大学受験時の内申書(調査書)の影響とは?失敗しない内申点の上げ方も解説
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調査書でどんな高校生活を過ごしたのかが分かる
現役生は、学校のホームルームなどでアナウンスがされると思いますが、調査書とは高校生活をどのように過ごしていたかを完結にまとめた書類のことで、大学受験の申込の際に願書と一緒に提出することが一般的です。
大学によっては、調査書が評価項目に入ってくることもあるので、内容はもちろんのこと、提出期限に遅れないことが何より大切です。
調査書について
簡単に言えば調査書とは、受験生の高校生活について様々な側面から捉えた内容を記載した書類のことです。各科目の成績や授業態度を基に点数化したものである「内申点」が記載されていることから、「内申書」とも言います。
調査書の内容
調査書には、高校3年間の成績や学習姿勢はもちろんの事、課外活動への取り組みや出席日数・さらには取得資格や表彰歴などといった受験者がどんな高校生活を送ってきたのかが記載されています。
高校生活と大雑把に言っても、その中身は定期テストの成績や課外活動、留学など様々です。この中でも、多くの受験生が気にしていることは、おそらく定期テストの成績についてでしょう。受験勉強をする上で、学校の勉強にどれだけ力を注げばよいかは重要なポイントですよね。
ここで大切なことは、現役生と浪人生によって内容が異なってくるという点です。定期テストの成績や出席日数ついては、調査書を請求する時期によって異なりますが、現役生は高校1年生から高校3年生の1学期末または2学期末までの内容が記載されることが多いようです。一方で浪人生は、卒業した段階で全ての成績が出揃っているため、高校3年生の3学期までの成績が記載されます。
調査書のフォーマットは、文部科学省によって全国の高校で統一されています。具体的なフォーマットについて興味のある方はこちらをご覧ください。
ここからは、調査書に記載される内容を具体的に解説していきます。
調査書に記載される内容は以下の通りです。
①氏名、生年月日、住所、在学中の高校といった個人情報
②各教科・科目の学習の記録(1年次〜3年次)
③各教科の評定平均値
④本人の成績評価(A〜Eの5段階)と学年全体の評価分布
⑤総合的な学習時間の内容・評価
⑥特別活動の記録
⑦指導上参考となる諸事項
⑧備考
⑨出欠の記録
②各教科・科目の学習の記録 について
この項目においては、高校1年生から高校3年生までの各教科・科目で習得することができた単位数が記載されています。高校卒業のためには、基準以上の単位を習得している必要があるため、この項目は卒業資格の判定に非常に重要です。
③各教科の評定平均値 について
この項目では、各教科における成績を5点満点で評価したものが記載されています。受験生が高校生活において、どのような成績を収めていたのか把握する重要な指標となります。このような観点から大学側にとっては、卒業資格があるかどうかの次に重要視するポイントになってきます。実際、推薦入試において、出願条件として評定平均の下限を設けたりしていることからも、その重要性が読み取れることかと思います。
⑤総合的な学習時間の内容・評価 について
そもそもここで言う「総合的な学習」とは、高校の授業などで学んだことのうち、生徒の今後の生活や成長に関連した事柄を指します。記載される内容は、高校によって異なるため一概には言えませんが、普段の授業や行事にしっかり参加していれば十分量の内容を記載してもらえます。
⑥特別活動の記録 について
ここには、委員会の役員を務めた記録などが記載されます。
⑦指導上参考となる諸事項 について
⑥の内容に付随して、ここではより詳しく受験生の取り組んだ事柄が記載されます。具体的には、性格や成長、部活動や課外活動、所得資格・検定などが細かく書かれます。
なお、調査書の内容は2025年の大学入試から変更となりました。上記の文部科学省のサイトで確認しておくことをオススメします。
調査書で見られる主な要素
大学受験をする際には、必ず受験する大学ごとに調査書を送る必要があります。その根本的な理由は、ちゃんと無事に高校を卒業してくれるかどうかにあります。高校を卒業するためには、高校3年間で修得すべき単位数を満たしていることと最低限の出席日数を満たしていることの2つが大きく求められます。大学受験において好成績を納め、どれだけ大学側がぜひ入学してほしいと懇願したところで、高校を卒業しなければ大学に入学する資格は与えられません。万が一そういった事態にならないためにも、調査書をもとに大学入学の基準を満たしているか判断しているのです。
一般入試においては、受験生数の多さなどの理由から、上記の内容を確認するに留まっている傾向にあります。
しかし、一部の大学においては調査書の内容を点数化し合否判定の要素として加えることもあります。一方で、推薦入試においては調査書の内容を合否判定の要素として重きにおく傾向にあります。
医学部受験においては、提出した調査書をもとに面接が行われる学校もあります。
内申点が悪い評価の教科があると、「〇〇の教科が苦手みたいだけどなぜ?どうやって克服したの?」などと聞かれることもあります。
また、欠席日数が多い場合は要注意です。医学部は勉強や実習が大変なので体力が必要になってきます。そのため、欠席日数が多いと「欠席日数が多いが医学部でやっていけるのか?」ということを面接で問われたり、面接1回のところが2回となり細かいことを質問されるようになります。なるべく欠席はしない方が良いでしょう。
いつ提出するの?
調査書は基本的に、出願の際に願書やその他の書類(推薦書、志望理由書など)と同封して、大学に発送します。そういった理由から調査書は、出願締切の期日までに用意して提出する必要があります。国公立大学の一般入試では、1月下旬から出願開始となることが一般的です。しかし私立大学においては12月から始まることも多く、推薦やAO入試を考慮するならば更に早い時期に出願しなければいけないケースも多々あります。このような観点から、あらかじめ自分が出願する可能性のある大学・受験形態で出願時期を把握しておき、前もって準備を進めておくことが大切です。また、近年ではネット出願が一般的となってきており、その場合においては、web上で願書を提出したのち、改めて調査書を含めた書類を郵送で送るケースがあります。この場合、願書締切と必要書類の提出期限が異なる可能性があるので、そういった部分も含めて前もって調べておきましょう。
一般入試
ほぼ全ての大学で行われる一般入試ですが、こちらは共通テストの成績や各大学の入学試験の成績を重視される傾向にあります。また大学によっては、そこに面接点や小論文の点数、内申点が付属して影響してきます。
例えば、金沢大学医学部は、共通テスト450点・個別学力試験900点・面接点150点で評価され、さらに募集要項には、ボーダーラインにいる受験生に対してのみ内申書をもとに点数調整を行うという内容が記載されています。上記のように、一般入試においては学力試験の成績に重きを置かれるため、内申点はあくまで参考としての扱いにとどめられることが多いと考えてよいでしょう。
公募推薦入試
公募推薦入試は、総合的な受験生の評価に重きを置くため、共通テストの点数や内申点・面接・グループディスカッションなど様々な評価対象が設けられています。大学によっては、受験条件として現役生に限定したり内申点に下限を設けていたりと、一般入試と比較すると内申点の影響は大きくなってきます。公募推薦入試の利点としては、受験資格を満たせば誰もが受験可能であり、もし仮に公募推薦入試で不合格となってしまった場合でも一般入試を受験することが可能です。
指定校推薦入試
指定校推薦入試は、大学側から各高校に対して募集をかけて、高校から選ばれた優秀な学生を対象に推薦入試を行うものです。各高校で推薦に出せる生徒人数が限られるため、志願者の中で選考する必要があり評価項目として内申点が重要視されてきます。そのため、指定校推薦入試を視野を入れる場合は特に、高校から選考してもらえるように内申点は常日頃から意識しておく必要があります。
内申点を上げるためには授業以外も大切
前述したように自分の志願する受験形態によって何が重視されるのか、前もって把握しておくことはとても大切です。ここからは、内申でよい印象を与えることを視野に入れて受験に望む受験生に向けて、どのようにすれば内申点を上げることができるかをお伝えしていこうと思います。
学校の授業をしっかり受ける
定期テストでしっかり高得点を維持することはもちろんの事、提出物や授業態度・出席日数も評価対象となることがほとんどなので、それらをしっかりこなしておくことが大切になってきます。とはいえ、多くの受験生は、焦る気持ちから学校の授業をおざなりにしてしまう傾向にあります。このような場合においては、学校の授業も立派な受験勉強になっていることを理解して、一環して励むことができれば効率的に内申に結びつけることができるでしょう。
積極的に課外活動に取り組む
学校生活の評価内容として、授業の評定平均だけでなく、それ以外の活動性も重視される傾向に近年なりつつあります。その観点からも、部活動やボランティアをはじめ、役員活動や留学など、勉強のできに加えた大きなアピールポイントをもっておくことが大切です。これは書類選考に影響してくるだけでなく、面接の場においても面接監督に対して良い印象を強く残すことができ、とても効果的です。また、課外活動に取り組むことで自分の視野を広げるきっかけにもなり、人としての深みも圧倒的に増していきます。それらの観点からも、高校生活で勉強以外にも課外活動などにしっかり取り組んでおくことが大切になってきます。勉強の邪魔とは考えず、課外活動は必ず自分の成長に直結してきますので、楽しんで取り組みましょう。
調査書の提出締切と出願締切はほとんど同じ
前述の通り、調査書は、大学受験の出願の際に必要な書類です。そのことから、調査書の締め切りは、出願締め切りとほぼ同じタイミングと考えてよいでしょう。以上のことから、大学の系統、受験形態別におおまかではありますが、調査書の締め切り時期をまとめていきたいと思います。
国公立大学・一般入試
国公立の一般入試は前期/中期/後期に分かれています。国公立大学の入試日程は全国共通になっており、2025年度における前期入試は2月25日〜、中期入試は3月8日〜、後期入試は3月12日〜となっています。ここで要注意なのは、前期/中期/後期のどれを受けるかに関わらず、出願期限が2月5日までという点です。後期受験は、前期入試の結果を見てからの出願ができないことに注意しましょう。
私立大学・一般入試
私立大学は、大学によって入試日程や出願期限が異なってきます。そのため、一概には言えませんが、私立大学の一般入試のピークは2月上旬〜中旬で、出願締切は1月上旬〜中旬となっています。また私立大学の後期試験は、出願締切が2月下旬に設定されていることが多く、国公立/私立大学の前期試験の結果を見てから出願することが可能になってきます。
国公立/私立大学・総合型選抜(AO入試)
総合型選抜入試は、一般入試より早い時期に行われます。私立大学では、大学によって8月〜12月の期間で出願・入試を受け入れている傾向にあります。国公立大学は、それに比べると比較的遅く、9月〜1月の期間となっています。総合型選抜において大切なのは、出願の前にエントリーの手続きをしなければならないことです。エントリーの形態は大学によって様々なので、事前に確認しておきましょう。
国公立/私立大学・学校推薦選抜
学校推薦選抜においては、多くの場合、11月から出願を開始し、11月〜12月に選考、12月〜に合格発表というスケジュールになっています。学校推薦選抜では、まずそもそも、高校内で推薦枠に入れるかどうかが重要になりますので、調査書以外にも前もって動き出しておきましょう。
事前に必ず確認を
ここまで、出願日程や入試日程について、おおまかに提示してきましたが、年度や大学によって詳しい日程は異なってきます。ですので、おおまかな受験スケジュールを把握しておき、少なくとも出願開始時期の1〜2ヶ月前には大学の募集要項やHPなどで詳細な日程を確認しておきましょう。
私立大学の一般入試は冬休み期間に出願可能なので、学校がある期間に学校に調査書の申請を行なっておくと出願時に慌てずに済みます。
発行の手順
調査書の発行に関しては、まず事前に担任の先生や進路指導の先生に、必要な枚数と受験する大学の記載した書類を提出しておくことが必要です。浪人生の場合、高校に伺える機会がそもそも少ないので、メールや電話などで担当の先生に連絡をとっておきましょう。書類を提出したら、担当の先生が調査書の内容編集・大学への宛名書きなどを行います。それら全ての作業が完了したら、発行完了の連絡がありますので受け取りを行いましょう。発行にかかる費用は学校によって異なるので予め聞いておくと良いでしょう。
調査書の請求方法や受け取りの方法は全てオンラインや郵送で完結できる場合もありますので、学校に連絡をとって確認しましょう。
また、後から追加で調査書を発行してもらうことは出来ますが、申請してから再度発行するのに時間がかかってしまうため、前もって自分が受ける可能性のある大学はなるべく全て申請しておきましょう。
発行にかかる期間
調査書は、申請されてから発行手続きを行うため、1週間〜2週間ほど時間がかかります。そのため、手遅れで出願締切に間に合わなかったということがないように、前もって出願期間を確認しておき、出願開始の少なくとも1ヶ月前には申請しておきましょう。
内申点が良いと受験が有利に進む
調査書一つとっても、前もって確認しておくことや申請が必要になってきます。大学受験は特にスケジュールに追われがちになってしまいがちですので、前もって下調べを行い、自身が必要とする時期までに調査書を受け取ることができるようにしましょう。
「内申」と一言で言っても様々な内容が関わってきます。大学受験を軸に考えるならば、自分が受ける予定の入試形態に沿って前もって計画的に高校生活を送っていくことが大切になります。
内申が良ければ、推薦受験に出願することもでき、受験がより有利になることは間違いありません。一方で受験勉強にかける労力を軸で考えると、課外活動や学校の授業にかける時間や労力は優先度の低いものになってしまいます。
医学部受験においては、調査書をもとに面接が行われる学校もありますからクラブ活動やボランティアなど授業以外のことを頑張ったり、欠席せずに学校に行くことが重要になります。
以上のことから、今の自分にとって何が大切で何を優先すべきなのか一度分析してみて、ぜひ有意義に高校生活を送りましょう。
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