大阪大学名誉教授 日比孝之先生の考える「数学突破力の伝授」!

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むさしのFMにて、6月から毎週金曜日にラジオ講座「高校数学の全範囲をカバー! ひらめきと別解力を鍛える良問50題」が始まりました。

 

この講座は大阪大学名誉教授、日比孝之先生が厳選した入試問題全50題を毎週1題紹介するもので、別解が多く数学の「ひらめき力」を鍛える良問揃いです。

 

この放送にあたり、日比先生の考える「数学突破力の伝授」についてインタビューしました。
日比先生の考える数学の勉強の進め方を中心に、なぜ今回の連載が50題でいいのか?連載される問題はどんな人が対象なのか?など気になる部分までお伺いしました。

 

日比孝之先生
【略歴】
1981 年 名古屋⼤学 卒業
1985 年 4 ⽉ 名古屋⼤学理学部 助⼿
1987 年 12 ⽉ 理学博⼠
1988 年 8 ⽉ MIT客員研究員
1990 年 10 ⽉ 北海道⼤学理学部 講師
1991 年 10⽉ 北海道⼤学理学部 助教授
1991 年 11 ⽉ シドニー⼤学客員助教授
1995 年 4 ⽉ ⼤阪⼤学理学部教授
2002 年 4 ⽉ ⼤阪⼤学⼤学院情報科学研究科教授
2022 年 3 ⽉ ⼤阪⼤学定年退職
2022 年 4 ⽉ ⼤阪⼤学名誉教授

数学の力を育むには

 

今の小学生が解く計算問題の分量は、僕達が小学生の時にした計算問題の分量の約5分の1ほどです。
しかし、今の高校生が解く数学の問題数は、僕達が高校生の時に解いた数学の問題数の5倍以上になります。
四則計算はいわゆる「千本ノック」の訓練が必要ですが、受験数学はもっと高度な戦略が必要です。

 

今の高校生の多くが「たくさんの問題を解いてきたのに入試問題が解けない」という状況にあるのは、思考して解いているのではなく、解答の丸暗記のようになってしまっているからです。
入試問題を作る数学者はどこにもない問題を作るよう努力しているわけですが、それに対して受験生はたくさんの問題を解くことで、見たことがないような問題をなくそうとしているわけです。

 

では、結局のところ、どうしたら初見の問題が解けるのでしょうか。
初見の問題に対応できるようになる力は、実は、教科書の基本的な事項を引き出しにしまい、自分でどの引き出しを開けたらいいのかに気付く力、つまり「ひらめき力」です。

入試問題は基本的に高校の教科書の範囲を越えませんので、ひらめきの内容そのものはそんなに難しくはありません。
「加法定理を使う」「3の倍数で場合分けする」「ある素数で割る」などです。

 

 

引き出しを作る

 

「引き出しを作る」とは、教科書の知識を単元別に徹底的に習得することです。
ここは基礎になるので、教科書をおろそかにし他の問題集に手を出すことは言語道断です。

よく「教科書ばかりやっていてはダメ」と考えている人がいますが、これは良くない考え方です。
教科書は長い伝統がありますし、中に収録されている問題も厳選されています。教科書さえ徹底的にこなせば大学入試に必要な知識の引き出しができるようになっていますので、まず教科書の内容を大切にしなくてはなりません。

 

引き出しから取り出す練習

 

今、多くの高校生がやっている勉強法である「たくさんの問題を解いて解き方を覚える」のも、この引き出しをたくさん作っていることに当てはまります。
引き出しにピッタリ当てはまるような問題が出てくれば対処できますが、そうではない場合には、ひらめかないため解けなくなっているのです。

ただしこの場合は、そもそも引き出しが多くなりすぎてしまうので、経験したものと同じ問題が出てきても試験の時にはすっかりそんな事を忘れていることも多くあります。
つまり、ただ引き出しを作ればいいのではなく、それを自分で使えるようにしておくことが重要なのです。
たくさんの問題を覚えて「この問題はこうすればいい」と覚えていても、入試では初見の問題が出るわけなので対処しきれません。
しっかりと自分の使える引き出しを作っておいて、「どの引き出しからどのタイミングで取り出せばいいか」を考える経験を積んでおかないと、問題を解くときにひらめきません。

 

ひらめきを鍛えるためにできること

ひらめきを鍛える、つまり引き出しから取り出す基礎訓練をするには、「教科書の章末問題をランダムに解くこと」と「別解を考えること」がきわめて有効です。

 

教科書の項目別に知識の引き出しを作っていると思いますが、入試では出題される問題の分野がランダムであるため、どの引き出しを開ければいいのか、つまり三角関数の問題なのか図形の問題なのかなどを考えなくてはなりません。
これらを訓練することでひらめき力が鍛えられます。

 

その項目に取り組んでいる時は理解できていても、しばらく別の問題に触れていたりするとなかなか思い出せないということもあります。
例えば三角関数の加法定理の問題など、その項目を勉強していた時はさらさら解けていても、突然出てきた時にはどうしたらいいのかわからなくなってしまうケースがあります。

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そのため、章末問題をランダムに解くことには、ひらめき以外に「本当に知識を身に着けているか」を確認する効果も相当あります。
教科書の章末問題であっても、偏差値50くらいの大学の立派な入試問題になるレベルですので、軽んじてはいけません。

 

また、別解を考えることは1つの問題に対して様々な引き出しを使う練習になります。試験のときなど1つ解答を出せれば良いのだから別解までやる必要はないという人も多いですが、そうではありません。
別解を考えることで引き出し同士の関連がよくわかりますし、理解も深まります。
つまり、ひらめき力が鍛えられるのです。

 

じっくり考えて取り組もう

「引き出しから取り出す練習」をする時に大切なのは「じっくり考えること」です。
よく問題を解くとき「考えても解けなかったから無駄だった」と思ってしまう人がいますが、そうではありません。
「この引き出しを使ってみよう」「あの引き出しを使ってみよう」と試行錯誤し、それでもうまく行かなかったことそのものが次のステップに繋がります。
最初から使う引き出しを教えてもらっては意味がありません。

 

「1時間で2題できた」とか、題数や1問にかかる時間などを気にせず、じっくり取り組んでください。
最初は時間がかかるかもしれませんが、引き出しの出し入れの方法を練習することにより次からは徐々に早くなります。

 

今回の「ひらめきと別解力を鍛える良問50題」について

 

数学の問題集で全範囲をカバーするというと、600題、700題となり、問題数がとても多くなってしまいます。
しかし、今回の「高校数学の全範囲をカバー! ひらめきと別解力を鍛える良問50題」では、長い年月をかけて温めてきた別解が多い問題を集めることで、50問で高校数学の全範囲をカバーできるようにしました。

それにより、1問を解くだけで多くの範囲を勉強できるだけでなく、「同じ問題でもこんな解き方の違いがあるのか」と引き出し同士を関連させて考えられるようにもなります。

 

「ひらめきと別解力を鍛える良問50題」は入試問題勉強開始時からやろう

「ひらめきと別解力を鍛える良問50題」の問題は入試問題を勉強し始めた頃から、つまり教科書の内容を覚えて引き出しができた頃からやるといいでしょう。
もちろんその後のどの段階で取り組んでも構いませんが、知らない問題に出くわすのは早ければ早いほどいいので、基礎的なものが学び終わったらすぐ始めてください。

 

一部の分野でひらめきと別解力を鍛えることができると、他の分野でも効果がありますから、50問全部を解くことができなくても充分に効果はあるでしょう。

 

もしできなかったら、解答を自分でしっかりと写すことが大事です。それは解答を作る練習にもなります。
ただし、わからないからと言ってすぐに見てはいけません。まず30分は考えましょう。

それで解けなければ、問題を紙に写し、ポケットに入れて持ち歩き、電車の待ち時間などにその紙を開き、問題を思い出しましょう。
(英語でも、英文解釈のわからない箇所があったら、それを写し、繰り返し読みながら理解しようとすることもあるでしょう)

そんなことを数日やっていると、時として、パッとひらめくこともあります。
もっとも、パッとひらめくことは滅多にありませんが、もし一回でもあると、数学の問題を考える励みにもなります。

数日取り組んでも解けなかった時には模範解答を理解しながら写しましょう。
しっかり考えた後だと、そうか、これがひらめかなかったから解けなかったのか、と 納得することができます。
数学の問題というのは「たくさんやればやったほどいい」というわけではありませんので、じっくり丁寧に取り組んでください。

 

日比先生とは何者?と思った人はこちらもチェック!

 

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二木原 恭子

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九州大学大学院修士課程修了(哲学専攻)、千葉県出身。大学は上智大学文学部哲学科。 勉強する時はリプトンの紅茶を常にお供にしていた。 受験時は特に世界史に苦労...

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