入りやすい私立の医学部はある?偏差値と科目数から考える!

医学部コラム

「医者になりたい!」と思ったら、現在の日本の制度では医学部に入学するしかありません。
しかし、医学部はどこも偏差値が高く、浪人したり、高い授業料を払って医学部専門予備校に通うのが当たり前という世界。

 

「学校にはこだわらないから、とにかく医学部医学科に入りたい!」と思ってもなかなか難しいのが現状です。
そこで気になってくるのが「入りやすい医学部ってないの?」ということ。

 

医学部選びに困っている人は、是非参考にしてみてくださいね。

 

入りやすい医学部はない?

 

最初に言ってしまうと、「誰でも簡単に入れるような医学部医学科」はありません。
一番簡単、と言われる医学部でも理系上位の学部学科と同じくらいの偏差値が求められますし、それなりの努力と勉強量が求められます。

 

しかし、医学部医学科の中で比較してみれば、比較的他の医学部よりは入学しやすい学校は存在します。
そこで今回は、「偏差値」「科目数」から、入りやすい私立の医学部医学科をご紹介します。

 

偏差値が低い医学部

 

まず「入りやすい大学」といったときに思い浮かぶのが「偏差値が低い大学」です。
私立では偏差値70の医学科も多くある中、偏差値65以下で比較的難易度が低いとされているのが以下の大学です。

 

偏差値 大学 学費(6年間)
60.0 川崎医科大学 47,365,000円
62.5 聖マリアンナ医科大学 34,732,000円
北里大学 39,528,000円
埼玉医科大学 39,570,000円
獨協医科大学 37,300,000円
岩手医科大学 35,286,000円
近畿大学 35,827,000円
65.0 東京女子医科大学 46,214,000円
東海大学 35,306,200円
帝京大学 39,380,140円
杏林大学 37,590,700円
国際医療福祉大学 19,190,000円
東北医科薬科大学 34,007,800円
金沢医科大学 40,543,000円
愛知医科大学 34,350,000円
藤田医科大学 30,526,000円
兵庫医科大学 37,600,000円
関西医科大学 28,140,000円
久留米大学 36,378,000円
福岡大学 37,738,260円

 

日本の医学部医学科の中で最も簡単なのが川崎医科大学。
浪人生の割合も多く多浪にも優しい大学ですが、偏差値が低い理由は「学費」です。

 

私立医学部は平均してどの学校も学費が高いものですが、中でも川崎医科大学は6年間で4700万超えと突出しています。
日本で一番学費の高い学校なので、そもそも学費を払える人が「開業医の子女」など金銭的に余裕のある層に限られてしまいますし、もし川崎医科大学と他の医学部に合格したら、ほとんどの人が他大学を選びます。

 

川崎医科大学は「学費が払えるなら、とても入りやすい学校」と言るでしょう。

 

川崎医科大学だけでなく、私立の医学部の場合は「偏差値と学費が反比例する」傾向があります。
順天堂大学や慶應義塾大学、日本医科大学など偏差値の高い学校は(医学部の中では)学費が安く、偏差値の低い大学は学費が高いのが通常です。

 

例外として、国際医療福祉大学は私立医大の中では最も安く、6年間で2000万円以下となっています。
ただし、国福は英語が難しく、また配点が他大学より大きいのが特徴。
見た目の偏差値以上に英語の能力が必要になります。

 

偏差値60ってどれくらい?

「偏差値の低い医学部はわかったけど、実際その難易度はどれくらいなの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
有名な私立大学の理系の偏差値と比べてみると、おおむね以下のようになります。
(学科や入試方法によって、偏差値はやや前後します)

 

偏差値 大学
60.0 上智大学
東京理科大
中央大学・法政大学・明治大学・同志社大学・青山学院の一部
62.5
早稲田大学(教育学部の理系)
慶応大学(薬学部)
65.0 早稲田大学
慶応大学

 

医学部の偏差値の表と私大の理工学部系の偏差値を見比べてみると、「偏差値帯が1つ変わるとどれくらい難しくなるか」が分かりやすいのではないでしょうか。

 

もちろん学部や大学によってテストの配点や難易度、必要科目などは違いますし、医学部以外では面接や小論文などは課されません。
ですから単純に「私立上位理工学部と偏差値低めの医学部は同じくらいの難易度!」とは言えませんが、「医学部の難易度がよくわからない!」という時には参考にしてみてください。

 

科目数が少ない医学部

 

医学部の入試科目は「英語/数学/理科2科目」がスタンダード。
しかし、中には理科が1科目でもいい、あるいは数Ⅲがいらないという大学もあります

 

1科目分の勉強そのものが不要だったり、受験勉強の中でウエイトの大きい数Ⅲをやらなくていいとなったら、かなり勉強の負担が減るため受験しやすくなります。
こちらも試験対策しやすいという意味で「入りやすい大学」と言えるでしょう。

 

《試験科目が少ない、あるいは数Ⅲが必要ない大学》
・帝京大学(3科目・数Ⅲなし)
・東海大学(3科目)
・近畿大学(数Ⅲなし)
・金沢医科大学(後期)(2科目・数Ⅲなし)
・兵庫医科大学(一般B)(2科目)

ただし、これらの医学部に合わせて勉強する科目の取捨選択をしてしまうと、ここ以外の医学部は受験できなくなってしまいます。
科目数を減らすときは、併願校のことまでよく考えてからにしましょう。

 

・帝京大学
帝京大学は、試験科目が「英語」と、「数学(数Ⅲなし)・物理・化学・生物・国語(古文/漢文なし)」から2科目を選択すればOKという珍しい形式。

 

私大の中では唯一数学なしでも受験が可能
代わりに国語が選択可能なので理転した人には嬉しい学校です。

 

帝京大学の入試は毎年3日の間行われるのも特徴。
受験者は3日間のうち好きな1日を選んで受けられるので、他大学との日程のかぶりを気にするひつようがありません。
3日間全部、つまり3回入試を受けることもでき、その場合は最も高い点数が合否判定に使用されます。

 

余裕を持って受験できるので、緊張しやすい人なども実力を発揮しやすい試験形式と言えるでしょう。

 

・東海大学
東海大学は、「英語」「数学」「理科1科目」で受験できるタイプの医学部医学科です。

 

帝京大学と同じように入試日が2日あり、どちらを受験しても、また両方とも受験してもOKとなっています。

 

・近畿大学
近畿大学はスタンダードな「英語/数学/理科2科目」タイプの受験科目ですが、数Ⅲが受験範囲にありません
微積が特に苦手!という人には嬉しい大学です。

 

・金沢医科大学(後期)
後期のみですが、金沢医科大学は「英語」「数学(数Ⅲなし)」だけで医学部医学科の受験が可能です。

ただし後期なのでその枠は10人しかありません。
2021年は、その10人の枠に1,425人もの受験者がいたため、かなり狭き門と言えるでしょう。

 

・兵庫医科大学(一般B)
兵庫医科大学の一般B方式の入試方法では、大学に行って受験するのは「数学」と「理科1科目」です。
ただし、こちらの場合は出願要件として英語の外部試験(英検2級以上目安)が必要となるため、英語を勉強しなくてもいいわけではない点に注意が必要です。

英語の外部試験を早めに受けておけば数学と理科の勉強に集中できますし、外部試験は何回も受けられるため、余裕を持って受験できるでしょう。

 

付属校なら90%医学部に行ける!?

 

もし「どうしても医学部には行きたい、でも受験は避けたい」と思うあなたがまだ中学生であれば、「付属校」という選択肢もあります。

 

通常は大学の付属校や指定校推薦を持つ学校でも、医学部の推薦枠を勝ち取るのは容易ではありません。
指定校推薦の場合は、「入学したときには推薦があったのに、先輩が何かやらかして(退学や成績不振など)で枠がなくなってしまった!」ということもままあります。

 

しかし、川崎医科大学の付属高校であれば、川崎医科大学への進学率が9割となっており、ほぼ確実に川崎医科大学に進めるのです。

 

全寮制なので日本全国どこからでも進学できますし、「ドクターロード」という大学の先生の講義を聞いたり、体験実習をしたりして高校生のうちから医学に触れる機会もあります。

 

とても魅力的な高校に聞こえますが、やはりネックになるのは高い学費。
高校3年間で1500万円以上、大学6年間まで考えると6000万円以上かかります。

 

私立高校は平均でも3年間で300万円程度の学費であることを考えると、その5倍以上。
全寮制であることを差し引いても、高いと言えるでしょう。

 

自分にとって入りやすい大学を考えよう!

過酷な争いである医学部受験を勝ち抜くには、少しでも入りやすい大学を狙うのも大切な戦略。
一般的には偏差値が低い大学が入りやすくなりますし、科目ごとに得意不得意が大きく分かれるタイプなのであれば、科目数が少ない大学のほうが有利になり、合格しやすくなるでしょう。

 

今回紹介したポイント以外にも、大学ごとの問題傾向をチェックすることなどから「入りやすい大学」を見つけられます。
自分にとって解きやすい問題を出す大学、逆に解きにくい問題が多い大学などがあるはずです。

 

自分にとって合格しやすい大学を見つけて、少しでも入りやすい医学部を狙いましょう!

 

 

 

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