医学部の面接対策!絶対に押さえておきたい質問12選と回答例
医学部受験をする上で避けて通れないのが面接。
点数の割合が大きい場合もあるのに、対策としてやるべきこともなかなかはっきりしないのが面接。
医学部受験生なら誰もが頭を悩ませるでしょう。
大学によっては特殊な形態の面接があったり、頻繁に聞かれる質問があったりもしますよね。
しかし、面接対策で一番大切なのは、この受験生に自分の大学の学生になってほしい、と面接官に思ってもらうこと。そのためには自分の価値観や考えを面接官に伝えることが重要なのです。
本記事では、押さえておきたい質問と、回答についてお話ししていきます。
これらの質問を深掘りして考えることで、自分の価値観や面接のときに伝えたいことを明確にすることができます。
もし想定していなかったような質問をされても、慌てずに一貫した回答をできるようになるはずです。
Contents
質問1:医学部を志望する理由は?
よくある回答例
回答1「家族が医師だから医師になりたいと思った。」
回答2「昔病気になったときに助けてもらったことがあり、医師に憧れを持ったから。」
回答3「人の役に立つ職業に就きたいと思い、医師になりたいと思った」
実際、これらのような回答を初めに考えつく方は多いのではないでしょうか。ですが、このような回答は危険です。少し考えてみれば、どの回答にも論理の飛躍があることに気付けるのではないでしょうか?
ではまず回答1「家族が医師だから医師になりたいと思った。」から。受験生の多くは、医師ではない仕事に就いている家族がいます。
逆説的になりますが、医師の家族の存在を志望理由にしては、なぜ彼らはその仕事に就くことを目指さないのか?となってしまいます。
「家族が医師=あなたも医師を志す」とはなりません。
もちろん、家族に医師がいる人にとってその存在は、自分が医師を目指す大きなきっかけの1つであることは間違いないでしょう。
ですので、そこからより深く考えることが大切です。
どのような出来事がありましたか?
それに対してどう思い、どう考えたのでしょうか?
その結果なぜ医師を目指すようになったのでしょうか?
次に回答2ですが、これまで生きてきた中で助けてもらったのは医師だけではないはずです。
道に迷って警察官に助けてもらったり、虫歯になった時には歯医者さんにお世話になったりしたのではないでしょうか?
挙げればキリがありませんが、この回答ではやはり「なぜ医師なのか」という視点が足りていないと面接官に思われてしまうことでしょう。
とはいえこの回答自体がダメというわけではありません。
次のような質問を自分にしてみてください。
医師に助けてもらったことが自分にとって重大だったのはなぜですか?
助けてもらったことで何を考えて医師を志すようになったのでしょうか?
回答3も同じです。そもそもどの職業も人の役に立っているから成り立っているのです。
また、医療職だけでもたくさんの種類がありますよね。その中でも特に医師を選ぶ理由もよく考える必要があります。
・患者に寄り添いたい→看護師の方が物理的にも時間的にも患者に寄り添えます
・倒れた人に迅速に対応できる→通常は救急救命士の人がいち早く現場に駆けつけます
そこまで深く考えて医学部を志望していなかった、という人も多いでしょう。正直私自身も、受験生時代はそこまで突き詰めて考えられていたかと聞かれると自信がありません。
ですが、この質問の答えを自分なりにできるだけ明らかにすることで、受験勉強のモチベーションも上げることができます。
質問2:本学を志望する理由は?
この質問の答えは、自分の学力と見合っているから、というのが正直な答えになる人が多いでしょう。
それでも、どの大学でもほぼ確実に聞かれる質問であり、印象を左右する重要な質問でもあります。
・大学の所在地もしくはその地域に住んでいた、住んでいるから
・自分や家族がその大学の病院にかかった
・知り合いが通っている
以上のような理由がある方は一つの大きな理由として使えるでしょう。
それ以外の方は、パンフレットやHP、そのほかのインターネットからの情報を活用しましょう。
例えば、
・〜という施設に惹かれた
・〜というカリキュラムに魅力を感じた
・自分が将来目指す〇〇科が、附属病院で最先端の治療を行なっている
などの理由が挙げられるでしょう。
当たり前のことではありますが、面接官も人間です。いかに好印象に思ってもらえるかが重要なのです。
「この子はこの大学のことをよく知ってるな、入りたいと思ってくれているんだな」
と思ってもらうために(実際には第一志望でないとしても)しっかりとアピールできるよう準備しましょう。
質問3:併願校はどこですか?他の大学にも合格したらどこに行きますか?
この質問も、特に私立の医学部の面接では避けては通れない、受験生みんなが悩むポイントです。
全部言うべき?この大学よりも偏差値が高い大学も受験するなら正直に言うべき?
というのは多くの方が抱く疑問でしょう。正直に言うと、受験した大学よりも偏差値の低い大学を挙げた方が無難です。もしその大学が一番偏差値が低かった場合は、その大学と併願する方が多い大学名を答えましょう。
そしてこの質問の後に連続してよく聞かれるのが
全部受かったらどこ行くの?
という質問です。正直に違う大学だと答えたら印象悪いし、とはいえ第一志望ではない…と悩みますよね。
この質問に対して、2パターンの回答が考えられます。
まず、国立大学を併願校として挙げた場合。この場合、どちらも合格したら多くの受験生がする選択は国立大学への進学でしょう。
私は、この場合は素直に国立大学と答えて良いと思います。
実は私は実際にこの質問を私立大学の面接時に聞かれました。その大学の附属病院に長期入院をしたという比較的強いエピソードもあったため、私は「貴学に進学します」と答えました。それに対する面接官のことばは、「本当?どっちも合格したら国立に進学する人が多いと思うけど?」でした。
私は自分のエピソードを強調して乗り越えましたが、この経験から、一般的には国立大学と答えた方が自然で、むしろ印象を悪くしないのではないかと考えています。
二つ目のパターンは、私立大学のみを併願校として挙げた場合。この場合には「貴学に進学します」という回答で良いでしょう。
ここで考えていただきたいのは、この大学しか合格しなかったら自分はどんな選択をするか?ということです。
もしも他の医学部が全て不合格となり今回受験する大学のみ合格となった場合に、あなたはこの大学に進学しますか?
もし進学したいなら、迷いなく「貴学に進学します」と伝えるべきです。進学したいと思っているのにここでわざわざ印象を悪くする必要ありません。
質問4:自己PRをしてください
自己PRしてください、と突然言われてもすぐには答えられない方がほとんどでしょう。
しかも、単に長所を話せばいいというわけではなく、「自分が医師に向いていると思う資質」を答えるように準備する必要があるというのが難しいポイントです。
そもそも「PR」とは「パブリックリレーションズ」、日本語で言うと「広報」になります。「自分は〇〇という理由で医師に向いていますよ」と、自分を売り込む準備をしましょう。
先ほど、単なる長所を挙げても良くないという話をしましたが、わかりやすい例をあげると「きれい好き」は長所ではあるものの医師に向いている資質にはなりにくいですよね。
一方、例えば「コミニュケーションをとるのが好き・得意」であればいかがでしょうか。
医者は他の医療関係者と密に連携して仕事をする必要がある職業。十分な自己PRになりますよね。この時に説得力を上げるため、自分の過去の経験からの具体的なエピソードもセットで用意しておくようにしましょう。
また、自己PRできる点を2つ3つ挙げることがおすすめです。1つだけより複数ある方が面接官も質問しやすいですしアピールする機会がより多くなります。
質問5:臨床と研究どちらに進みたいですか?将来進みたい科はありますか?
これらの質問もよくされる一方で、答えに悩みますよね。
自分の将来進みたい科が決まっている人にとっては、答えを言うこと自体は簡単かもしれませんが、注意すべき重要な点があります。それは、安易な気持ちでその科を選んでいる、という誤解を与えないということです。
例えば、受験生の中には小児科医になりたいという方がいたとします。自分が幼い頃に大きな病気をして苦しんだから、などの具体的な理由がある方は比較的説明しやすいでしょう。
しかしここで「子供が好きだから」という理由を挙げたとします。もちろん小児科医に子供が嫌いな人はいないでしょう。しかし、痛みで泣き叫ぶ子供を相手に診療を続けたり、心配でオロオロしている家族をなだめたりと、大変なことが沢山あります。
受験生のみなさんは「なぜその科の医師になりたいと思うのか」をもう少しだけ考えてみてください。
より深い理由を考えられると、面接官も納得しますし、好印象を持ってもらうことができます。
決まっていない場合は、正直に「まだ決まっていません」で特に問題はありません。私自身、面接でこの質問をされた時はそのように答えました。
しかし、この場合にも注意が必要な点があります。それは、医師を志すこと自体の意義をあまり考えていない、と思われるような回答は良くないということです。少なくとも、初めに紹介した「医学部を志望する理由」に対する質問と矛盾がない答えを言えるようにしておきましょう。
質問6:最近気になった医療系・非医療系のニュースを教えてください
受験勉強で忙しい受験生がニュース頻繁にチェックするのは大変なこと。ですが、医療ニュースはもちろん、社会や経済の動きを知っていることは、将来医師や研究医などとして働く上で非常に重要です。
専門家のように多くを詳しく知っている必要はないですが、重大なニュースの概要はわかるようにしておくべきでしょう。
また、このような質問をされた時にすぐ答えられるように、2つずつほど準備しておくといいでしょう。
面接で医療系ニュースを1つ答えた後に「じゃあもう一つ教えてください」と言われた場合もあったようです。
話題になっているニュースを一つ、自分が興味を持てるニュースを一つ、受け答えの中で完全に言葉に詰まることがないように、ある程度理解しておくべきですね。
また、そのニュースに対する自分の考えも説明できるように準備しておきましょう。
この質問は特に、知識がないと全く答えられないことになってしまうので、注意が必要です。
質問7:最近読んだ本を教えてください
本!?受験生に読む時間なんてないよ!と思うかもしれまん。しかし、「ここで最近は何も読んでません」で終わると、それだけで質問が終わってしまいますし、なんのアピールもできずに印象が悪くなってしまいます。
ですので、本がテーマの質問をされたら話す本というのを1冊決めましょう。
このとき、本の題材は医療と関わるものである必要はありません。
大切なのはその本について、
・内容はどんなものか?
・何が印象的だったか?
・読んでどう考えたか?
・何を学んだか?
などを言葉で面接官に伝えることです。特に大切なのは、「どう考えたか?」や「何を学んだか?」です。
面接官は当然、受験生が最近読んだ本を自分も読んでみようかな、と思って質問しているわけではないですよね。
目の前の受験生がどのような考え方をする人なのか、もしくは、能動的に学べる人なのか、を知りたいのです。
また、「最近読んだ本」という質問に対して、マンガを挙げることはやめるべきです。もちろん、「作品」という質問であればマンガを挙げても問題ありませんが、面接官からの質問の範囲内で答える、というのが基本です。
質問8:理想の医師像は?
この質問に対して、自分が目指す医師像がもうすでにある人はそれをそのまま伝えればいいと思います。
思い浮かばない人は、なぜ「医師を志したのか」という原点に立ち戻って考えてみましょう。
自分が尊敬する医師がいれば、その医師の姿を抽象化して伝えるのもいいですね。
そしてここからもう一つ考えて欲しいのが
どうやったらそういった医師になれるのか?ということです。
こうなりたい、という姿があったとしても、それに向かって実行に移す人は本当に少ないのです。
だからこそ、どうすれば理想の人に近づけるのかというところまで考えている人は貴重で、面接官にとても好い印象を与えることができます。
ぜひ、自分の思いをうまく言葉にして面接官に伝えましょう。
質問9:尊敬する人は誰ですか?
この質問は
家族の事話していいのかな?世界の偉人とか有名な人をあげた方がいいのかな?
と困りますよね。
まず大前提として、尊敬する人に家族を選ぶのはやめましょう。
家族を尊敬しているというのは、端的に言って面接という場でのアピールになりません。
その理由は、あなたの価値観をアピールできないからです。
育ててもらったり、一緒に非常に長い時間を過ごしている家族を尊敬していることは特別なことではと考える人が多いのです。たとえ医師である家族の誰かに憧れて医師を目指していたとしても、この回答は避けるべきでしょう。
そして尊敬する人は必ずしも世界の偉人である必要はありません。
例えば、高校時代にお世話になった養護教諭などの身近な人でも良いでしょう。
こういった身近な人や、あまり功績が知られていない偉人について話す場合は、なぜ尊敬しているのかという理由に加え、その人がどんな人なのかをわかりやすく説明できるように準備しましょう。
質問10:体力はありますか?
これは医学部ならではのよくある質問です。
科によってもバラバラですが、日勤の勤務に加えて当直が月に何回もあったり、医師は体力がないと難しい職業ですね。実際、ドクターは運動をしている人が本当に多いそう。
質問に対する答えは、これまでに運動系の部活をされてきた人や自分で運動を習慣的に行っていた人にとっては、
「運動していたから体力には自信がある」
と答えれば大丈夫ですよね。
しかし、これまで運動部に所属したことがなかったり運動が好きとは思えない方もいらっしゃると思います。
しかし、「運動は好きじゃないし体力はありません」と言ってしまったら、ただただ印象が悪くしてしまうだけです。
そんな方は、
「これまではあまり運動をしてきませんでしたが、大学に入ったらテニス部に入りたいと考えています」
「体力がないことは自分でも問題だと感じているので、大学生になったらジョギングを習慣にするつもりです」
などのように、(本当か嘘かは一旦置いておくとして)今後体力をつけていきたい、という意思を伝えるのが効果的な回答です。
質問11:受験会場に向かう途中で目の前で人が倒れたらどうしますか?
この質問はあなたの倫理観を問いていますね。これに対して「何もせずに一次試験に向かう」と答えたら、さすがに面接官を悪い意味で驚かせてしまうでしょう。
では、どのように答えるのが良いのでしょうか?みなさんはどう答えますか?
おそらく多くの方が「声をかけて救急車を呼んだりAEDを持ってきたりして対処した後に入試に向かう」などのような回答を思いつくのではないでしょうか。
そうですよね、自分にできる最善の選択を考えた結果、そういった答えに至りますよね。
しかし、ここで揺さぶりをかけてくる面接官もいます。
「一次試験、まだどこも合格してなくてここが最後の試験だったらどうする?」
かなり意地悪な質問ですよね。
この質問に対してもさまざまな回答が考えられるでしょう。
・とにかくひと段落つくまでは離れない。
・周りの人にバトンタッチする
・救急車が来るまでその場にとどまる
受験生の心を揺さぶるような質問が来た時はまずは慌てずに、頭の中で思いつくだけ対策をあげるてみてください。
そして、こういった思考力や判断力を問うような質問に対する事前のイメージトレーニングはしておくべきでしょう。
受験生は医学的知識がないことは面接官もわかっていますし、高度な知識を使った答えは求められていません。
それよりも、例えばこの問題であれば誠意を尽くして目の前の困っている人に対応できるような答えが出せるか、というところが重要です。
さまざまな大学で倫理観を問うような質問がされています。自分ならどう考えるのか、それを深く考え自分なりの答えをいくつか持っていることが自分の考えの柱にもなってきます。
ぜひ、事前に面接の過去問をいくつか解いて自分らしい答えを導き出しましょう。
質問12:あなたが医師なら、認知症のがん患者への告知をしますか?
こちらも実際に医学部で面接時に質問されている内容です。
あなたが医師ならどうしますか?本当に難しい内容ですよね。
専門知識もない自分がどうやって答えを導けばいいのか…と頭を抱える方もいらっしゃると思います。
ですがここで肝心なのは誰のための医療なのか?ということです。
もちろん医療は患者さんのためにあります。でも、いつも患者さんのそばにいる家族のためにも医療というのは存在します。患者にも家族にも誠実に対応することが医師への信頼につながり、医療の可能性を広げてくれます。
告知するにしても、しないにしても、「なぜそう考えたのか?」といったところを深く突き詰めて答えましょう。
面接対策の他に、小論文対策としても医療倫理について勉強する機会があるでしょう。それらの勉強を通して、このような質問に対する自分の考えを深めていきましょう。
とはいえ、倫理を問う質問には正解はありません。実際には大きく医療倫理の原則から外れるような回答をしなければ大丈夫でしょう。本番でこのような質問をされたときは、落ち着いて考えてくださいね。
早めに面接対策を始めて考えを深めよう
今回は、医学部の面接でよく聞かれる質問と、それらの質問への対策としてすべきことを紹介しました。
医学部を志望する理由については、「なぜ医学部でなければダメなのか」を論理的に説明できるようにしておく必要があります。
自己PRや理想の医師像などについての質問も、その場で考えつくのは至難の技でしょう。
また、「本学の志望理由」や気になるニュース、本については、事前に知識を持っておかないと答えること自体が難しくなってしまいます。しっかりと準備しておくことが大切ですね。
さらに、倫理観を問う質問に対しては、典型的な質問に対する回答の練習や医療倫理の勉強をすることで対策していきましょう。
面接は自分のことを知ってもらう場であり、他人によって評価される場でもあります。落ち着いて、論理的でいること、そして面接官が何を知りたくてその質問をしているのか考えて対策することで、必ず好印象を与えることができます。
忙しい受験勉強に加えて面接対策をするのは大変ですよね。
長時間をかける必要はありませんが、面接が足を引っ張ってしまうことがないように、そしてできれば面接官に「この人に入学してほしい」と思ってもらえるように、面接対策をしていきましょう。
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