医学部編入の生命科学攻略法

医学部入試情報

「医学部に編入したいが、さまざまな理由で、生命科学が不安」という方は、けっこう沢山いらっしゃると思います。本日は、「医学部に編入を考えており、生命科学の勉強方法を知りたい」という方のために、お役立ち情報をお伝えしていきます。

生命科学を突破するためにすべきこと
必勝の勉強方法はこれだ!

そもそも、生命科学とは何?

生命科学とは、医学部編入試験で、学力試験で英語と共に必ず課される教科です。名称は、大学によって様々です。一番簡単に生命科学を説明すると、「高校生物の基礎の上に、人体に関する学問分野を深めた教科」という事が出来るでしょう。高校生物に加え、大学1~2年レベルの分子生物学、神経科学、免疫学、組織学、生化学、生理学などが加わります。

また、医学部編入試験の学科試験は、大まかに言って次の3つのパターンに分けられますよ。

英語+生命科学

英語+生命科学+高校の物理化学

英語+生命科学+数学+高校の物理化学

基本的な事柄

医学部編入の試験問題には、多かれ少なかれ受験生を悩ませる奇問が含まれると言われております。さらに、出題範囲も難易度も、一般入試と比べて、年度や大学によって大きく異なっているのが事実です。そのため、対策方法に迷われる方も多いと思いますし、広範で複雑な試験対策が必要なように見えますが、単純にそう言い切れるものではないのです。医学部編入試験の過去問を解析した結果、どの大学も、高校~大学教養レベルの、複数校で複数回出題されている常識的な問題に8割程度の配点が与えられていることが判明しました。

学力試験で8割得点できれば、余裕で通過できると言えますから、まずは高校~大学教養レベルの、ごく一般的で普遍的な問題に太刀打ちできる学力を磨き上げることが先決ですよね。一般的で常識的な問題を完璧に解けるようにしておけば、はっきり言って充分合格できます。ただし、英語が得意で英語で点を稼いで医学部に入学した人の場合、入学してから生命科学や化学や数学の猛勉強が必要なので注意してください。

何事についてもいえることですが、「練習は本番のように。本番は練習のように。」という格言が医学部編入についても当てはまります。普段から欠かさず演習を続けることを習慣化するのが理想です。また本番であわてないよう、バラエティに富んだ問題が出題されてもスピードを持って解けるよう、さらに奇問が出題されても何とか対応できるよう、普段の勉強は、実際に手を動かして問題を解いていく「演習」ベースにしましょう。必要な問題集を1冊選び、本番で手を変え品を変えて出題されても問題なく対応できるよう、問題演習を繰り返して、完璧になるまで反復しましょう。

なお、医学部編入の過去問の入手方法については、以下の記事にまとめてありますので、参考にしてください。

では、どういう手順で対策すればよいか

  1. 過去問分析を徹底的に行い、どの分野を学習する必要があるかを決めます。なお、ここで分析する大学は1つに絞ることが大切です。
  2. 学力の到達目標を立てます。
  3. 1つの分野に対して、参考書を1冊だけ厳選します。
  4. 試験日から逆算して予定を立て、参考書を反復して演習していきます。1冊に絞った参考書を完璧にできたら、次の参考書に手を出します。
  5. 一次試験の1ヶ月前から、ひたすら過去問を解き続けます。同じ問題を、繰り返し解きましょう。

実際に勉強に手を付けてみる

『医学部編入のための生命科学演習』と『Essential細胞生物学』は医学部編入の生命科学対策に当たって、もはや「鉄板」とも言える定番の参考書なのですが、高校生物の知識が抜けているような初学者にとっては、上記の2冊は細かい部分に詳しい解説がなされすぎてきて、基礎的な骨格となる知識の吸収に苦戦するかもしれません。そんな方は、以下の4ステップ式の勉強方法を試してみてください。

 

(ステップ1)用語をマスターする。その科目に出てくる用語の意味を知る。

生命科学においては、高校生物と同じく、物理や化学に比べて、用語の正確で深い暗記が重要です。「リボソーム」「mRNA」といった専門用語の定義を覚え、基礎的な骨格となる知識を完璧にしましょう。医学部編入の生命科学では、生命科学では、生命科学でしか使われない専門用語が並ぶ文章を理解し、またそれらの専門用語を使って解答することが求められますよ。

具体的には、『プログレッシブ生命科学』という教科書を読みながら専門用語を定義をノートにまとめ、覚えきるまで読み直すようにしましょう。ただし、高校で生物を取っていなかった場合は、上記のテキストはレベルが高すぎます。『はじめの一歩の生化学・分子生物学』から取りかかりましょう。このステップでは、「用語のだいたいの意味をうろ覚えする」のではなく、「用語の正確な定義をスラスラと暗誦できる」レベルを目指しましょう。

 

(ステップ2)各事象を、正確に理解する。

生命科学でいう理解とは、たとえば「シグナル伝達、内分泌機構、疾病などの機序(=機能単位ユニット同士の相互作用と、その順序)を知ること」や「生体内の構造を立体・図として理解し、各パーツや箇所の名前を知ること」が挙げられます。

『プログレッシブ生命科学』のような教科書を熟読し、用語を確認・整理・暗記しながら、上記のような理解を進めていくことになります。具体的には、初めて出会った項目や、よく分からない点を、飛ばすことなく、理解できるまで関連諸項目を熟読し、他の文献・サイトなどに当たって複層的な理解を広げていく段階となります。

上述の、正しい知識と、正しい理解があって初めて、「得点」するための足場をかけることができると言えるでしょう。

 

(ステップ3)蓄えた知識と得られた理解を、反復演習を通して、脳に定着させる。

実際に手を動かして問題を解いて、知識漏れがないか、自分ではわかっているつもりなのに曖昧だった部分はないかをチェックし、曖昧な知識や曖昧な理解を明確にしていくのがこのステップです。

私は、ノートを使った勉強をお薦めしているので、専門用語と定義を整理したノートに、自分で1問1答式の問題をたくさん作って、完璧になるまで繰り返し解いてみるとよいでしょう。

 

(ステップ4)定着させた知識と理解を、実際の試験問題の題意に応じて、適切に記述できるようにする。思考力や考察力も高める。

このステップでは、

  1. これまで理解してきたことを、記述できるように訓練する
  2. 実戦形式の問題(問題集、模試、実際の受験問題)を解く

という2つの流れがあります。

前者は主に穴埋めや知識記述型問題、後者は実験考察型問題への対応になります。

方法1.は、「穴埋め・知識記述型問題の解答力強化を行う」「インプット知識を更に増強できる」という効果があります。特に知識記述型の出題を主に行う大学には、この訓練を重点的に行うことが有効になります。

具体的には、「過去問やプログレッシブ生命科学に記載されている重要なキーワード」を200字以内で正確に記述できるようにします。

方法2.は、「初見では解きにくい実験考察型の問題形式に慣れる」「考察力を強化する」などの効果があります。特に実験考察型の出題を主に行う大学には、この訓練を重点的に行うことが有効になります。具体的には、『医学部編入のための生命科学演習』を解いたり、KALSという予備校が実施する校外模試や実力テストを受けたり、実際の過去問を解いたりします。

 

いかがでしたか。主として生命科学に絞って話を進めてまいりましたが、英語と生命科学だけが学科試験の大学は、それぞれに1000時間以上の時間を割いて対策することをお薦めします(既存の学力により柔軟に変更可)。数学が苦手で、物理・化学に自信がないという編入試験受験生は、英語と生命科学だけが学科試験の大学を受けるので、その2教科に絞って集中的に対策しているため、その土俵の中で勝ち進んでいかなければならないからです。皆様のご武運をお祈りいたしております。

 

 

 

 

 

 

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