【2023最新情報】本格派と正統派が入り混じる! ハイブリッドな熊本大学医学部!
熊本と言えば、なんといっても熊本城が有名ですよね。
現在の熊本大学は、「旧制熊本医科大学」や「旧制熊本薬学専門学校」などが統合されて発足しました。もともと、医学や薬学をプロフェッショナルに扱う学校だったということで、医学部志望生は要チェックです。
そして、上述の2つの学校は、とても長い歴史を持っているのです。旧制熊本医科大学の起源は、江戸時代は宝暦年間(1751-64)に開学した「熊本藩校」の「再春館」にまで遡ることができます。江戸時代の藩の学校である「藩校」だったのですね。「再春館」という言い方は中華漢方を彷彿とさせますが、「病気が治って痛みがなくなれば再び春がやってくる」という考え方はロマンティックです。
明治時代の1896年には、熊本大学医学科の前身である「私立熊本医学校」が設立されました。
一方、旧制熊本薬学専門学校は、熊本藩の御薬園であてた「蕃滋園」(1756年)を前身としており、やはり300年近い歴史を持っています。江戸以降、諸外国の学問が流入する玄関口であり、蘭学と漢方医学が混じりあって醸成・発展した九州の地の医学・薬学の研究教育機関として、日本が誇りに思ってよいでしょう。
Contents
人間性や社会性に加えて「能力獲得」を重んじる医学科
熊本大学医学部は、かつて医学科のみでしたが、2003年に保健学科が新設されました。医学部公式サイトには以下のように書かれています。
医学部は、医学士教育課程である6年制の医学科と、保健学士教育課程である4年制の保健学科から成っています。医学科の卒業生は国家試験を経て医師に、保健学科の卒業生は同様に看護師、放射線技師及び臨床検査技師になることができます。
常に進化を刷新を続けていく熊本大医学科
また、九州の国立医学科としては珍しく、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーという、欧米の大学では当たり前の「3つのポリシー」が明示されています。
医学科のアドミッションポリシーは以下の通りで、こういった大学生を欲しがっているため、間接的であれ面接等で試される点と言えます。「地域医療」「地域住民」と、「国際社会」「国際的視野」の双方が掲げられているのがポイントです。
- 病める人たちやその家族の気持ちを理解できる人
- チーム医療の中心的役割を果たすための優れた協調性を持つ人
- 地域医療に関心を持ち、地域住民の健康増進に貢献する意欲を持つ人
- 科学的探究心が旺盛で、国際的視野で医科学研究を展開する意欲に溢れる人
- 社会に対する幅広い視野を有し、地域や国際社会における保健医療や福祉に深い関心を持つ人
- 日々進歩する医学や医療の最新知識を吸収できる基礎学力を持ち、生涯にわたって自己学習を継続できる人
ディプロマポリシーとは、「こういう人に医学士の学位を授与しますよ」と定義されたものであり、「医学科教育成果」として7つの大項目と50の小項目が定められております。大項目のうち最後の2つは「F. 国際的視野」「G. 地域医療と社会貢献」となっています。
もちろん、医学科と医学科生の究極的な目的は「国家試験」であり、かつ「F. 国際的視野」「G. 地域医療と社会貢献」などは抽象的な指標ではありますが、大学の学風や教育方針に関わってくる部分であるため、留意しておくに越したことはありません。
熊本大学医学科では、いたるところで「人間性」「社会性」「社会的使命」「コミュニケーション能力」も重視されており、「医学科卒業までに獲得すべき能力や成果」の達成への注力が、他の国立大医学科よりも大きくなっています。
近年、 世界的にも医学教育において、「成果基盤型医学教育(Outcome Based Education, OBE)」の考え方への転換が進んでいます。成果基盤型医学教育とは、「医学科卒業生が身に着けておくべき能力(教育成果)を明確にし、カリキュラムをその能力獲得のために構築すること」とされ、・・・(後略)
伝統的学閥と研究蓄積の多い旧帝大は、特にこれといって努力しなくてもエリート大学の地位を保てますが、「能力獲得のための医学科教育とカリキュラム」という点に精を出している熊本大学の姿勢には鮮明なものがあります。
「成果を基盤として」重視しており、教育の過程や内容・形式などより、「能力を獲得するという成果」を出さなくては意味がないという諸外国で一般的な考え方を採用しているわけです。かつて日本では学校ではなく塾で採用されていた方針です。
地域医療と国際社会の両方を頑張っていきたい医学志望生にとっては、多くの刺激を受けられる環境です。
これらについて詳しくは、以下の公式ページをご覧ください。
正統派でありつつも特徴的で本格的な医学科カリキュラム
熊本大学医学科のカリキュラム概要表は、以下に示す通りです。
「最初の2年間で教養、外国語、理系基礎科目などの教養科目を学ぶ点」や「3年次から専門科目を学ぶ点」など、昔からの大学らしいオーソドックスな特徴を色濃く残しつつ、1年次から「専門基礎科目」「基礎医学科目」など医学に関する幅広い学業が本格的にスタートする斬新さもあります。
また、「柴三郎プログラム」があり、1年次の早い段階で任意で研究室見学が催され、かなり多くの学生が初期の段階(高校生~学部1・2年)から専門的な研究・実践に触れて育ちます。
また昨今は、コロナ禍もあり大学によって医学科のカリキュラムが多種多様になってきましたので、4年次から臨床実習が始まるというのも特徴的であると言ってよいでしょう。4年生にならないと病院実習が始まらない分、いざ始まると本格的に学識と人間性を磨いていく事になります。
医学科の学校推薦型選抜は「枠」により倍率が2倍~8倍
2023年の国家試験合格率は88.8%
厚労省による公式データによりますと、熊本大学医学部の2023年の医師国家試験合格率は88.8%であり、新卒生に絞ると92.2パーセントとなっています。新卒者の合格率は「合格平均率である約9割」を上回っており、健闘ぶりがうかがえます。全体的に、「一心になって今を頑張っている医学部」であると言えます。
一般選抜に加え、3つの枠がある「学校推薦型選抜」
パスナビによりますと、2023年の熊本大学医学部医学科の偏差値は65.0であり、共テ得点率は81%です。国立大学医学科として、まったく平均的です。
なお、医学科を含め医学部は後期日程入試は実施していません。
医学科の前期日程は、「一般選抜」「学校推薦型選抜Ⅱ(一般枠)」「学校推薦型選抜Ⅱ(熊本みらい医療枠)」「学校推薦型選抜Ⅱ(地域枠)」の4つがあります。いずれも共通テストが課されます。
それぞれ名称が似ていたりして、区別がつきにくいかと思いますが、定員や要件については2024年入試からの変更もあり得ますので、公式の最新情報などをチェックするようにして下さい。
一般選抜の倍率は2022年が4.4倍、2021年が3.3倍です。それに対して「学校推薦型選抜Ⅱ(一般枠)」の倍率は2022年が3.4倍、2021年が2.8倍と低めになっており、本気で熊本大医学科に入りたい現役生にとっては狙い目と言えます。
でも、学校推薦型選抜は、一般枠であれ、熊本枠、地域枠であれ、九州の高校を出た人に有利に設定されていますので、情報収集の上、熟慮して出願してほしいと思います。
なお、「熊本枠」と「地域枠」は、それぞれ倍率がまちまちであり(2倍~8倍)、年度によって大きく変動しており予測不能です。
面接においても、医師志望理由と本学志望理由に加えて、「わざわざ熊本を選んだ理由」について問われることがあり、何らかの地域志向を持っていて地域性に理解の深い受験生が有利になります。
以上、熊本大学医学部を紹介しましたが、さりげなく強い個性があるのが特徴です。オープンキャンパスなどの機会を利用して情報収集して、感性的なインスピレーションも大事にしつつ、本当に自分に合っている環境であるのか理性的な判断も疎かにしないで下さい。
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