医学部卒業後の医師国家試験 合格率は90%!

医者のキャリア

「医学部医学科を卒業したら医師になれる」

そう思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は医学部卒業後には「医師国家試験」というものがあり、これに合格しないと医師にはなれないのです。

今回は医師国家試験について最新情報を紹介します。

開いた本

医師になるためには医師国家試験に絶対合格しなければならない

まず、医師免許を取得するためには医師国家試験に合格する必要があります。

毎年2月の上旬〜中旬頃に行われ、400問を2日間で解かなくてはなりません

マークシート方式で合格率は毎年90%前後と高いです。2023年の合格率は91.6%でした。

多くの大学では、6年生の卒業試験に合格した後に医師国家試験を受験します。

 

医学全般を広く問われる

医学部医学科6年間の内容を広く問われます。

疾患についての知識から研修医として必要な知識、社会人としての常識まで内容は多岐にわたっています。

臨床問題・一般問題・必修問題の3種があり、それぞれ200問、100問、100問という構成になっています。

必修問題はさらに必修臨床問題と必修一般問題に分かれています。

必修臨床問題は症例から回答を導き出す(〇〇な症状を訴える人が来院したが、どう対応すべきか、など)問題です。

必修一般問題は疾患などのテーマについての知識を問う(〇〇病についてどのような症状が見られるか、など)問題です。

これらをA〜Fの6ブロックに分け、2日間に渡って試験が実施されるのです。

2015年からは英語を含んだ問題も採用されていますし、『必修の基本的事項』『医学総論』の臨床実地問題については長文問題も出題されるなど、より実践的な知識が重要視される傾向にあります。

医師としての常識や臨床的な判断など、単純に勉強をするだけでは太刀打ちできない問題も出題されるため、「学校の成績がいいから国試も楽勝」ということはありません。

ボールペンを持ってノートに書く人

 

解答方法はマークシート方式

医師国家試験の解答方法は、記述や論述では採点者によって採点にずれが生じる可能性があるため、全部マークシート方式となっています。

単にマークシートと言ってもその回答方法にはいくつかパターンがあります。

・5つの選択肢から正答を1〜3個選ぶもの
・6つ以上の選択肢から選ぶもの
・計算して答えるもの

また、正しい選択肢を選ぶもの、逆に間違っている選択肢を選ぶものもありますので、まず問題文をしっかり読むことが大切になってきます。

 

禁忌肢は3つ以上選ぶと不合格になってしまう

医師国家試験には「禁忌肢」と呼ばれる選択肢があります。
年度によって異なりますが、3つ以上その選択肢を選んでしまうと、それ以外の問題がすべて正解していたとしても不合格になってしまう選択肢のことです。

 

「患者の死や不可逆的な臓器の機能廃絶につながる選択肢」「医師として遵守すべき法律に抵触する選択肢」が禁忌肢。
簡単に言ってしまえば、以下のような解答です。

・法律に反する選択
・患者を死亡させてしまったり、重大な障害を負わせてしまう可能性がある選択

どの問題が禁忌肢かは公開されていませんが、禁忌肢は毎年全400問中10問ほど存在しているとされています。
また、以上の禁忌肢のような解答であったとしても、禁忌肢に選ばれていない場合もあるようです。

年度によって禁忌肢の難易度は高低しますが、「ありえない選択肢」なので、4つ選んでしまって不合格になってしまうことはほぼありません。
必要以上に恐れずに、しっかり勉強しておくことが大切です。

灰色のコンクリートの床に黄色の矢印記号

 

合格基準は毎年変動するが90%前後

医師国家試験の合格率は90%程度だと冒頭にお伝えしました。
この合格基準は、実は毎年若干変動しています。

 

国試に合格するには、以下すべての基準にクリアしなくてはいけません。

・『医学各論』『医学総論』の合計:70%程度正解(相対基準)
・『必修問題』:80%正解(絶対基準)
・禁忌肢:2問以下(年による、絶対基準)

このうち、必須問題と禁忌肢についての基準は絶対基準であり変動することはありませんが、一般問題と臨床実地問題の合計正答率で要求されるボーダーは毎年上下します。

その理由は、医師の需要と供給数を一致させるため、合格率を毎年同程度にキープするためであると考えられています。

2023年度の大学ごとの合格率は以下のサイトをご参考ください。

医師国家試験の合格率が高いのは受験層のレベルの高さ

難しい試験であるにも関わらず合格率が高いのには、2つの理由があります。

・受験者層の学力が高い
・国試に受かるレベルでないと大学を卒業できない

そもそも、大学の医学部医学科に入るためには偏差値70程度が必要になってきます。
勉強が得意な人たちが、更に6年間みっちり勉強してきた結果の国試受験なので、合格率が高くなるのも当然です。

 

また、そもそも国試を受ける前には大学の卒業試験を受けなければなりません。
大学側としては、国試合格率は受験者獲得のためのアピールポイントとなりますし、「医師養成機関」としての役割を果たすためにも国試合格率は高く維持したいもの。

そのため、大学の進学条件や卒業試験を厳しくして、『これに合格できたら国試にも合格できる』レベルの難易度にしています。
国試に受かる見込みのない人は、それ以前の段階で留年してしまうのでそもそも国試受験に進めない仕組みになっているのです。

学業の帽子を空中に投げる新卒学生のグループ

まとめ 医師国家試験に合格してやっと医師のスタートを切れる

医学部医学科6年間が終わったら医師になれるわけではなく、医師国家試験に合格してやっと医師のスタートを切ることができます。

6年生の先輩方を見ると、分厚い参考書や過去問集で勉強されていてとても大変そうだと感じます!

「合格率90%」に甘えず、コツコツと全範囲をまんべんなく勉強していくことが大切なのですね。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

【2024年版】 現役医大生が選ぶ医学部予備校おすすめTOP5