フリーランスで働く医師の実態とは?

Contents
医師はフリーランスで働くことは可能?
フリーランス医師って?
皆さんはフリーランスという働き方をご存じですか?フリーランスとは、特定の企業や団体に所属せず、仕事に応じて自由に契約する人たちのことです。医師の場合は、特定の病院や大学医局に所属せず、かつ開業をしているわけでもなく、非常勤で医療行為をおこなっている医師のことを指します。テレビドラマでも、フリーランスの外科医が出てくるものもありますし、実際にフリーランスとして働く医師は増えているようです。今回は、そんなフリーランス医師の実態についてご紹介します!
医師のフリーランスは認められている?
臨床で働く医師は、大学医局や病院に所属して働く勤務医や、自分で病院やクリニックを開いて経営する開業医がほとんどです。しかし、特定の病院やクリニックに所属していなければならないというルールはありません。臨床研修医制度によって大学医局に入る医師が減ったことや柔軟な働き方が認められるようになったこともあり、さらには医師向けの人材紹介ビジネスが盛んになってきたこともあってフリーランスとして働く医師は以前よりも増加しているようです。大学や病院の都合に左右されず、自分の好きな時間帯や仕事内容を選んで医療行為を行うことができます。フリーランスが広がったことで、育児をしている女性医師にとっても働きやすい環境は広がっています。
では、実際にフリーランスの医師がどのように働いているのか、次の項でご紹介します。
フリーランス医師の働き方
働き方は大きく3種類
フリーランス医師の働き方は大きく分けて3種類。①「定期非常勤」②「スポット」③「定期非常勤」と「スポット」の組み合わせです。詳しい話は転職エージェントのサイトを見てみてください。
「定期非常勤」の働き方
「定期非常勤」は、半年から数年の長期の契約期間で、週何回、1日あたり何時間などと曜日や時間を決めて働く勤務形態です。自分の都合に合わせて働き方を調整できる上に、長期間安定して仕事を得ることができます。さらに例えばA病院で月曜と水曜に6時間ずつ、B病院で木曜に5時間、といったように複数病院で「定期非常勤」として仕事をすることもできます。特に専門性の高い医師であれば、複数病院で外来を週1回ずつ担当するだけでも重宝されることでしょう。また、日中の勤務ではなく夜勤や当直専門の医師として非常勤で仕事をすることも可能です。病院側としても、高い専門性のある医師を常勤で雇わなくても週1回など定期的に非常勤で来てもらえることや、常勤の医師に代わって当直を担当してくれる代わりの医師がいることはありがたいことです。
「スポット」の働き方
「スポット」は、常勤医師が学会参加や病気などで診療ができないときに、代理として1日〜数日代わりに外来や当直に入る形態です。1回あたりいくらといった条件で契約し、「定期非常勤」よりも1回あたりの報酬が大きいようです。夏休みや年末年始などには需要が増しますし、給料も上がるためその期間を狙って仕事をするフリーランス医師も多いようです。最近では、ワクチン接種のスポットバイトも多いですし、健診など医師でないとできない仕事は多いので「スポット」で募集される仕事も多いです。一方で、安定して仕事が供給される保証はありません。
「定期非常勤」と「スポット」を組み合わせた働き方
「定期非常勤」で安定して仕事を確保しつつ、「スポット」で高時給の案件を単発でこなすといった働き方もできます。フリーランスは自分の好きなように働き方を決められるので、こうしたいいとこ取りの働き方ができるのです。組み合わせた働き方でも、常勤医師よりも短い勤務時間で高収入を得ることが可能です。
年収はどのくらい?
厚生労働省の調査によれば、病院や大学医局に所属する勤務医の平均年収は約1160万円とのことです。それに対して、フリーランスの医師の場合は、非常勤医師の時給の相場が1万円であることから計算すると、1日8時間週5回勤務で年収は1920万円ほどになります。常勤で同じくらい働くよりも約760万円上回ることになります。ただし、毎日コンスタントに仕事が入ってくる保証はありませんし、常勤医師であっても大学医局の斡旋などでアルバイトをしてさらに収入を得ていることが多いので、必ずしもフリーランス医師が常勤医師より稼いでいるというわけではありません。
何科の医師がフリーランスに向く?
フリーランスで成功しようと思った場合、「スポット」の仕事で稼げることが求められます。それには、何かしらの専門性を持っていることが望ましいです。ですので、フリーランスになる前にまずは後期研修を終えて専門医を取得しておくのが最低条件です。
もし「スポット」で救急当直に入るとなれば、内科専門医や救急専門医が強いでしょう。また、医師の数が少ない麻酔科や産科も重宝されますし、時給も高いようです。一方で、外科医の場合は手術をするだけでなく手術前後の管理が求められるため、某テレビドラマのように単発で手術だけをするというのはあまり現実的でないかもしれません。
フリーランスのメリットとデメリット
フリーランスで働くメリットとデメリットをまとめます。以下のサイトなどを参考にしています。
メリット
・自分の好きなように働き方やライフプランを設計できる
→常勤医として働いていると、どうしても医局や病院の都合に振り回されることもありますし、残業や当直に追われることも多いようです。しかしフリーランスであれば、その辺りの縛りから逃れることができます。
・短時間で高収入を得られる
・研究活動や他の分野での業務と並行して医師としての業務ができる
・子育てや介護など常勤で働くことが難しくても柔軟に仕事ができる
・組織のしがらみや人間関係から解放される
デメリット
・雇用が安定していない
・学会参加が自己負担であるなど新しい知識や技術を習得する機会が少ない
・専門医を維持できないこともある
→常勤医として働いている場合、学会参加の機会をもらったり、参加費を医局が負担してくれたりするほか、各種勉強会が充実しているために最新の知識や技術を取り入れやすくなります。また、診療科によっては専門医維持に必要な条件が定められていることがあり、常勤の働き方でなければ専門医を維持できないこともあるようです。
・医療事故の発生時などトラブル時に後ろ盾がいない
まとめ
いかがでしたか?フリーランスとしての働き方は自由度が高く、短時間で高収入が見込める一方で雇用が不安定であったり学会の参加が自己負担であったりといいことだけではありません。将来的にフリーランスとして働くとしても、まずはしっかりと初期研修を終えなければなりませんし、専門医を取得するために後期研修も終えておくのが良いでしょう。今後さらに働き方は多様化していくかもしれませんが、どの働き方にもメリットやデメリットがあるという点には注意が必要です。
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東京慈恵会医科大学で日々奮闘している医学生ライター。
横浜の聖光学院高校を卒業後、東京慈恵会医科大学に現役合格。数学が得意ではなかったが、得意科目の英語の成績を伸ばすことで合格を勝ち取った。「医学に数学は関係ない!」と思っていたが1年生の教養過程ではやはり苦しんだ…
趣味は中学生から始めたバレーボール。現在も大学のバレーボール部に所属し、医学部の大会(東日本医科学生体育大会)で優勝するために活動している。
医学部での6年間は長いようで短い。勉強だけでなく部活や遊びも充実している、医学部の生活のリアルを発信していきたい。

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