理系の地学受験は超穴場!地学受験のすすめ

理科の科目は地学選択して受験したいけれど周りに地理選択の人がいなくて不安、地学選択で大学受験に合格できるの…?
理系の受験生の中には、理科科目として地学を選択したいけれど大丈夫なのか分からない、と不安な方もいるのではないでしょうか?
今回は、地学での受験について、地学選択者が少ない理由からおすすめの問題集等まで、詳しく解説していきます。
Contents
地学選択者はなぜ少ない?
実際、理系の受験生で地学を選択する人はどのくらいいるのでしょうか?
令和4年度の大学入学共通テストの地学受験者人数は、
- 物理 148,585人
- 化学 184,028人
- 生物 58,676人
- 地学 1,350人
と、なんと、最も多い化学選択者の約136分の1の人数でした。
では、なぜこんなに地学選択者が少ないのでしょうか?
地学の授業が受けられる高校が少ない
実は「地学」という教科が授業として受けられる高校は9%しかないのです。
この原因の1つに、文部科学省が定める学習指導要領があります。
学習指導要領には必修科目について、このように書かれています。
全ての生徒が履修すべき科目数については,「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」,「地学基礎」のうち「科学と人間生活」を含む2科目,又は,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」,「地学基礎」のうちから3科目とする。
その結果、多くの高校が「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」を科目として設定し、地学基礎さえ勉強する機会がないことが多いのです。
「物理」「化学」「生物」「地学」は基礎が付いた教科の後に学ぶことになっています。「地学」が授業として開設されている学校は、全ての高校の中でおよそ9%しかなく、地学を学べる機会が圧倒的に少ないのです。
高校の地学教員が少ない
授業の開設率が低いことも関連することですが、高校で地学を教える先生の人数も、とても少ないのです。
実は、地学の教員は、理科科目の教員全体のわずか4%ほどだといいます。
自分の高校について思い浮かべてみると、物理、化学、生物はそれぞれの専門の先生が何人かいたのに、地学は専門の先生がいなかったことに気付く方が多いでしょう。
地学基礎や地学の授業がない、地学の先生が少ない、などの理由から、地学を学ぶ機会が少なくなり、地学選択者が少なくなり、ますます地学の授業を開設する学校が減っていく、と、なかなか地学受験する人が増えにくい状況なのです。
地学受験のデメリットは?
高校で学ぶことが難しい地学。受験においてはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
地学で受験できる大学が少ない
地学選択をする受験生が減っている結果、地学選択で出願できる大学や学部は限られています。
そのため、他の科目を選択した場合と比べて、受験できる学校がかなり少なくなっています。
調べてみると、全86校ある国公立大学のうち、地学選択で受験できる大学は36校のみ、私立大学は7校のみでした(2023年1月現在)。しかも、理学部や農学部、教育学部のみ受験可能な大学がほとんどで、受験できる学部も限られてきそうです。
地学で2次試験を受験できる大学の一覧はこちらのページを参考にしてください。
理系向けの地学の参考書や予備校のクラスが少ない
地学受験する人が少ないので、どうしても参考書の冊数や予備校の開講クラスは少なくなってしまっています。
予備校では、共通テストの地学基礎の講座はあるものの、国公立大学や私立大学受験のための地学の講座はほとんどありません。
地学受験のメリットは?
ここまで読んでくださった方は、やっぱり地学選択は難しそう、と思っている方がほとんどかと思います。
でも、実は、もし志望校の受験科目で地学が選択できるなら、地学受験は穴場です。
ここからは地学受験のいいところを紹介していきます。
地学は合格点に届くための勉強量が少なめ
地学は、合格点を取るために必要な勉強量が、他の理科科目と比べて少ないと言われています。
必要な暗記の量は生物や化学よりも少なく、その場で考える問題が多いことも特徴です。
実際、理系科目2科目のうち1科目として地学を選択した受験生の中には、地学の方が短期間で合格に必要な点数に届きやすいと感じた人も多いようです。
地学は理科の総合科目とも言われ、化学や物理の知識もある程度必要な科目です。
逆に言えば、化学や物理をある程度勉強しているのなら、地学の勉強も一部は手をつけていることになります。
化学や物理では合格点に届かなそうだ、と悩んでいるなら、地学に科目を変更するのも1つの選択肢です。
地学は得点が安定しやすい!
地学の試験では、知識が求められる問題が一定の割合をしめます。さらに、1問1問がある程度独立しているので、化学や物理のように「大問の最初を間違えたら連鎖的に点数を落としてしまう」ということは起こりにくくなっています。
そのため、しっかり理解をして暗記をすれば、ある程度安定した点数を取ることができます。これは、合格のために教科ごとに取るべき点数の戦略を立てる上でも、大きなメリットになります。
予備校の理系地学のクラスも少ないが存在する
地学選択者が少ないため、予備校で開講されるクラスの数は確かに少なくなってしまっています。
2022年度の開講講座について確認したところ、3大予備校といわれる駿台、河合塾、東進の3つの予備校のどこも、1年を通しての理系の地学選択者むけの講座はありませんでした。
それでも、駿台は、首都圏のみではあるものの、国公立大学の2次試験と私立大学の入試科目対策の講座、「理系の地学」が開講されています。2022年度は、夏期講習と冬季講習でそれぞれ50分×12回で開講されていました。
過去の入試問題を使った論述記述や計算問題の演習を扱い、添削も受けることができる授業として、普段駿台に通っていない受験生にも人気の講座のようです。
駿台の講習については、こちらの公式HPからご覧ください。
また、代々木ゼミナールには、「オールラウンド地学」という、国公立大学の2次試験や私立大学を地学で受験する生徒を対象とした講座があります。こちらは代ゼミタワーでの対面授業または映像授業で受験することができます。
代々木ゼミナールの「オールラウンド地学」について詳細はこちらのページからご覧ください。
地学選択者が使うべき参考書は?
受験科目として地学を選択する場合、多くの方が独学で勉強を進めることになるでしょう。
ここからは、地学受験生必携、おすすめの参考書をご紹介します。
教科書
- 「地学基礎」「地学」(数研出版)
- 「地学基礎」「地学」(啓林館)
- もういちど読む数研の高校地学(数研出版)
地学を勉強する上で教科書を読み込むことは非常に重要です。教科書を軸にして学習を進めることになります。
また、正確には教科書ではありませんが、数研出版から出されている「もういちど読む数研の高校地学」も教科書に沿った内容になっています。「地学基礎」と「地学」に分けられておらず、分野ごとの章立てになっている点でも、学習が進めやすくなっています。
教科書によって掲載されている知識事項や書き方が少しずつ違うこともあるので、理解を深めるためにも複数冊持っていても損はないでしょう。
視覚でとらえるフォトサイエンス 地学図録
写真や説明が豊富な資料集も、暗記や理解に非常に役立ちます。
教科書で読んだ内容を、写真で見ることで記憶に残りやすくなり、効率的に勉強することができるので、地学受験生には必須です。
センサー地学 改訂版(啓林館)
この問題集は、理系受験生向けの地学の演習ができる唯一の問題集です。
センター試験から2次試験対策まで対応できるレベルになっています。
解説も充実していて、地学受験生には必携です。
教科書で知識を勉強しながら、アウトプットをするために使用しましょう。志望校の過去問題に入る前にやり込むべき教材です。
この問題集は学校の副教材のため通販サイトで購入しようとすると高価になっています。購入の際はぜひ以下の新興出版社啓林館・文研出版 WEB SHOPをご覧ください。
共通テスト・2次試験 過去問
共通テストや2次試験の過去問題の演習は、他の教科と同様に地学でも必須です。
特に、共通テストは似たようなパターンの問題が出されることも多いので、10年分は取り組むようにしましょう。
また、2次試験の過去問題は、自分の志望校の過去問題を解いたり分析したりするのはもちろん、余裕があれば他の大学の過去問題も解いてみると、演習教材が少ない地学選択の受験生には良い勉強になるでしょう。
地学が好きな人は地学受験すべし
地学受験をする人の人数は他の理科科目選択者に比べて圧倒的に少なく、選択をするのには勇気がいるかもしれません。
確かに参考書の冊数は少ないですが、知識をきちんと理解しながら頭に入れれば安定して得点ができる、そして合格点に届きやすい科目です。また、興味がある知識は覚えるのにも苦労しません。
もし志望校の受験科目の選択肢として地学があり、地学の勉強が楽しい、地学に興味がある、というのならぜひ地学を選んでみてはいかがでしょうか。
神奈川生まれ、東京育ちで、東京医科歯科大学医学部に在学中のライター。
バックパッカーとして世界を旅したいという夢を持つ。
服の好みが数ヶ月単位で変わることが悩み。
受験生時代の得意科目は古文と生物。普段は優柔不断だが、物理から生物に鞍替えすることは1日で決断した。

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