【医学部】どんな試験があるの?勉強量がヤバイって本当?

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医学部は入学後も勉強が大変!?

ここでは私の大学を例にとって大学の試験や授業の大変さについてご紹介します。

医学部はどんな試験があるの?

医学部といっても色々な大学があり、試験科目や内容も千差万別です。

基礎科目は記述式、臨床科目以降はマーク式の場合が多いようです。

ここでは私の大学を例に6年間で受けてきた試験をご紹介します。

1年生(教養~基礎医学)

1年生の2学期までは教養科目、3学期になってやっと医学の基礎を学び始めました。試験科目は以下の通りです。

自然科学基礎・生物科学・物理学・化学・数学・スポーツ科学・外国語・人文社会科学・基礎医学総論Ⅰ・基礎医学総論Ⅱ・基礎医学総論Ⅲ

自然科学基礎では理科3科目のうち入試で使わなかった科目を学びました。私は化学と生物で受験しましたのでここでは物理を学びました。物理といえばF=kxくらいしか記憶になかったので大変苦労しました(泣)。物理と生物で受験した人が3人くらいいたのですが、化学を1から勉強するのは相当大変そうでした。

物理学・化学・数学・外国語は高校で勉強する内容のちょっと応用バージョンでした。英語はゆるい感じで会話の授業が多かったです(ほぼ日本語で雑談していました(笑))。化学はさらに3つの科目に分かれ、特に物理化学は最後まで意味不明でした(笑)。数学は習ったことのない行列が試験範囲でしたので、慶應の数学科出身の再受験生が放課後に授業を開いてくれてみんなで勉強しました。数学は手書きの資料を持ち込み可能でしたし他も基本的には過去問でしたので、記号の読み方もままならないままとにかく裏紙に解答を書きなぐってひたすら暗記しました。

人文社会科学は哲学・法学・医療心理学(みたいなやつ)から1つ選んで受講しました。私は運よく一番楽と言われていた医療心理学を勝ち取り、大変ゆるく過ごしました。

生物科学はなかなか鬼門でした。Essential細胞生物学という888ページもある教科書丸々1冊が試験範囲という恐ろしさ。ディズニーランドにこの教科書を持ってきて待ち時間に勉強していたという成績優秀な同級生を思い出します。高校生物の教科書1冊分くらい普通に1科目の試験範囲だよと大学入学前に言われたのは本当でした。しかしこれもほぼ過去問暗記でパスできました。

スポーツ科学という一見ゆるそうな科目も鬼門でした。何十個もの記述問題の解答をひたすら裏紙に書きなぐって暗記した思い出です。しかも複数回試験があるという鬼畜さ。非常に恨めしい思い出です。

3学期の基礎医学総論Ⅰは解剖学、Ⅱは生理学、Ⅲは生化学でした。再試にかかる人も多く、それぞれの科目で留年生が出るとても大変な試験でした(計10人ほど)。解剖学の授業は当時の医学部長の先生が担当でしたが、開始と同時に教室が施錠されて1分でも遅刻すると中に入れない謎システムが採用されていました。勉強はとにかく過去問の暗記です。すべての科目で過去問を完璧に覚えました(この量も想像を絶するほどでした)。モンスターエナジーでは足りなくなった人たちが続々とカフェイン錠に手を出す地獄絵図。試験の結果発表までの間は割とガチで不眠になりました…。

2年生(基礎医学、1番大変)

全学年のうち最大の山場は2年生でした。15人もの留年生を出した魔の学年。部活も本格化する中での勉強は本当に大変でした。試験科目は以下の通りです。

基礎科学・分子解剖学・生体構造学・システム生理学・生体統御学・代謝栄養学・分子遺伝学・微生物学・免疫学・解析人体病理学・統御機構腫瘍学

基礎科学は英語などで1年生の延長のような感じでした。

1学期は解剖実習、2学期は生理学と生化学の実習、3学期は微生物や免疫、病理学の実習と勉強も実習も盛りだくさんの1年でした。

特にきつかったのが分子解剖学と生理学です。分子解剖学では4人ほどの班に分かれて担当の部位(私の班は前眼部でした)の解剖について同級生に講義を行います。この教授がそれは厳しくて、予行または本番で学年全員がみんなの前で必ず1回は怒られるというものでした。中には泣かされた人もいました。しかしなんとラッキーなことに私と班員のもう1人は奇跡的に怒られずに済み、さらに本番ではベタ褒めされたので私にとってはそこまで悪い思い出でもありません(笑)。怒られなかったのは予行で他の班員が発表している時にブチ切れられて私の出番が来る前に打ち切りになったからなのですが…。1ヶ月ほど部活のない日は毎日23時まで大学に残り、発表の準備をしました…。生理学は内容もかなり難しく、実習も大変で遅いときには終わるのが23時を過ぎることもありました。大変なのはみんな一緒なので不思議と団結して頑張ったのがいい思い出です。実験の待ち時間に医学用語しりとりをして遊んだり、実習が終わった後に打ち上げで焼肉に行ったりしてそこそこ楽しかったです。

分子遺伝学は学年120人ほどのうち70人以上が再試になった記憶があります。再試になると膨大な量のレポートを手書きで書かされるという修羅場。私はなぜか受かりましたが、当時は真面目だったので自主的にレポートを書いたりしていました。

すべての科目の試験は過去問丸暗記+授業の復習と参考書で乗り切りました。しかしそれでも不十分で、生化学の試験はA4丸1枚白紙で出したものもありました(泣)。結果として試験に受かって進級できればよいので、過去問ベースに勉強していくのが得策です。範囲があまりにも膨大なため教科書を最初から頑張って隅々まで勉強しようとするのは絶対に無理ですし、実際その勉強法は留年する確率が高いです。

私は奇跡的に2学期を再試0で乗り越えたので3学期の微生物、免疫、病理は楽勝でした。留年生と同じ班だったので実習はほぼ留年生がリードしてくれましたし、病理のスケッチも要点を押さえてコスパよくこなしました。再試を複数抱えていた人は進級がかかっていましたので相当大変だったようです(再試を10個抱えて進級した強者もいます)。

3年生(基礎医学~臨床医学メジャー)

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1学期は基礎医学、2学期からはついに臨床医学が始まりちょっとわくわくした学年でした。試験科目は以下の通りです。

公衆衛生学・薬理学・法医学・循環器・消化器・呼吸器感染腫瘍乳腺・神経リハビリ・放射線医学・内分泌代謝栄養・アレルギー膠原病免疫・血液造血器・腎泌尿器

1学期は公衆衛生学・薬理学・法医学の実習と講義でした。公衆衛生学では食品の色素を分離したり部屋の二酸化炭素濃度を測定したりと楽しい実習でした。法医学の実習は血液型を判定したり(うらとおもての判定試験があるのですが、私はO型なのになぜか片方はB型と出ました…。そういうこともあるよと先生に慰められました)、指紋を取ったりとこれも楽しい実習でした。法医学の授業では事件現場の写真など、普段は絶対に見られないものが出てきてとても興味深かったです。(余談ですが、3年生では研究配属という好きな科を選んで3週間実習できるというイベントがあり、私は授業が面白かったので法医学を選びました。司法解剖で執刀までさせて頂き、大変濃く充実した思い出です。)薬理学は難しい上に覚えることが多く勉強が大変でした。基本は過去問ベースのはずだったのですが、先生に過去問の答えを聞きに行くという禁忌を踏んだ同級生がいたため先生が怒ってしまい、法医学は前代未聞の40人以上が再試になるという惨事となりました。過去問にすべてを頼らず、普段から授業をちゃんと聞く習慣をつけましょう。

私の大学は良くも悪くもゆるいため、2学期以降の臨床医学の講義はほとんど誰も出席していませんでした。30人出席していた日は先生に褒められたものです。私は一応出席はしていましたが、今思えばもっとちゃんと授業を聞いていればよかったと思います。実習もそうですが、当時は全くありがたみを感じず興味もわかなかったものでも、あとになって色々分かってきたときにもう一度やり直したいと思うものです。(ちなみに解剖実習に関しては、私の大学ではAdvanced Anatomyといって2年生以降も自主的に参加できるイベントがあります。)ただ、バイトなど学生のうちにしかできないことも多いですので、大学のゆるさにもよりますが何を優先すべきかは自分で判断しましょう。

臨床医学の試験は過去問丸覚え+授業の復習(学年全員持ち回りで毎回授業のまとめを作っていました)でした。試験期間中は授業もないので遊びに行ったりと充実した時間を過ごせました。

4年生(臨床医学マイナー、CBT、OSCE)

1学期までは臨床医学、2学期からは臨床実習です。臨床実習前にCBTという共用試験とOSCEという実技試験があります。試験科目は以下の通りです。

小児思春期医学・産婦人科学・救急・運動感覚(記憶にないです…)・頭頸部耳鼻咽喉科学・眼科・皮膚科学・形成・精神医学・麻酔集中管理疼痛制御・CBT・OSCE

例によって授業にはほぼ人はいません。再試になる人もほぼ0でした。勉強は過去問ベースの勉強と授業の復習です。出席が足りなかったのか精神医学の試験は1ミスだったはずなのになぜか成績は真ん中の良でした…。

CBTは4年生最大の山場です。多くの人はクエスチョンバンクという問題集と必要に応じて予備校のネット講座を使って勉強します。範囲は今まで学んだすべてですのでとても膨大です。夏に行う大学と2月頃に行う大学があります。私の大学では8月に行われ、東医体の主管もありましたのでかなり大変でした。東医体でも色んな大学の選手が待ち時間に勉強している姿を見ることができます。再試になる人はほぼいませんが中には留年する人もいます。CBTのあとは実習開始まで夏休みがありました!ここぞとばかりに旅行に行きまくってとても楽しかったです(笑)。皆さんの時には旅行に行ける世の中になっているといいですね。

OSCEは実技試験です。大学に入るまでまさか実技試験があるとは思いませんでした。ただしこれは茶番と言われているのでよほどのことをしない限り再試になることはありません。ただしめちゃくちゃ緊張します。OSCEに受かって無事Student Doctorになれたら白衣授与式があります。大学オリジナルの白衣を1人1人着せてもらえる瞬間はなんとなく医者に近づけたようでとても嬉しかったのを覚えています!

5年生(総合試験)

5年生は3月に総合試験が1日あったのみです。1発勝負なのでプレッシャーが半端なく、相当なストレスでした。過去問と国試のクエスチョンバンクをひたすら解きました。公衆衛生と必修は範囲ではなかったのですが、それを除いてもクエスチョンバンクの問題数は5,500問弱ありますのでとても膨大ですね(遠い目)。

6年生(卒試、OSCE、国試)

6年生は卒業試験があります。私の大学では予備校の模試が2回、大学のオリジナルの試験が2回あり、それぞれ2日間で行われます。範囲はすべてで国試のような感じで出題されます。大学によっては全科目を2週間にわたって行うところもあるようですので大変そうです。

さらに、実習後にもOSCEがあります!これは最近新しくやるようになったもので、4年生の時のOSCEよりさらにレベルアップした内容が出題され、2日間にわたって行われます。私の大学では実習ができなかったので計2課題でしたが、9課題フルにやる大学もあり大変そうでした。こちらはその場で模擬患者さんに問診をして、指導医役の先生に診断を述べなくてはならないためしっかりとした知識が必要です。4年生のOSCEとは比べものにならないほど緊張しました…。震える声で診断を報告した時の指導医役の先生の温かい目が忘れられません(笑)。

おまけ

私の大学では1科目落とすごとに再試代1万円を取られます(大学によりかなり異なります)。幸い私は1円も払わずにここまで来られましたが、せっかくもらったお小遣いやバイト代を無駄にしないよう、頑張って1発で合格しましょう。

医学部の勉強は意外といける!

つい長くなりましたがいかがだったでしょうか。試験は大学によって大きく異なりますので、入学後に先輩に色々聞くことが試験に通るための1番の近道です。

「医学部 勉強量」などで検索すると山積みの教科書の写真をたくさん見ることができます。でも安心してください。それらを全部頭に入れるのが医学部の勉強ではありません。今までを振り返ると、どう考えても理系の大学院に進学した友達の方が100万倍大変そうです。普段は部活にバイトに大学生活を思いっきり楽しんで、コスパのよい勉強で試験を乗り越えましょう!

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kyoka

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都内の医学部医学科の大学生。東京都出身。 趣味は散歩で昨年は山手線徒歩一周を達成。 カフェ巡りとパン屋巡りも趣味で今まで訪れた店舗は優に100を超える。 弓...

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