どんな人がなるの? 社会人から医者になる人のリアル!

医学部入試情報

10代から目指さなければ医者にはなれない。

そう考えていませんか。実は、社会人になっても医者になる道は存在しています。

今回は、社会人から医者になることについて、そのリアルを紹介していきたいと思います。

1.社会人から医者になるためには再受験か学士編入

社会人から医者になることは可能です。社会人から医者になるためには、2つの方法があります。一つは再受験。もう一つは学士編入です。

再受験に関しては、医学部を受験することに年齢制限はないので誰でも受験することができます。年齢差別については、かつては存在していたようですが、現在は文部科学省が調査を行ったこともあり、あからさまに差別することはないようです。また、年齢差別を受けたとして、訴えた元受験生が勝訴した件もあります。年齢が上でも医学部を受験することはできます。

2つ目の方法は、学士編入です。「医学部学士編入」とは、医学以外の学問分野を専攻して4年制大学を卒業した人のうち、医学に対して明確な目的意識を有する「学士」を医学部の2年次もしくは3年次に編入させる制度のことです。

医学部への編入について詳しく知りたい方は、ぜひ他のMedichenの記事もご参照ください。

2.年齢が若くなくても再受験する人はいる

どんな人が再受験するのでしょうか。

医学部がない早稲田大学を卒業したのちに、医学部を受験し医師へなったひとへアンケートをとった結果を参考にしてみていきたいと思います。66人の医師がアンケートに答えました。それによると、年齢の中央値は26歳でした。

一方で、各年代にバラけており、必ずしも若いひとだけが再受験している訳ではないようです。理系、文系を見ると、理系が6割、文系が4割と、理系が多いものの文系の学部出身者も受験しているようです。

さまざまな経歴の人が、医師を目指すようですね。

「医学部再受験で合格するための方法!社会人でも合格できるコツは?」について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。

3.学士編入で医者になった人の将来は教授や開業医

では、具体的に学士編入で医者になった人はどんな人生をたどっていたのでしょうか。大阪大学医学部の調査を紹介していきたいと思います。この調査では、1975年から2004年まで30年にわたって、大阪大学医学部を学士編入制度で入学し、卒業した約400名を分析しています。

①男性が93%。入学時の年齢のピークは24~26歳。

最初に、学士編入で入学したひとはどんな人が多いのか紹介します。

大阪大学医学部を学士編入で入学した人は、男性が93%で女性が7%でした。また、大学を卒業した人が57%、大学院を卒業した人が36%、博士の学位を持っている人が7%でした。大学を卒業した後に編入するひとが多いようですが、大学院の卒業者もかなりの割合でいることがわかりました。

また、入学時の年齢は24歳から26歳がピークでした。30歳以上の入学者は、18%しかいないようです。いくら社会人になってから、大学を卒業したのちに医学部を目指すといっても、実際には20代から30代が中心のようです。出身大学は国立大学が95.2%と圧倒的で、また専攻は84%が理系の分野のようです。

大阪大学医学部への学士編入に限りますが、国公立大学で理系の分野を専攻し卒業した、20代から30代の男性というプロフィールが、よく見られる経歴のようです。

②卒業後の進路は開業医も多いが、大学関係も多い。

では、学士編入で入学し卒業した医者はどんなキャリアを歩むことが多いのか。一般学生と比べた分析を紹介したいと思います。

学士編入入学者と一般の医大生は次のような違いがあるようです。

・基礎医学系に進むことが多い。

・教育機関に進む割合は一般医大生とくらべて6.7%少ない。

・教授や助教授になる割合が高い。

・開業医になる確率が一般の医大生より、約2倍ほど高い。

ちなみに卒業後20年以上経った人に限定すると、以下のような結果となりました。

・学士編入で入学した人のうち、10%は教授になる。

・44%は病院関係に勤める。具体的には、病院長、副院長、部長、医長など。

・27%の人は開業医になっている。

今回は、大阪大学医学部を例に学士編入者の入学時と卒業後のプロフィールを紹介しました。もちろん大阪大学医学部の入試制度の特徴(理系の現役学生に有利な制度だった)や2004年までのデータで情報が古いということを考えると、全ての学士編入者のリアルを反映したものではないと思います。一つの参考情報としてみてもらえるとよいと思います。

「大阪大学医学部学士編入学制度30年の総括」について詳しく知りたい方は、ぜひ以下のリンクをご参照ください。

4.まだ遅くない。社会人から医者になろう!

「今が人生で一番若い。」という言葉があります。

社会人から医者になることは可能です。医者になりたいと思う人は、挑戦してみてはどうでしょうか。

参考文献:

清原 達也, 渡部 健二, 野口 眞三郎, 青笹 克之.「大阪大学医学部学士編入学制度30年の総括」『医学教育』2005,36(4), pp.259~264

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