しくなく、年収が790万円以下の世帯で利用可能です。

また、日本学生支援機構の奨学金との併用が可能です。

4. 金利2~5%で1000万円以上借りられる:銀行の教育ローン

多くの銀行が教育ローンを提供しており、中には医学部限定ローンもあります。特に有名なのが、ちばぎんの「医学部・歯学部向け ちばぎんスーパー教育ローン」です。変動金利3%以内で、3000万円借りられます。

多くの銀行から、金額や利子、返済期間などを比較して選びましょう。一例をお示しします。

変動金利/年 借り入れ上限額 最大の返済期間
ちばぎん(医学部・歯学部) 2.2%~2.6% 3000万円 10年
労働金庫(例) 2.2%~3.4% 2000万円 15年
三菱UFJ銀行

(ネットDE教育ローン)

3.975% 500万円 10年

医師といっても、初期研修の間は年収500万円に満たないこともしばしば・・・。医師になってすぐに高給が約束されるわけではないので、無理のない借用額にしておくことをおすすめします。

5. 地域によって最大20万円/月もらえることも: 地方公共団体の奨学金

都道府県や市区町村が窓口となる奨学金もあります。保護者の居住地か大学の所在地かで受けられる場合が多いようです。

各自治体の奨学金は貸与型が多いようですが、中には卒業後にその自治体で就職した奨学生に対し、奨学金の返還を支援する制度※もあります。例えば、医学部であれば6年間借りたら一定期間(9年間のことが多い)はその地域で働くことで返還が免除される、地域枠なども存在します。

※都道府県(基金設置団体)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/chihoshien/sosei/seido/sousei_ken.html

成績や家計の基準は、日本学生支援機構の基準に準じているところと、独自に設定しているところがあります。家庭の所得制限が厳しい場合や、日本学生支援機構の奨学金と併用できない場合もある点に注意が必要です。

医師不足の地域では月に20~25万円ほど貰える地域もあり、親に頼ることはできないけど医師になりたいという人にはおすすめです。

参考例 茨城県地域医療医師修学金貸与制度 特設ページ

6. 成績優秀者または経済的に困難な学生に2万~6万円/月の給付または貸付: 民間育英団体の奨学金

民間団体(企業や学生を支援する団体)が運営する奨学金もたくさんあり、給付型のものと貸与型のものがあります。

給付型の場合、学業成績だけでなく、品行方正など人物評価も対象となり、募集枠も少ないことが多いです。

高校時代に指定された高校の推薦者から予約選考を行うものや、大学入学後に申し込むタイプでも対象となる地域や大学・学部が指定されている場合があり、情報を集める力が必要になってきます。

大学によっては、そういった奨学金をまとめているページを作っているところもあり、そういったところを細かくチェックしましょう。

参考例 筑波大学 奨学金・就学支援 民間奨学団体

貸与型は成績良好で、学費の支払いが困難な人向けのものが多いです。金額は給付型、貸与型ともに月20,000~60,000円くらい。期間は1年~数年までさまざまなものがあります。

筆者の友人はこのタイプの奨学金をもらっていますが、大学教授の推薦を頂いたり、教務の方と密に連携したりと手間はかなりかかったそうです。それでも、その奨学金があることで学生生活を過ごすことができているので、可能性のあるものは狙ってみましょう。

大学や病院が提供する奨学金

7. 10~30万円/月が支給される:医学部の定員の約1割が地域枠

地域枠とは、地方自治体が毎月10~30万円支給する代わりに、卒後9年間はその都道府県で働くことが指定されている制度です。

地方の医師不足を解消するために設立されました。

自由に進路を選べなくなることや、進む診療科にも制限がかかることなどがデメリットです。

地域枠について詳しくはこちらの記事で解説しています。

私は裕福な家ではなかったので、地域枠を選ぶかどうか悩みましたが、結局一般枠で入学しました。5年生のとき、ある医学の分野に興味をもち始め、将来はその分野で有名な教授がいるところに行って研修したいと考えるようになりました。

今となっては、地域枠を選ばなくてよかったと思っています。

入学してから、新しいことに興味を持ち、新たな夢ができるかもしれません。地域枠のメリット・デメリットを考え、慎重に選択しましょう。

8. トップ合格や学年で1番の成績だと学費免除:私立大学の給付型奨学金

現在、約9割の私立大学では給付型奨学金の制度を設けています。

学科の中で1番を争うぐらいの優秀な成績だとか、本当に家計が苦しい場合にのみ、貰えます。

たとえば、国際医療福祉大学では「特待奨学生」を設け、入試で特に成績が良かった学生に対し、学費を全額免除する制度があります。

学校によってさまざまな制度があります。必ず最新の情報をチェックしましょう。

9. 自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校の学費は条件付きで無料

これら3つの医大では、なんと学費がほぼタダになります。

自治医科大学は、地域の医師不足を解消するために設立されました。いわば、全員が地域枠の学校です。卒後、出身県で9年間働けば奨学金の返済は免除されます。

産業医科大学では、産業医を育成しています。在学中に修学金(いわゆる奨学金)が支給され、卒後、産業医として働けば返済が免除されます。

防衛医科大学校は、自衛隊で働く医師を育成しています。学費や寮費がかからない上に、学生手当という給料が毎月10万円ほど支給されます。卒業後は9年間、自衛隊で勤務しなければなりません。

10. 最大15万円/月が支給される:病院独自の奨学金

在学中に学費や奨学金を支給し、卒後その医療機関で働けば返済が免除になるという制度です。

徳洲会グループをはじめ、多くの病院がこの制度を設けています。

たとえば徳洲会グループでは、医学生に毎月15万円貸し付け、卒後6年間(初期研修の2年含む)徳洲会グループの病院で働けば、返済が免除されます。

他にも民医連などが奨学生を募集しています。

奨学金も活用して医師になる夢をかなえよう

貸与型の奨学金もひとつの借金です。

また、地方自治体や病院からの奨学金で、進路が制限されることがあります。

募集要項をよく読んで、自分の将来までよく考えてみる。そして家族ともよく相談しましょう。

奨学金は正しく使えば、自分の可能性を広げてくれるものです。この記事で紹介したような奨学金を用いることが、夢を叶えることにつながれば幸いです。

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