医師でも出産・子育てを諦めない!現役医師から聞いた両立する方法4選
医学生・医師の結婚事情についてはこちらの記事で紹介しました。
今回は、出産・子育て事情についてご紹介します。
特に女子医学生・女性医師にとっては出産のタイミングや子育てと仕事の両立については、必ずと言って良いほど考えると思います。
私も女子医学生として、自分自身のことも考えながら今回の記事を書いていきます!
Contents
出産のタイミングは人それぞれだが専門医取得後が多い
みなさんは、将来的に子供は何人欲しいなどの希望はありますか?
国家試験を合格して晴れて医師になった時、現役で医学部に入学していたとしても24歳です。
さらにそこから初期研修2年、後期研修を最低でも3~4年トレーニングしていくと、あっという間に30代に突入します。
いつ結婚しても、いつ子供を産んでも構いませんが、子供を産める年齢にはタイムリミットがあります。
また、高齢出産になるほど流産や子供が先天的な異常を持つリスクも上がります。
出産するタイミングとしては、学生中、初期研修中、後期研修中、後期研修後(専門医取得後)の4パターンに大きく分けられます。
学生中に出産 キャリアを歩むうえで中断がない
まずは学生中に結婚するパターンです。
「え、学生中に結婚・出産なんて」と感じる方も多いと思いますが、医学部では一定数います。
出産に伴い、休学する人もいますが、意外にもストレートで卒業している人が多いです。
大学に伝えると、実習の配慮をしてくれる場合がほとんどです。
学生中はより周りの協力が必要にはなりますが、医師になってからキャリアがストップしないことは大きなメリットになると思います。
また体力や妊孕性の点でもメリットになるでしょう。
医学生の学生結婚・出産の実体験についてはこちらを参考にしてください。
この方は4年生で出産されています。
初期研修中に出産 研修をいったん休む必要があるが迷惑はかけにくい
医学部卒業後、2年間必須の初期研修中に出産する場合、初期研修をいったん休止する必要があります。
もちろん、休んだ分の研修は復帰後に行わなければならず、同期に比べて遅れることになります。
スタートダッシュが遅れるので焦りも出てくると思います。
しかし、初期研修中の身なので、「休まれると困る」といった事態は起きにくいです。
休んでも患者さんやほかの医師への負担がかかりにくいのですね。
専門医は既定の年数で終えられる可能性も高いです。
後期研修中に出産 専門医取得までにかかる期間が1~2年延びる
初期研修後、より専門的な知識・技術をもつために後期研修を3年程度行います。
ちなみに初期研修と比較してこちらは必須ではありません。
基本的に初期研修中の出産と同じく、研修を休むことは余儀なくされるので、専門医取得が遅れる可能性が高いです。
また基本的に希望する科で後期研修を行うので、科のサポート体制がとっても重要です。
専門医取得後に出産 最もメジャー
専門医取得後というと、だいたい30歳前半の医師が多いです。
専門医を取得してひと段落し、キャリア的にも金銭的にも余裕が出てくる時期なので、女性医師にとって最もメジャーな出産時期です。
ただし、体力面や妊孕性での問題と直面する可能性もあります。
また医師として色々と頼られる立場になってくるので、休みにくいという懸念点もあります。
出産時期はここがベスト!という時期は、一律には言えず、どこを重要視するかによって変わってくるものでしょう。
病院や科によって出産・子育てへの理解が異なる
病院や診療科によって出産・子育てへの理解およびサポート体制は異なります。
よく言われる言葉に「女性に外科系は難しい」というのがありますよね。なぜなのでしょうか?
要因の一つに、
・立ち仕事が多いため、妊娠中や出産後の体ではキツい
・オペの時間が延びて、夜遅くまで病院に縛られる
・当直が多くて帰りづらい
といった理由があります。残念ながら、今の日本の現状では子育てに時間を取られる女性医師が多く、自分の将来の診療科を選択する際に外科系を避ける雰囲気があります。
しかし、これは女性の責任ではなく社会の責任です。
外科系であっても働きやすい職場環境が整っている病院はありますし、見つけようと思えばいくらでも見つけられます。
科によって働きやすさは変わるのでしょうか?確かにそうかもしれません。
実際、働きやすさの観点から耳鼻科や眼科、皮膚科に進む女性は多い傾向があります。
しかしそれよりも、理解してくれる職場で働けるかどうかの方が重要な気がします。
女性のみならず男性にも積極的に育休を推進している病院もありますし、世の中は少しずつ変わっていっています。
現在は「出産をサポートします!」と全面的にアピールしている病院・診療科も多いです。
病院や診療科のホームページなどを見るとわかりやすいです。
子育てと仕事の両立を難しいと感じている女性医師は多い
次は子育てに注目していきます。
いきなりですが、実際に子育てを難しいと感じている女性医師は多くいます。
平成29年に日本医師男女共同参画委員会が出した「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」によると、
家事・育児の悩みが最も多いとのことです。
正直、私の身近にいる女性ドクターに話を伺っても「大変だよ〜」というセリフを沢山伺います。
この根本の原因をいくつか掘り下げていきましょう。
①そもそも仕事量が多い
初期研修医から始まり、「〇〇科の医師です」と名乗るのに必要な専門医試験までの期間、大学院への進学などなど、医師の勉強は一生終わりません。
そんな勉強の連続の日々はかなりの時間を仕事に費やすことになります。
しかし子供が生まれたら、仕事以外のことに時間が取られます。
時短勤務で両立することができれば一番良いですが、病院や診療科によっては難しい場合もあります。
ここで苦しむドクターはとても多いです。
②特に男性医師と結婚している女性医師にかかる育児の負担が大きい
これも大きな問題です。子供ができると、名前のつかない育児が沢山生じます。
ご飯の準備でさえ、離乳食を作っておく、ご飯の時に解凍する、食器や前かけなどの準備、テーブルのセッティング、なかなか食べない子供の注意をひきながら食事を進める、終わったら子供の手や周りを拭く、食器類の洗い物…もう自分達のご飯を準備する以外に本当に多くの工程が発生します!
機嫌が悪ければ全くご飯を食べないこともありますし、自分のペースで物事を進めることができません。こういった1つ1つの積み重ねをパートナーと分担できるかがかなり重要となります。
結婚相手が医師など忙しい職業だった時、ほぼ1人でこなさなくてはならなくなります。正直、これが日本の現状です。
いろんな女性ドクターに話を伺うと、多くの人の結婚相手が医師です。
そして時短勤務しているのはほぼ女性側だけです。
もちろん家にいる間は一緒にやっている家庭が多いとは思いますが、実際ワンオペ育児となっている先生も多いです。
子育てとの両立で悩むときに!女性医師の実践例を紹介
ここからは、先生たちに伺った工夫を紹介していきたいと思います。
①3種の神器を活用する
これは女性医師だけではないと思いますが、現代の3種の神器を活用している家庭は多くあります。
それが、食洗機・衣類乾燥機・ロボット掃除機です。衣類乾燥機はドラム式の洗濯機を使うことでほぼ活用できますが、多くの家庭ではそれだけだとまかないきれず、浴室乾燥も使っているとのことでした。
「これは面倒くさい」という家事を全て担ってくれる家電にお金をかけることは本当に大切です!!
②ベビーシッター・ハウスキーパーの活用
食事・洗濯・掃除。この3つは外注で代用することが可能です。
ベビーシッターやハウスキーパーの方にお願いすることや、食材や調味料のセットを通販で購入するなどして時短している先生がかなり多くいます。
その分自分は子供や夫と向き合う時間が増え、精神的にゆとりができる、ということも多くあるそうです。
③相談できる人を見つけておく
すでにママさんドクターとして働く医師は現場に数多くいます。
自分の職場に同じように頑張ってきた先輩ママさんドクターがいれば、相談に乗ってもらえることでしょう。たいてい自分が辛いと思ったことは、先輩も通ってきた道です。先輩の失敗談、経験談を生かして大変な日々を乗り越えていきましょう。
④「周りに迷惑をかけている」「うまく両立できていない」と自分を責めない
これが一番大事かもしれません。
「当直を免除してもらうから職場のみんなに迷惑をかけているかも」
「今週まだ床掃除してない!汚い!!」
「あーまだ洗い物も終わってないし洗濯機も回してない…なんて時間の使い方が下手なんだ」
子供が生まれたら、こんな思いを抱くこと間違いなしです。
でもそこで、自分のことを否定したくなる気持ちを抑えて
「まぁ今日も1日家族が誰も死なぬずに生き抜けた!万歳!」
みたいな気持ちで過ごせたら勝ちです。
幸福の閾値をなるべく低くして日々を過ごすことが何よりも大切です。
番外編:私生活に時間を割くことができる人が結婚相手にオススメ
ここからは、『そもそも結婚相手を選ぶところから両立を考え始める』
という賛否両論ありそうな意見を何人かのドクターから伺ったので、ここでまとめてみたいと思います。
結婚相手、どうやって探しますか?
同じ大学の同級生、仕事始めた時の同期、職場の先輩・後輩…。これほぼ全て相手は医者ですよね?
働き始めたらわかるかと思いますが、医者は男だろうが女だろうが、めちゃくちゃ仕事が多いです。
こんなワークライフバランスの話をしているところから一目瞭然ですよね(笑)
「私生活に時間を割くことのできる人を結婚相手にするというのがいいよ」と言っていた先輩ドクター、大正解だと思います。出会いはいろんなところにあります。
お見合いアプリや友人の紹介、今のご時世方法は様々です。
そして、日本ではなく海外の人を結婚相手に選んでいた方もすごく両立がうまくいっているな、という印象です。
海外では家族との時間を大切にする文化が根付いており、育児や家事は手伝うものではなく自ら楽しんでやるもの、というスタンスの人が日本よりも多い印象です。
結婚相手を探すところからワークライフバランスを考える。みなさんもぜひご検討ください。
今回は女性医師の出産・子育てについて紹介しました。
どの職業でも当てはまることですが、出産のタイミングや子育てと仕事の両立は悩むところですよね。
さらに周りへの影響を考えてしまうとなおさらです。
自分の人生です。
周りへの感謝の気持ちは持ちつつも自分にとってのベストを優先していくことが、大切なのではないかなあと個人的には考えています。
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