環境と教育に定評!地域医療と救急救命が魅力的な和歌山県立医科大学
和歌山県立医科大学は、医学部のある公立大学の1つです。
名称からして単科大学に見えますが、医学部、薬学部、保健看護学部の3学部があり、「医療系総合大学」と呼ばれています。
このうち薬学部は2021年の新設。
関西や大阪圏の人々から「和医大」と呼ばれて親しまれています。
2023年の医師国家試験合格率は新卒者が95.2%、総数で見ると94.5%と、新卒のみならず既卒生も頑張っていて、全体的に合格率が相当高いのが特長です。
Contents
医療系総合大学として地域から寄せられる信頼
まず、和歌山県立医科大学の全体像から解説し、後半では医学部に焦点を当てていきます。
全人的な理解をして生活の質を高める保健看護学部
保健看護学部には保健看護学科しかありませんが、実際には保健師のコースと看護師のコースがあります。前期入試と後期入試がありますが、共テ得点率は59~61%に収まっています。
「生活習慣病が増えている状況では、人々が病気や障害をもちながらも、いかに有意義な生活を送るかが重視されて」いるため、人々の生活に焦点を当てた学びによって、市民の「生活の質」を高める「全人的」な保健指導を身につけます。(学部長挨拶より)
和歌山の賑わいや若々しさを支える薬学部
その次に難しいのが薬学部。前期日程のみの入試で、共テ得点率は71%で、偏差値は55。
「和歌山県では県南部に薬剤師の従事者が少ないなど地域偏在が見受けられ、こうした地域偏在の解消に貢献できるだけでなく、高齢化が進む中、在宅医療や地域包括ケアシステムの担い手となるべき人材確保」を目指しています。(学部長挨拶より)
超高齢社会を迎えた日本においては、とりわけ寒村部においても「医師以外の医療従事者」の力が求められていますが、その今日的なニーズを担う医療職の一つが薬剤師です。
「薬学部のキャンパスは和歌山市の中心部に位置し、和歌山市の中心部に多くの若者が集う大学キャンパスができ、医学部と附属病院がある紀三井寺キャンパスには3学部の枠を越えた共同研究を行う次世代医療研究センターがあります。」(同)
和歌山県内の社会と医療の発展を支えるだけでなく、最先端の学際的な「研究センター」も10以上あり科学研究の実績・実務経験を作ることもできます。「医学部医学科はちょっと入学が難しいけど、最先端の知識・技術で患者や社会を支えていきたい」という人は薬学部受験を検討してみるのも良いのではないでしょうか。
和歌山県立医科大学は3つの学部があるため、他の医科単科大学よりも施設や研究センターの数や質が充実しています。「教育内容」「様々な環境」「支援制度」に定評があるため、薬学部卒業でも近未来性を感じる科学的仕事をこなしていけます。ただし薬学部の大学院は無いので注意して下さい。
和歌山県立医科大学の附属施設やセンターは以下のページよりご覧ください。
難病に対峙する医の根本姿勢を体現している開学精神
最難関の学部はやはり医学部で、医学部には医学科のみです。3つの前期日程の「一般枠」「県民医療枠A」「県民医療枠C」ともに共テ得点率は79~81%です。
ですが偏差値には差があり、一般枠は65、県民医療枠は62.5となっています。
同大学医学部の強みが伝わってくる部分を抜粋して紹介します。
しかし診断は必ずしも簡単につくとは限りませんし、治療もすぐに効果が出ない場合もあり、合併症や副作用で病態が複雑になることもまれではありません。そうした場合でも、問題点を整理し、粘り強く解決していく問題対応能力が必要です。(中略)今後ますます進む超高齢社会における医療に必要な多職種連携を学ぶ絶好の環境が整ったといえます。
医学を学び、医師としての経験を積んでいくうちに、現在の医学の限界を痛感する時が来ます。現状に甘んじたりあきらめたりせず、そうしたときこそ科学的探究心を持って、病態解明や新たな治療法開発の研究に力を注いでほしいと思います。(学部長挨拶)
同大学が掲げている医師の姿が伝わってくるのではないでしょうか。
患者の苦痛を和らげるための他業種連携には、チームワーク精神やコミュニケーション能力が欠かせません。また、倫理観や道徳性、公益性も重要です。
ですが、特に同大学が独自に強調している点として、「現在の医学が解明していない病態に出くわしても、根気強く治療を続け、粘り強く患者に尽くし、最新の知識によって治療法を発見する才知や探究心を身に着けること」があります。この病理究明の姿勢こそが開学精神の1つである「華岡青洲の活物窮理」であり、初代学長の精神にも通じると述べられています。
私はこれは非常に重要なことであると考えています。どんな職に就いても、大資産家でない限りは、壁にぶち当たる機会があります。困難や辛さを乗り越えて仕事を続けていくことこそが現代人の使命であり、家族や資産を守るための最も大変な点でもあります。
旧帝大をはじめとしてエリート大学は、「困難の乗り越え方」や「課題の解決方法」を見出すことが得意な人材が集まっているからこそ優秀なのです。そういった有能な人材の特徴の一つとして「共感性」や「対人関係能力」が高いことが挙げられ、まさに多くの職種の人と連携していく医師にも必要なスキルです。
そして医師に特有の点として、多くの診療科において「患者を治すことができず現代医学の限界を痛感する」という困難に直面することが挙げられます。この記事をお読みの方のなかにも、通院しても持病がなかなか治らなかった経験をお持ちの方や、難病が治癒することなく祖父母を亡くした苦い思い出をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「卒業して医師として羽ばたいた後にいつか直面する困難」に前もってアプローチしていくカリキュラムの方針は大変頼もしいですよね。また、「卒業後をサポートする」という昨今の大学に求められているミッションをクリアしています。
実際、多くの医学部生たちが、そういった和医大医学部の「教育内容」や「環境」に満足しているのでその声の一端を紹介します。
・医療系総合大学であること、早期医療実習を取り入れていること、地域医療や最先端医療に対する取り組みに大きく感銘を受けた。
・和歌山県の医療機関の頂点であり様々な経験を積むことが出来、大学周辺の自然環境や充実した教育内容、MDPHDコースがある。
・全国に先駆けて地域医療の課題解決に向けてドクターヘリの運行や病診連携など熱心な取り組みを行っている。
・将来、医師として和歌山の地域医療に貢献したいと思い、在学中から地域医療に携わることができるプログラムに魅力を感じた。
・早期の臨床学習、患者さんとの交流があり、地域の医療の現状を学べる。また5Gの実践やドクターヘリの早期導入など遠隔医療にも積極的。
・救急救命医を目指しており、進んだ地域医療や救急救命が学べる環境が整備されている。
・歴史ある大学で、厳しそうだが教育もしっかりしていて、医師国家試験の合格率も高い。
・地域医療を学べることと、地域医療枠で合格できれば修学支援金がもらえること。
・共通テストの数学が圧縮されるから。一次・二次の配点比が自分に合っていたから。自分が行けるレベルの国公立医学部。
以上のような「人気を誇る地方医学部」にしかない長所も考慮に入れて、受験校を練ってみて下さい。
患者の心の痛みを理解するケアマインドも重視するカリキュラム
医学部においては、教養教育科目の授業は、1年次~2年前期にかけてです。入学後まもない時期の「早期臨床体験実習」や「地域福祉施設体験実習」も、患者の心の痛みや地域社会的な支援システムを知ることができると定評があります。
基礎医学科目は2年次~3年次です。最後の2か月間は基礎医学の研究室に配属されます。実質2か月間、最先端研究に触れることになります。
臨床医学科目は3年目後半から始まり、病気の診断、治療、予防について学びます。臨床実習は4年目後半~6年目前半にかけて、少人数に分かれて行われます。
医学部のカリキュラムの特徴など詳しいことは以下のページをご覧ください。
では、皆さんが描く理想の医師像と医学学習が実現することを願っております。
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