安楽死と延命治療

安楽死と延命治療
本日は、医学部の面接を受けるにあたって、また医系小論文を書くにあたって、おさえておきたい重要ポイントを解説します。
「安楽死」は、確かに少し重いテーマではありますが、「息苦しい」「怖い」と思わずに、積極的に議論し、自発的に考えていきましょう!
安楽死について
まず、「安楽死」とは、死期が切迫した患者の苦痛が激しい時、その苦痛を人為的に除いて、やすらかに死なせる行為のことです。
安楽死させることについて、是非が世界各国で議論され続けています。
また安楽死は、宗教上ばかりではなく、刑法上の問題ともなっていますよ。
日本の判例は、これまで安楽死を認めていませんが、1962年に名古屋高裁は、半身不随になった父親を毒殺した息子に対する判決で、安楽死が例外的に認められる条件として、次の6つを挙げています。
(1)不治で死が目前に迫っている
(2)見るに忍びない苦痛
(3)苦痛緩和が目的
(4)患者本人の真摯(しんし)な嘱託(しょくたく)がある
(5)医師が行う
(6)方法が妥当
なお1976年、アメリカである裁判をめぐって安楽死論争が起こった時、「尊厳死(death with dignity)」という用語が使われました。日本でもこの年、日本安楽死協会が設立されましたが、のちに尊厳死協会と改名しています。
1991年に東海大学附属病院で起こった安楽死事件では、患者の家族の要請により実行したとされる医師が殺人罪で告発され、新たな関心を呼びました。
安楽死(尊厳死)は、先に挙げた名古屋高裁の判決にもあるように、あくまでも「患者本人」の明確な意思表示に基づくものであることが徹底原則の1つですが、日本ではまだ、「患者の命を奪い、殺す」行為であるという認識があります。
いくら患者本人が「激痛のため、早く死なせてほしい」と望んでいても、やはり尊厳死といえども「患者の命を人為的に奪っている」ことには変わりない、という点に重きが置かれて解釈される傾向にあります。
そういった思潮もあって、日本では、まだ法律で積極的安楽死が明確に認められていませんが、スイスやオランダをはじめヨーロッパなどには積極的安楽死を認める国も多くあります。
たとえば、オランダは、世界に先駆け、安楽死を明文で合法化する法律を制定し、2002年から施行。
「苦痛が耐えがたく、改善の見込みがない」「自発的で、熟慮されている」などの要件を満たし、医師が決められた手続きに従えば、安楽死させても刑事責任を問われません。
対象は、医師が致死薬を注射する「積極的安楽死」と、患者に薬を与えて自分で飲ませる「自殺幇助(ほうじょ)」です。延命治療の中止などは、通常の医療行為と見なされています。(このパラグラフ、「朝日新聞デジタル」より引用)
延命治療(延命措置)について
また、この「安楽死」と類似したものとして、「延命治療」を中止することが挙げられます。
高齢化と医療技術の進歩で多くの人が病院で最期を迎えるようになり、2000年代に入って延命治療の中止をめぐる問題が相次ぎました。
たとえば、北海道立病院で、患者を脳死と判断し人工呼吸器を外した医師が05年5月に殺人容疑で書類送検されたのです。(このパラグラフ、「朝日新聞デジタル」より引用)
この「安楽死」と「延命治療の中止の是非」については、今後も、ほぼ半永久的に、倫理的観点から議論が交わされ続けるでしょう。
それぞれについて、どのような判決が下されたかなど、社会情勢を追いかけていきながら議論と意見を煮詰めていくことが求められると言えます。
また、日本だけでなく、他国の宗教的、刑法的状況についても知っておくことが大切です。
たとえば、ヨーロッパでは、カトリックの国では、人命を尊重する立場から、安楽死を認めない傾向が強いです。
東京大学大学院修了。東京都出身。三多摩地域の自然をこよなく愛し、よくサイクリングを楽しむ。また大のドイツ通で、クラシック音楽鑑賞が趣味。英語とドイツ語とフランス語の勉強も趣味。嫌煙家で、ピアノは3歳からずっと。最近ハマっているのは、モンスターエナジー。また、過去の一時期は英会話スクールで講師とバックオフィスを担当していたが、現在は受験業界に奉職している。

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