医者の年収は今後減る? 医者の今後を分析!

医学部コラム

医者は儲かると聞きませんか。医者の平均年収は約1467万円、日本の平均年収を大きく超えます。しかし、今後どうなっていくのか。

今回は、医者の年収が今後減るのか、増えるのか、分析していきます。

1.働き方改革、医者の数は増える、今後医者は儲からないのか?

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医者の年収は今後減っていくのか。医者の年収が今後減っていく理由を分析しました。

①医師の絶対数が増えた

よく日本は医師が少ないと聞きませんか。例えば、OECD30ヶ国のなかで比べてみます。OECDの人口1000人あたり医師数の平均値は3人ですが、日本は2.1人です。しかし、実際のところ医師は増え続けています。以下のグラフを見てください。

*厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計(調査)」から作成。医育機関の臨床系以外の大学院生および勤務 者は「その他」に含む。「その他」には無職を含む。臨床研修医は研修先に含む。

(日本医師会総合政策研究機構 前田由美子『医師養成数増加後の医師数の変化について』より作成。)

医師の数自体は、1990年代からずっと増えてきました。また、医師の養成機関である医学部の定員も増えています。2008年から比べて2022年には医学部の定員は1581人も増えていました。このように医師の数は増えていますし、今後も増え続ける予定です。人数が減った結果、医師の希少性が薄れ、医師の年収が減る理由となるでしょう。

日医総研による『医師不足問題をどう捉えるべきか?― 医師数の問題ではなく、診療報酬が低いことが問題 ―』について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。

②働き方改革による労働時間の減少

医者は忙しい、医師は休日も働いている。そんなことを聞いたことがあると思います。今までの医師は長時間労働を行っていました。例えば、病院の常勤勤務医の約4割は時間外労働が年960時間を超えています。また、常勤勤務医の約1割は1860時間を超える時間外労働や休日労働を行っていました。これは週休2日で8時間労働の場合、一日4~7時間残業しているという計算になります。しかし、医師の長時間労働により過労死が問題となり働き方改革が令和6年4月から実行されようとしています。この働き方改革により、医師の労働環境は改善されるかもしれません。一方で、医師の年収は減るのではないかと言われています。m3.comが実施したアンケートによると、働き方改革が本格化した結果、収入が減ると回答する医師は全体の36.7%を占めました。特に大学病院の医師が影響を受けるようです。大学病院の医師の半数が収入の半分は副業やアルバイトが占めていると回答しているアンケートもあります。

労働時間が制限されることによって医師の年収は減るのかもしれません。

『大学病院の医師5割「働き方改革で収入減の見通し」◆Vol.6』について、詳しく知りたい方は以下のリンクをご参照ください。

2.高齢化や感染症の流行など医者の需要は高まっている。

テーブルの上に積み上げられた本の山

医者の年収は減ると予想されている一方で、年収を増やしている医者もいるようです。

①新型コロナウイルスなど社会の医師に対する需要が増加。

新型コロナウイルスの流行により、多くの医者は年収を増やしたようです。ケアネットが2022年の3月に医師1000人を対象に行ったアンケートによると、回答した医者のうち14%が年収が増えたと回答したようです。

増えた(かなり増えた+やや増えた) 減った(かなり減った+やや減った) ほぼ変わらない
新型コロナ禍前と比較した年収の変化について 14% 20% 66%

また、年収が増えた理由として、ワクチンバイトが挙げられていました。自由記述のなかで年収が変化した要因についてワクチンバイトだと答えた人が多かったようです。

このようにコロナウイルスなど感染症が流行するなか、社会の医療や医者に対する需要が増えています。今後も需要が増えれば、医者の年収が増えるかもしれません。

『14%の医師がコロナ前より年収増と回答、理由は?/1,000人アンケート』について、詳しく知りたい方は以下のリンクをご参照ください。

②絶対数は増えても高齢化により医療の需要は高まっている

高齢化によって医療費は増え続けています。下のグラフを見てください。医療費は増大し続けていることがわかります。2021年の医療費は44.2兆円でした。

注1.審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会)で審査される診療報酬明細書のデータ(算定ベース:点数、費用額、件数及び日数)を集計している。点数を10倍したものを医療費として評価している。  医療保険及び公費負担医療で支給の対象となる患者負担分を含めた医療費についての集計である。現物給付でない分(はり・きゅう、全額自費による支払い分等)等は含まれていない。 注2.「医療保険適用」「75歳未満」の「被用者保険」は、70歳未満の者及び高齢受給者に係るデ-タであり、「本人」及び「家族」は、高齢受給者を除く70歳未満の者に係るデータである。 注3.「医療保険適用」の「75歳以上」は後期高齢者医療の対象となる者に係るデータである。 「公費」は医療保険適用との併用分を除く、生活保護などの公費負担のみのデータである。

(e-Start『「医療費の動向」調査 「医療費の動向」調査(年度版)』 より作成。)

今後も高齢化により医療費は増えていくことが予想されます。そのため、医師の絶対数は増えても需要は高まり、医師の年収は増える要因になるでしょう。

3.医師の年収は減るのか?

100ドル紙幣

今回は、医者の年収は減るのかということについて解説しました。医者の年収は減るのか、増えるのか、様々な要因があることがわかりますね。

参考情報:

前田由美子 日本医師会総合政策研究機構 『医師養成数増加後の医師数の変化について

厚生労働省 「医師の働き方改革

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