【速報】2022年度共通テスト!理系科目で平均点が大きくダウンするも、得点調整は無し

医学部入試情報

2022年度共通テストは、おおむね天候にも恵まれ、ほぼ無事に終了したようですが、結果については理系科目を中心に大波乱と言えそうです。共通テストに仕様変更してからまだ2回目であり、過去問も1年分しかなく、出題傾向や出題形式が固まっていない中、難易度や出題形式に大きな波が見られたようです。

2022年度共通テストの平均点が正式に発表され、得点調整は行われず

大学入学共通テストを所管する独立行政法人大学入試センターから、「令和4年度大学入学共通テスト(本試験)平均点等一覧(中間集計その2)」が発表されました。

1/21に発表された「中間集計その2」における平均点は、実際に受験した487,127人の得点を集計したものです。
今後、大学入試センターから「最終集計」が2月7日(月)発表される予定ですが、この「中間集計その2」は、かなり信憑性のある数字になっていると思われます。

1/21に発表された「中間集計その2」における平均点を見ると、旧センター試験を含めて過去最低点を記録した科目は数学Ⅰ、数学ⅠA、生物基礎、生物、化学でした。

医学部受験生や理系受験生にとって影響が大きかったのは、まず生物であり、平均点は、昨年に比べ約23点も低い48.81点でした。

また、化学の平均点は、昨年に比べ約9点低い47.63点でした。

物理ですが、平均点は60.72点で、化学や生物と比べ10点以上高くなりました。

数学ⅠAも平均点が大きく下がり、昨年より約18点も低い37.96点でした。また、数学Ⅱの平均点は34.41点であり、数学Ⅰの平均点に至っては何と21.90点であり、驚異的な低さを記録しました。なお、数学ⅡBの平均点は43.06点であり、他の数学科目よりは高いものの、数学全般において難易度が高かったことが窺われます。

数学が、どの科目も平均点が著しく低かったのが2022年度共通テストの特徴の1つと言えます。これに関しては、共通テストの問題を作っている人が、まだ作問にあたって焦点の合わせ方や受験生を意識した難易度設定などに慣れていたいことが驚異的な平均点の低さをもたらしたと思われます。

また、これだけ難化し、平均点にも開きが生じたにもかかわらず、今年は「得点調整」を行わないことが、1/21に合わせて発表されました。

令和4年度大学入学共通テストの得点調整について(111KB)

公式の発表によると、平均点の差は以下のとおりであり、「世界史Bと日本史Bの平均点の差」ならびに「物理と科学の平均点の差」が13点台に収まっており、それくらいの平均点の差であれば得点調整は行わないということです。

教 科      平均点       平均点        点差
地理歴史   世界史B 65.83 点   日本史B 52.81 点   13.02 点
公 民      倫 理 63.29 点    政治・経済 56.79 点   6.5 点
理 科 ②    物 理 60.72 点    化 学 47.63 点     13.09 点

2022年度共通テスト、理系科目で平均点が大きくダウン

河合塾が、2022年度共通テストの概況を発表しました。

それによりますと、2021年度共通テストに比べ、2022年度共通テストでは平均点がダウンした科目が半数を超えました。数学では「数学I・数学A」で-19.3点、「数学II・数学B」で-16.9点と、2科目あわせて36点と大幅に平均点がダウン。「数学I・数学A」ではこれまで出題されたことのない目新しい問題が多く、「数学II・数学B」では前年に比べ文章量が増加したことで、苦戦した受験生が多かったようです。

その他、英語は「リーディング」「リスニング」共に平均点が3点プラス。国語は「現代文」は前年並みだったものの、全体で7点ダウンとなりました。理科では文系受験者が中心となる理科1の「物理基礎」で-6.2点、「生物基礎」で-5.1点と、平均点がダウンしました。前年得点調整が行われた理科2では、「生物」が前年比-23.7点の49.8点と大幅に平均点がダウンした他、「物理」「化学」の平均点も下がり、各大学のボーダーラインにも大きな影響を及ぼしています。

多くの国公立大で必要となる7科目の平均点(900点満点)は、文系型が前年度より44.6点ダウンの519.7点、理系型が前年度より57.8点ダウンの523.2点と、文理共に6割を切る結果になりました。文系型、理系型共に課されている数学の平均点ダウンが大きく影響しました。

7科目の成績分布をみると、文系型、理系型共に全体が低得点へシフトしており、得点率8割以上の高得点層は文系型で前年比34%、理系型で前年比38%と大きく減少しました。得点率6割以上8割未満の層も文理で減少しており、高得点が取りづらかったという傾向が顕著に現れました。

〈2022年度共通テストの平均点と、2021年度共通テスト平均点の差〉

教科 科目 満点 2022年度平均点
[中間集計]
2021年度平均点 前年差
外国語 英語リーディング 100 61.81 58.80 +3.01
リスニング 100 59.45 56.16 +3.29
数学 数学Ⅰ 100 21.90 39.11 -17.21
数学Ⅰ・数学A 100 37.96 57.68 -19.72
数学Ⅱ 100 34.41 39.51 -5.1
数学Ⅱ・数学B 100 43.06 59.93 -16.87
国語 国語 200 110.25 117.51 -7.26
理科 物理基礎 50 30.40 37.55 -7.15
化学基礎 50 27.73 24.65 +3.08
生物基礎 50 23.90 29.17 -5.27
地学基礎 50 35.47 33.52 +1.95
物理 100 60.72 62.36 -1.64
化学 100 47.63 57.59 -9.96
生物 100 48.81 72.64 -23.83
地学 100 52.74 46.65 +6.09
地理歴史 世界史A 100 48.05 46.14 +1.91
世界史B 100 65.83 63.49 +2.34
日本史A 100 41.00 49.57 -8.57
日本史B 100 52.81 64.26 -11.45
地理A 100 51.71 59.98 -8.27
地理B 100 58.97 60.06 -1.09
公民 現代社会 100 60.83 58.40 +2.43
倫理 100 63.29 71.96 -8.67
政治・経済 100 56.79 57.03 -0.24
倫理,政治・経済 100 69.73 69.26 +0.47
総合型※ 5教科7科目文系型 900 509 555 -46
5教科7科目理系型 900 512 571 -59
5教科6科目型 800 460 505 -45

以上のように、理系平均点が、かなり下がりました。医学部受験生、理系受験生の皆さんは、自己採点の得点が低かったとしても落ち込まずに、これから取るべき行動について冷静沈着に判断してください。

2022年度共通テストは予想通り、とりわけ生物が難化

昨年の第1回目の共通テストでは、生物の平均点と化学の平均点に22.59点の差が生じた結果、得点調整が行われました。

これを受けての今年の共通テストになのですね。昨年の共通テストでは、生物の平均点がかなり高くなりましたので、今年の共通テストでは生物の難化が予想されていましたが、予想通り難化しましたね。

今年の共通テストの生物について、河合塾は「知識を要する考察問題の割合が増加した」として「難化」としました。駿台・ベネッセのデータネットも「昨年以上に処理する情報が増え、統合して判断する必要があり、昨年より難化」と分析しています。

代々木ゼミナールは「生物学的に重要なテーマが出題され、読解力や考察力が総合的に試された」として難易度は「難化」としました。

今年の共通テストの生物は、3つの大手予備校全てが「難化」としました。

化学ですが、河合塾と代々木ゼミナールは「昨年並み」とし、駿台・ベネッセのデータネットは「やや難化」としました。

物理については、河合塾と代々木ゼミナールは「昨年並み」としましたが、駿台・ベネッセは「やや易化」としました。

化学と物理については河合塾、代々木ゼミナールと駿台・ベネッセで判断が分かれました。

国公立医学部の受験校を選定するためにも、また私立医学部の共通テスト利用入試の受験においても、正確な自己採点を行い、自分の合格可能性を正確に把握することが欠かせません。

2022年度共通テストは、数学も難化

医学部受験生を含めて理系受験生にとって落とせない教科である数学は、数学ⅠA、数学ⅡBともに難化したといって間違いありません。

大手予備校が、数学ⅠAと数学ⅡBそれぞれについて分析しています。

まず数学ⅠAですが、河合塾は「難化」としています。駿台・ベネッセが共同で運営するデータネットも「難化」と分析しています。また代々木ゼミナールは「やや難しくなった」としています。

今年の共通テストの数学ⅠAは、「かなり難しかった」と話す受験生が多く、昨年に比べて、時間内に完答するのが相当難しくなったと考えてよさそうです。

河合塾は「数学Ⅰは目新しい問題が多く、センター試験を含めても過去問の演習だけでは対応できないようなものであった」としています。

駿台・ベネッセのデータネットは「昨年よりも共通テストらしさが増している。分量が多く、試験時間内に解き切ることは厳しい。昨年より誘導が減少しており、難しく感じられたであろう」と分析しています。

「やや難しくなった」とした代々木ゼミナールは「思考力、読解力、計算力が問われており、共通テストらしい出題である」としています。

数学ⅡBについて、河合塾は、「数学的な問題解決の過程が重視された出題が多かった。頻繁に太郎さんと花子さんが登場し、解答者は、2人が問題を解決する過程を追体験することになる。問題の分量が多いので、思考する時間が足りない受験生が少なくないと思われる。問題文が長く、ページ数も昨年より5ページ増加した。各大問の最後の設問を解くためには、それまでに行われてきた議論を振り返る必要がある。時間内にすべての問題を解くのは大変だろう。難化した。」と分析しています。

駿台・ベネッセのデータネットは、「全体を通して幅広い知識の活用が求められ、平均点が高かった昨年と比べてやや難化」としています。

代々木ゼミナールは「分量が時間に対して多め、昨年よりやや難化」としています。代々木ゼミナールも駿台・ベネッセ(データネット)も数学ⅡBは「やや難化」としています。

ⅠAもⅡBも、数学は、全科目において全体的に難化と考えて良さそうです。

2022年度共通テストの英語リーディングは昨年並み

さて、共通テストで最も多くの受験生が受験するのは、英語です。私立医学部の共通テスト利用入試でも、日本医科大学の特殊な受験ケースを除いて、英語は必ず必要になります。

その英語ですが、河合塾、駿台・ベネッセ、代々木ゼミナール、いずれもが問題の難易度は「昨年並み」としています。

総語数は約6000語で、昨年の英語の語数より約500語増えていますが、難易度としては「昨年並み」と考えて良さそうです。

河合塾は「大学入試センターの作成方針に沿って様々な形式の問題が出題された。またイギリス英語の表現や綴りも本文中に見られた。」と分析しています。

駿台予備学校とベネッセが共同で運営するデータネットは「設問では記述内容の順序を問う問題やプレゼンテーションの骨子を完成させる問題などが出題され、昨年同様に多面的に情報を処理することが求められた」としています。

代々木ゼミナールは、「全体として約500語増と英文の語数は増えたものの必要な情報を見つけやすい設問も多かった」と解説しています。

なお、英語リスニングの難易度については、河合塾は「昨年並み」とし、駿台・ベネッセ(データネット)と代々木ゼミナールは「やや易化」としました。東進は、河合塾と同じ「昨年並み」としています。

2022年度共通テストの国語は、やや難化

医学部受験生にとって、思わぬ落とし穴になりかねないのが、国語です。国語で失敗して不幸な結果になったという受験生は、毎年います。

昨年の共通テストの国語と比較して、河合塾は「国語全体として昨年並み」としています。一方で、駿台予備学校とベネッセが共同して運営するデータネットは「昨年以上に、複数の文章や資料を関連付ける力が求められ、やや難化」としています。

代々木ゼミナールも「国語全体としてやや難化した」としています。

代々木ゼミナールは更に、「現代文は、紛らわしい選択肢に加えて、複数の資料を読み込んで関連付けて解く形式の分量が多くなり難化した」「古文は昨年並み~やや難化」と分析しています。

今年の共通テストの国語について、河合塾は「昨年並み」、駿台・ベネッセと代々木ゼミナールは「やや難化」としています。ちなみに東進も国語について「やや難化」としています。

 

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