医学部受験の併願校の選び方は?選ぶ際に失敗しないための13のポイント

医学部入試情報

それまでの勉強の成果が試される大学受験。

第一志望の大学以外にどんな大学をどれくらい受ければ良いのか難しいですよね

医学部受験では併願校をたくさん受ける人が多いです。

この記事を読んでぜひ第一志望だけでなく、併願校のことも考えてみてください。

無理のない受験スケジュールを組むことが重要

ある調査によれば、一般的な受験生は2〜5校受ける人が多いようです。

合格した人の中には、どうしてもこの大学に行きたいという気持ちから1校しか受けないという人ももちろんいますが、第一志望の受験の前に本番の受験の雰囲気に慣れておくためにも、第一志望の大学の他にも何校か受けたほうが良いと思います。

受験した学校の数について下のようなデータがあります。

スタディサプリ進学情報サイトより引用

約3分の2の受験生が2校以上の大学を受験しているようです。また、この円グラフの中には、基本的には単願の必要がある一般推薦や指定校推薦、AO入試で合格した受験生も含まれていますので一般受験のみで考えると、2校以上受けた受験生の割合はもう少し高くなると思います。

受験校は「挑戦校」「実力相応校」「滑り止め」の3つに分けて受験するのが良いとされています。

自分の実力より、少し偏差値は高いが「どうしてもその大学に行きたい!」という気持ちがあり、合格の可能性はあるという意味で挑戦する大学が「挑戦校」。

模試や学校の成績的に、自分の実力であればなんとか合格できそうな大学が「実力相応校」。

自分の実力ならほぼ確実に合格できそうな大学が「滑り止め」です。

併願校を選ぶ際は、偏差値だけでなく、それぞれの大学の入試傾向や受験科目もしっかりと調べて考慮することが大切です。つまり、第一志望の大学の入試傾向・受験科目が似ている大学を選ぶことが望ましいでしょう。

例えば、私大医学部受験生が併願することが多い帝京大学の医学部は数学がⅡB(旧課程)までしか出ないのに対し、昭和大学の医学部では数学を選択して受験する場合数学Ⅲ(旧課程)まで必要になります。

他にも共通テストを利用して受験が可能な大学もあります。共通テスト利用は、共通テストを受けるだけで多くの学校に出願することができます。また共通テスト受験後、1次合格した際には2次試験として小論文と面接を受けるだけ良いという学校も多いので体力的にも負担が少なく済みます。実際私も共通テスト利用で何校か出願しました。

 

大学入試を受けるというのは想像以上に疲弊してしまうものですから、とにかく無理のない受験スケジュールを組むことが大切です。体力には個人差があるので、精神的体力的に自分がどれだけの日数を連続で受けることができるのかよく考えてから出願しましょう。

また、地方から東京や大阪などに受験に行く場合、何度も旅行するようなスケジュールは金銭的にも時間的にも体力的にも辛いので、1回の旅行で複数校受験できるようなスケジュールを組むことも大切です。

さらに言えば、第一志望優先でスケジュールを組むことも大切です。最も望ましいのは第一志望大学の試験で100%の力を発揮することですから、第一志望校の入試の前日などには、他大学の試験を入れないようにしましょう。

滑り止めはできるだけ早く受験する

できるだけ第一志望校を受験する前に、合格する可能性の高い滑り止め校を先に受験しておくようにしましょう。

第一志望校の試験までに受験慣れしておくことが大切なので、第一志望校の入試が初めて、といったことは避けたいものです。

また、第一志望以外の学校であったとしても合格した学校があるということは自信にも繋がります。

国立大学と私立大学を併願する場合のポイント

二次試験に集中できるように私大併願校は絞る

共通テストのあとは志望大学の過去問演習に時間を割くことになります。共通テストの結果によっては志望校を変更することもありますので共通テストが終わってから初めて過去問に触れるということも十分に考えられます。ここで併願校の受験を入れすぎてしまうと本命の大学の受験対策に十分な時間をかけられなくなりますので、私立の併願校は多くても5校程度に絞った方が賢明です。令和7年度の共通テストの日程は1月18日(土)・1月19日(日)で、国公立大学の前期試験は2月25日(火)より行われます。

この間は思ったより時間がありませんし、入試の緊張感から疲れが出て体調を崩してしまっては困ります。国公立大学を目指す程度の学力があれば私立の併願校は上位校のみに絞ってもよいでしょう。どうしても不安な場合は入試日程の早い下位大学の1次試験のみを力試しに受験するという人もいます。しかし受験は何が起こるか分かりません。絶対安全圏だと思って力試しに受けた大学が不合格になってしまった場合、精神的なダメージがかなり大きいです。私大の医学部の場合受験料も高額ですので受かったら行くつもりの大学のみを受験する方がよいでしょう。

チャレンジ校はできるなら受験するべき

先ほど国公立大学を受験する場合は私立の併願校は上位校に絞ってもよいと書きました。しかし慶應義塾大学医学部は私大の中では別格ですので受験するか迷う場合もあると思います。旧帝大や東京医科歯科大学など最上位の国立大学を受験する場合は併願することがほとんどですが、その他の国公立大学を志望している場合でも受験して損はないでしょう。というのもその年の傾向で自分に合った問題が出題された場合、逆転合格することがあるからです。東京慈恵会医科大学2次落ち、東邦大学1次落ち、横浜市立大学不合格でも慶応義塾大学医学部に受かって進学した人もいるようです。かなりのレアケースではありますが、受験は一種の賭けでもありますので受けられるなら受けておくのがよいでしょう。

国立大学の後期試験における受験校の選び方

医学部の後期試験は倍率が非常に高く、問題も難問が出ることが多いためあまり当てにしない方がよいです。山梨大学のように後期試験のみの実施で定員が他の大学より多い大学もありますが、基本的には共通テスト模試で出願できそうな大学を予め選んでおいてください。最終的には本番の共通テストの結果を見て決めましょう。共通テスト後は大手予備校からボーダーが出されますが、完全に信じるのは危険です。絶対安全ということはないので共通テストの結果がギリギリだった方は賭けと思って行きたい大学に出すのもありです。また、共通テストで失敗した場合は2次試験の配点が高い大学に出願するのも良いと思います。

私立大学の中で併願する場合のポイント

二次試験の日程を考慮する

多くの大学を受験する場合、二次試験の日程が被ることが考えられます。どちらの大学の二次試験を受けるべきかは大変大きな決断ですし、精神的にも負担がかかります。併願校を決める際は二次試験の日程をしっかりと把握し、できるだけ被らないようにしましょう。

私はカレンダーに受験予定の学校のスケジュールを全て書いて、視覚的にいつどこでどの大学の受験があるのか把握できるようにしていました。

連続受験は自分の体力を考慮して受験しよう

一次試験は想像以上に体力を消耗しますので、もし連続になってしまっても自分の体力が持つようなスケジュールを組みましょう。二次試験に関しては回数を重ねるごとに余裕ができ、反省点を改善しながら次に臨むことができたり、午前までで終了することもあるのである程度連続になってしまっても問題ないかなと私は思います。

試験会場が近い大学をまとめて受験する

地方の私立大学を何校か受験する際は試験会場がどこなのかしっかりと確認しましょう。大学によっては複数の会場を設けている場合がありますので、宿泊や移動の負担を減らすためにもできるだけまとまって受験ができる大学を選ぶのがおすすめです。

入学金の振り込み期限を考慮する

私大に医学部の入学金は百万円単位であることが多く一括納入がほとんどですので、複数の併願校に合格した場合に振り込み期限順に納入していると莫大な損失になってしまうことがあります。入学金が複数の大学分支払えなかったためにより偏差値の高い大学への進学をあきらめざるを得なかった人もいます。そうなるのは本当にもったいないですし悔しいですので併願校を絞る場合は入学金の振り込み期限を考慮することも重要です。

医学部以外の学部と併願する際のポイント

医学部が不合格だった場合は、他学部に進学するのもありだと思っている方(浪人を重ねている方など)ももちろんいると思いますが、医学部しか考えていないという方は難易度も問題の傾向も異なることが多いですので特に受験しなくてもよいでしょう。力試しに受けるといっても受験料と心身への負担を考えると他学部の受験はあまりおすすめしません。

 

ここまで併願校選びのポイントについてお話ししてきましたが、事前に募集要項をよく読み、出題範囲や配点、受験科目を確認して併願校を決めましょう。

 

滑り止めは偏差値だけで考えないようにしよう

上でも軽く触れましたが、「滑り止め」とは、もし第一志望や行きたかった大学に落ちてしまったときに、「行ける大学がない!」ということを避けるために、自分の実力なら高い確率で合格するであろう大学を受験することです。

実力を出しきれなかったとしてもおそらく大丈夫であろう大学を、「滑り止め」として受けるべきだからです。

しかし、自分の偏差値から考えるとこの学校は受かるから滑り止め校として受験しようという考えは危険です。私立大学は問題に特徴があり、問題が自分に合うかどうかは個人差があります。
実際私も問題が合わず受験を諦めた学校があります。
受験校を選ぶ際には1度受験予定の学校の過去問をといて、問題の傾向が自分と合うかどうかよく確認しましょう。

受験生の中には、少しでも医学部に入れる確率を上げるためにたくさんの大学を併願する人もいます。10校以上受験すれば、「今回の試験はうまくいった」「たまたま前日に勉強してた問題が出た」という可能性も多くなるのは事実ですが、注意してほしいことは受験には受験料がかかるということと体力の消耗が激しいことです。

過密スケジュールは負担が大きいですが、併願校に受かったという安心感は何物にも代えがたいものでもあります。ご家族と相談して、経済的に余裕がある場合はできるだけ多くの大学を受験してチャンスを増やすことも視野に入れると良いでしょう。

また繰り返しになりますが、たくさん受けすぎてしまうと、試験の翌日が違う大学の試験だったり、短期間にたくさんの試験を受ける必要があったりと十分な休息を取ることが出来ず、本来の自分の力を出しきれない可能性もあります。

受験の直前は、受験生(特に現役生)が、最も学力が伸びる時期だと言われています。1校多く試験を受けるということは、毎日の勉強が1日減るとも考えられます。

どのようなスケジュールで受験するのが自分に合っているのかよく考えて出願しましょう。

合格したら、通いたいと思う大学を受けよう

ここまで、受験校や併願校の選び方や数の決め方について解説してきました。

ただ、ひとつ覚えていてほしいことは「行きたいと思える大学を受験する」ということです。

体験談を1つご紹介します。

『私の大学受験での後悔はここにあります。私は医師を志していたため、国公立大学入試の前期入試では医学部を受験しました。しかし、前期で合格できるだろうと甘く考えていた私は、あまり良く考えずに、後期入試では合格できそうな大学の、医学部ではない学部を受験しました。

結局前期では不合格となり、後期で合格した大学へ行きましたが、医師になる夢を諦め切れず、現在通っている大学の医学部への編入試験を受けることとなりました。結果として、現状には満足していますが、ここまでの道中では大変な思いをすることも多くありました。』

この記事を参考にして、第一志望だけでなく、併願校についてもよく考えてみてください

問題の出題傾向が似ている学校を併願校に選ぼう

併願校を選ぶ際には、問題の出願傾向が似ている大学を選ぶことで、1つの勉強で同時に複数校の対策ができます。ここからは英語の出題形式が似ている大学をご紹介します。

①注釈なしで医学部単語を出題する(東邦大・日大医学部など)

まず、このグループの大学の入試では、英語の長文問題で専門単語が多めの文章が出題されますが、注釈がほとんどありません。

例えば、

phobia(恐怖症)
nausea(吐き気)
diarrhea(下痢)

*東邦大(2005)より

など…事前に注釈なしだと知らず、医学系単語を勉強していないと、かなり苦戦を強いられそうです。

このタイプの大学を受けるのなら、医学部単語集はほぼ必須だと思います。

もちろん、普通の英単語集の優先度が高いのは言うまでもありませんが、『システム英単語メディカル』などの医学系単語集をやっておけば、ちょっと医学単語を見ただけでは焦らなくても済むようになります。

また、医系単語を眺めていると、大学で学ぶ医学のイメージがぼんやりと浮かんでくるメリットもあります。
どこの大学を目指せばよいか分からない方は、モチベーションUPのためにも、医学単語をやってみるのもありかもしれません。

 

②図表やグラフが出る(女子医・東海大(医)など)

次に、東京女子医科大学や東海大学医学部などは、英語の問題で図表やグラフを出題する傾向にあります。

女子医大
2019年:「睡眠不足」をテーマに、年代別の睡眠不足人口の割合や、国別の損失割合のグラフを読み取る
2018年:「辰年生まれ」の、出生率や学業成績との関係

東海大(医)
2020年:博物館の月別来場者数の棒グラフ
2019年:世界のダーツランキングの折れ線グラフ

国公立の医学部も志望している人にとっては、図表やグラフを伴う問題の対策をしておくことは、同時に共通テスト対策にもなります。もし不安な人はセンター試験や共通テストの過去問のグラフ問題を解くのもいいと思います。

このように、共通テスト対策にも私立大学の対策にもなる勉強から手をつけていくのも良いでしょう。

③大量の内容正誤問題が出る(東京医科歯科大など)

最後に、東京医科歯科大学は、英語で大量の「長文の内容正誤問題」を出題してきます。
参考までに、選択肢の数を挙げてみました。

・東京医科歯科大学
2024年度長文 [3] 24個(すべての正誤を答える)
2023年度長文 [3] 24個(すべての正誤を答える)

このタイプの大学には、長文問題集の記号問題を解いておきましょう。
早稲田や慶応など、医学部以外でも記号問題の多い大学の問題を解くのも方法の1つです。

気持ちの余裕を持って第一志望を受験しよう

いかがだったでしょうか。大学受験は体力勝負な面もあります。併願校は、第一志望に合格するためにもよく考えて、早めの段階からスケジュールを綿密に立てておくのがおすすめです!

併願校としてどこを受験するか、またどのくらいの数受けるかということはとても難しいと思いますが、第1志望校の前にどこか1つでも合格(出来れば最終合格)があると心の余裕が出来て落ち着いて受験できます。

ご家族や学校の先生、予備校の先生とよく相談して最善の結果をつかみ取りましょう!

ピックアップ記事

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

【2024年版】 現役医大生が選ぶ医学部予備校おすすめTOP5