ドーパミンによって勉強がはかどる?ドーパミンの作用を分かりやすく解明!

医学部コラム

勉強のやる気がない、、。勉強と関わる物質って何かある?

勉強のやる気が出ないことってよくありますよね。特に毎日の勉強を続けると体が重くなってきて次第に集中力がなくなりスマホを眺めていることありませんか?

受験勉強や課題があったり、テスト対策では時間は待ってくれないから今勉強しなくてはいけない、、、。そんな時は勉強のやる気が出るものがあったらいいなとつい考えてしまいます。でも人間の体には勉強の意欲と関わる物質があります。これがドーパミンです。

ドーパミンとはどんなもの?

ドーパミンって聞いたことはあるけれどもよく知らない、、、という人も多いのではないでしょうか。ここではドーパミンが何かについて解説していきます。

ドーパミンは神経伝達物質の1種です。神経伝達物質とはニューロン同士やニューロンと効果器の情報伝達を仲介しています。またニューロンは脳を構成する神経細胞で何らかの刺激が起こるとそれを電気信号に変換し、隣接するニューロンへ伝える役割を持っています。

ドーパミンはその中でも重要な役割を果たしており、脳内でのさまざまな機能に関与しています。具体的には、ドーパミンは快感や報酬系、運動調節、注意力や学習、感情などに関連しているとされています。

ドーパミンの異常な分泌や受容体の機能異常は、さまざまな神経精神疾患や中毒症状に関与することが知られています。

ドーパミンは一体何からできている?

ドーパミンの原料はチロシンという物質です。チロシンってなんか聞いたことあると思った方もいるかもしれません。チロシンは非必須アミノ酸の1つでアドレナリンやノルアドレナリン、甲状腺ホルモンの原料でもあります。

チロシンからどうやってドーパミンになるのでしょうか?チロシンはまずチロシン水酸化酵素によってL-ドーパという物質になります。その後Lードーパという物質はドーパ脱炭酸酵素によってドーパミンとなります。

 

ドーパミンと脳の関わりについて解説

ドーパミンは神経伝達物質で運動や学習、意欲に関わりがあることはわかったけど具体的にどんな風に関わっているか気になりますよね。

ドーパミンを神経伝達物質として放出するニューロンであるドーパミン作動性ニューロンは脳の黒質緻密部という部分に集まっています。

これは運動にかかわる線条体という部分に投射しています。線条体にはドーパミンを受け取る受容体のD1受容体、D2受容体が発現していて、D1受容体を受け取る直接路、D2受容体を受け取る間接路があります。

ドーパミン作動性ニューロンは直接路の興奮、間接路の抑制をしバランスを保っています。ドーパミン作動性ニューロンの変性による病気がパーキンソン病です。パーキンソン病は振戦や姿勢異常、筋の固縮が起きる病気です。

では、学習との関連についてです。ドーパミンがもたらす勉強意欲のほうはどうでしょう?

中脳の腹側被蓋野から内側前頭前皮質や側坐核に投射するドーパミン作動性ニューロンが報酬系をつかさどっています。

報酬系については1950年代にOlds&Milnerらがラットの脳に電極を埋め込み、ラットがレバーを押すと脳内に埋め込まれた電極に短い電流が流れる実験から発見しました。

この実験でえさなどの報酬がなくてもラットがずっとレバーを押しつづけるようになったことから上記の部分が快刺激、つまり報酬につながっていることが分かりました。

投射している側坐核は報酬や快感、意欲、嗜癖、恐怖に重要な役割を持つ部分です。

ドーパミンとやる気との関係

最近の研究では、ドーパミンとやる気の関係についてもわかってきました。
ドーパミンの受容体にはD1、D2の型があります。報酬が期待できる場合にやる気が生まれるのはD1、D2の両方の受容体によるものですが、労力がいるとわかっていても頑張るためのやる気を生み出すのはD2受容体へのドーパミンの作用が必要であるとわかってきました。

(出典:「ご褒美がもらえる」と「大変だけど頑張ろう」の2つのやる気システムを解明

上記のように、ドーパミンには報酬が期待できない場合でもやる気を出す作用がある部分があというのは驚きですよね。
特に受験生は成績が上がらないかもしれなくても勉強しなくてはいけないの時もあると思います。また受験生でなくても、やらなくてはいけない仕事や課題などに追われることもあります。ぜひこの効果によってやる気を上げて毎日頑張りたいですね。

気になる!ドーパミンを増やす方法は?

ドーパミンを増やす方法は皆さんが1番知りたいところだと思います。でもどうやって増やせばいいのかよくわかりませんよね。

ニューヨーク大学でおこなわれた研究では以下のことが示されました。

自発的なホイールランニングまたは非活動の30日後のマウスにおけるドーパミンシグナル伝達を比較しました。

ランナーマウスでは、線条体(運動野)でのドーパミン放出が電気刺激に反応して増加したが、座りがちなマウスでは変化がありませんでした。ドーパミン放出の増加は、運動が終了してから1週間後も残っていた。

Rink de Diet https://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3Fdb=NEWS.fp5&Format=detail.htm&kibanID=77920&-lay=lay&-Find.html より

THE JOURNAL OF NEUROSCIENCE Voluntary Exercise Boosts Striatal Dopamine Release: Evidence for the Necessary and Sufficient Role of BDNF  より

この研究からドーパミンが運動によって放出が増加することが分かりました。特に運動した場合はドーパミン放出が持続するというので毎日少しずつでも運動していきたいですね。

ドーパミンの作用を意識しつつ勉強してみよう

ドーパミンは快感や報酬系、運動調節、注意力や学習、感情などに関連していて、私たちが勉強する際にも大きな役割を果たしています。特に勉強のやる気を出す役割は大きいのではないでしょうか?時には運動などを取り入れつつリフレッシュしながら頑張って毎日勉強していきましょう。

参考 カラー版 ベアー コノーズ パラディーソ 神経科学 脳の探求 改訂版 マーク・F・ベアー (著)          カラー図解 人体の正常構造と機能 改訂第4版 坂井建雄 河原克雄 編集

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